デマを拡散しないように-30 「新型コロナはない」という主張:オストリッチ症候群(片桐教授)
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このブログの内容を不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、引用文献などを読んで自分で確認し、理解し、検証してから、自分の言葉として発信しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは極めて危険な行為です。
SNSをみていると、「コロナは存在しない」「コロナウイルスの存在証明はまだされていない」という主張をしばしば見かけます。2002年に発生したSARSエピデミックの時は、まだ遺伝子解析技術も未熟であったため、SARSの正体であるウイルスを明らかにするまでに数ヶ月かかりました。しかし、その研究と知見の蓄積のおかげで、今回の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の正体は、わずか2週間で明らかになりました。
この素早いウイルスの解明は、別の陰謀論を生みました。「こんなに短期間のうちにSARSウイルスの変異株だと明らかにできるのはおかしい。」「このウイルスは生物兵器として研究されてきたものだ」という陰謀論です。この素早い遺伝子解析も、その背景にあったSARSの知見の存在を考えれば、不自然な話しではありません。わざわざ陰謀論を持ち出すべき話しではありません。
新型コロナを否定する集会が各地でしばしば開催されているようです。新聞報道(読売新聞2021.9.9, 10,社会面)によれば、居酒屋や飲食店の店主のように、新型コロナで店を開けられない方は、店を開ける理由として「コロナは嘘だ」論を採用しているそうです。
自己承認欲求の強い方も、自分を目立たせるために他者とは異なる発言を好むそうです。あまのじゃくですね。
このような、「新型コロナはない」と主張する方々の中には、「オストリッチ症候群」で理解できる方もおられます。ダチョウ(オストリッチ)は外敵などの脅威に遭遇すると、穴の中に頭を突っ込んで外敵を直視しないようにする、というものです。現実逃避の心です。でも、実際にダチョウがそんなことをすればすぐに敵の餌食になります。危険な敵は真正面から見据えて対峙しなければなりません。
敵はいない!
敵は見えないから、
いないんだってば!
我々に今一番大事なのは、新型コロナという病を認め、真正面からその感染予防に取り組むことです。
このブログの内容を不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、引用文献などを読んで自分で確認し、理解し、検証してから、自分の言葉として発信しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは極めて危険な行為です。
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