デマを拡散しないように- 26 第6波に備えましょう。(片桐教授)
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このブログの内容を不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、引用文献などを読んで自分で確認し、理解し、検証してから、自分の言葉として発信しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは極めて危険な行為です。
私自身はウイルス学の専門家ではありません。しかし、30年前に免疫学を学び抗アレルギ薬の創薬に従事した経験を持ちます。そのときの(少し古い)知見やその後の科学者としての経験を元に、今回の新型コロナウイルスを理解する努力を行っています。その結果は、医療保健学部の横田先生の指導下で仮説論文にまとめました。
片桐、横田 安全工学、2021, 60(1), 49-52. (https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/60/1/60_49/_article/-char/ja/)
この論文の内容は、今年の本ブログ(その1、その2、その3、その4、その5、その6)に分割して紹介しています。私は感染症やウイルスの専門家ではありませんので、感染拡大・収束をウイルスそのものだけには求めていません。外部要因として、季節変化や気候との関係で解析しています。
さて、昨年の東京の新規陽性者数のグラフを10倍したもの(青線)を、今年のグラフ(赤線)に重ねると、第1波と第4波、第2波と第5波がよく重なっています。昨年よりも今年の波は2週間程度後ろにずれているようです。この重なりは、東京における新型コロナの感染は季節性のものである可能性、気候により何らかの影響を受ける可能性を示唆します。しかし、その本質はまだ未解明です。
このグラフの波のシミラリティだけで、感染拡大収束の要因を分析し明らかにすることはできません。先に紹介した論文では湿度や日照時間と新規感染者数の増減を表す差分とのあいだの相関について述べました(ブログ 2021.1.13)。しかし、湿度や日照時間が直接的な要因なのか、それとも何らかの「疑似相関」であり、真の直接的原因である「潜伏変数」の存在はまだわかりません(ブログ2020.3.31)。例えば、夏の第2波第4波は、高温多湿になり、半袖の人の増加による思わぬむき出しの腕の皮膚接触により感染拡大した(ブログ2021.1.21)、というような仮説も立てられます。真の要因解明は広い視野からの今後の研究を待たなければなりません。
そして,このグラフは、今年の11月終わり頃からの第6波の到来を示唆します。第6波に備えましょう。マスクを付けましょう。3密を避けましょう。「早寝早起き朝ごはん」で免疫力を強化しましょう。
この「予言」が外れてくれることを、私は心から祈ります。
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