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[間違い探し] Office386がいつの間にかMicrosoft386になっていた (江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 パソコンを使って文章を作成するときに使うワープロソフト、データの整理やグラフ作成に使う表計算ソフト、そして学会発表や授業で使うスライドを作って投影するプレゼンテーションソフト、これらをまとめたものがオフィススイート(スイートは甘いsweetじゃなくてsuiteです)。仕事でPCを使うとしたら必ず必要になるソフトウェアです。1990年代の前半辺りから登場した Microsoft 社の Word、Excel、PowerPoint、それらを統合した Microsoft Office は事実上の標準規格(デファクトスタンダード)となり、現在でも広く用いられています。

 さて、本学では以前から学生諸君にノートPCを所有してもらうことを大学教育の前提としていたのですが、コロナ以降の現在ではPCを使わない大学教育というのは考えにくい。同様に大学でこの Microsoft Office を使わないというのも考えにくいのですが、このソフトは標準的に用いられていながら公共物ではない。 Microsoft社の所有物ですから同社からのライセンスを取得する必要があります。以前は個々人がパッケージ版の Microsoft Office を購入する、というスタイルを取っていました。これでは余りにも非効率だ、ということで大学で一括してライセンスを取得する、というスタイルが一般的になりました。本学でもMicrosoft社と包括的なライセンス契約を結んでおり教員・学生はそれぞれのPCで Microsoft Office を利用することができる様になっています。

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 とまあ、こう書くと普通のことの様に感じるかも知れませんが、この様な状況が定着するまでにはいろいろな議論がありました。「Microsoft税」という言い方に端的に表れている様に、PCを利用する場合、Microsoftの製品は半ば強制的に購入させられることになる。このためソフトウェアの開発において自由な競争が阻害されてソフトウェアの進歩がとまってしまうのではないか。そもそも一般名称であったはずの Word とか Office という言葉をMicrosoftの商標の様に扱うのは如何なものか、などなど。

 先日、手元のPCの Office suite をアップグレードしたとき、いつの間にか Office386 が Microsoft386に変更されていたことに気がついてそんなことをいろいろと思い出してしまいました。この名称変更の本当の理由は私には分かるはずもありませんが、Google社が展開している Googleドキュメント、Googleスプレッドシート、Googleプレゼンテーションなどの利用が一般的になるに従って、それらの新しいデファクトスタンダードとの差別化のために「Microsoft」の名前を強調する必要があったのか、などと想像します。おごる平家も久しからず。万物流転と申しましょうか。ソフトウェアの進歩は留まるところを知らないのですね。

追記:ここまで書いてきて間違いに気がつきました。Office「386」、Microsoft「386」じゃなくてOffice「365」とMicrosoft「365」ですね。なぜこんな間違いを。いや、私と同年代の方にはなるほどと思って頂けるのでは。

江頭 靖幸

 

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