デマを拡散しないように- 34 ワクチンの副反応の機構(片桐教授)
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このブログの内容を不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、引用文献などを読んで自分で確認し、理解し、検証してから、自分の言葉として発信しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは極めて危険な行為です。
前のブログ(片桐ブログ 336 デマを拡散しないように- 33 カリコ・ワクチン)で述べたように、ワクチン接種を受けると、細胞性免疫(白血球)は活性酸素で疑似感染細胞を攻撃します。そのため、その疑似感染細胞だけではなく、周囲の細胞も活性酸素により傷つき、炎症を起こします。破壊消火の実践的な練習をするわけですね。
新型コロナに対するカリコ・ワクチンは「破壊消火」の練習です。免疫系はこのワクチンに反応して、破壊消火活動を行い、ヒトの体にある程度のダメージを与えるおそれがあります。そのダメージが副反応の本質です。そのため、その症状は、規模は小さくても、新型コロナに感染した場合の症状と類似です。
疑似感染細胞が無くなれば本来は攻撃終了になるはずです。でも、制御性T細胞(昔はサプレッサーT細胞と呼ばれていた)の発する攻撃終了指令が遅れると、いつまでも白血球は周りへの活性酸素攻撃を続けます。攻撃終了命令を速やかに出せば、副反応はほとんどありませんし、遅れれば副反応は長く続き、本当に感染した場合のようにいろいろな炎症による障害を引き起こします。火事(ウイルス感染)を消し止めて、もう延焼(周囲の細胞へのウイルスの感染拡大)の心配はないのに、火消し(細胞生免疫)は周りの家(細胞)を破壊し続けます。これは本質的に免疫系の働きが正のフィードバックで拡大させるようにできているためです。
元々、新型コロナウイルスの引き起こすいろいろな症状、例えば発熱、肺炎などの炎症、血栓、神経症状などのほとんどは免疫系の引き起こすものです。細胞性免疫の働き易い環境を整えるために発熱します。炎症は白血球の攻撃の流れ弾で起こります。
少し脱線しますが、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)という致死的な肺炎の症状があります。これは細胞性免疫の暴走による症状です。長くがんと闘い、抗がん剤や放射線治療などで、ガンがすこし弱まると、これまでガンを攻撃していた細胞性免疫が攻撃対象を失って、暴走し、酸素の豊富な(それゆえに活性酸素を作り易い)肺でこのARDSを起こしてしまいます。昔の作家ですが遠藤周作さんの死因はこのARDSと言われています。「長くがんを患っていたが、肺炎で亡くなった」と新聞の死亡記事に記載されている場合は、ほぼこのARDSです。
この副反応の発現や規模は、ワクチンそのものではなく、ヒト側の免疫系によります。細胞免疫の司令塔のひとつの「制御性T細胞」(昔はサプレッサーT細胞と呼ばれていた)が効率よく働き、必要最小限の破壊消火でとどめれば、副反応は弱くあるいは起こりません。しかし、制御性T細胞の働きが悪く、いつまでも「破壊消火ヤメ!」の指令を出さないと、必要以上に炎症を広げ、強い副反応を招きます。
この制御性T細胞の働きの悪い人は、過剰に抗原に反応し続けますから、花粉症などのアレルギー体質になります。そのため、コロナワクチンの接種ではアレルギー体質かどうかを問診で確認します。私のようなアレルギー体質の人はワクチン接種後の待機時間が30分に延長されます。http://blog.ac.eng.teu.ac.jp/blog/2021/06/post-ccf7f4.html
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