「ハンス・フォン・ゼークト」大将の組織論(片桐教授)
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ドイツの軍人「ハンス・フォン・ゼークト」大将の組織論、という格言?では、軍人を4種類に分類しその適切な職制・役割について述べています。
- 利口で勤勉な者 =参謀に適している。
- 利口な怠け者 =指揮官に適している。
- 愚鈍な怠け者 =小隊長に適している。
- 愚鈍で勤勉な者 =重用してはならない
- だそうです。
別バージョンでは
- 有能な怠け者。これは前線指揮官に向いている。
- 有能な働き者。これは参謀に向いている。
- 無能な怠け者。これは総司令官またはもしくは下級兵士に向いている。
- 無能な働き者。これは処刑するしかない。
とされています。
この格言?はいろいろなバリエーションや表現をもちます。また、多くの戦略家、戦術家の同様のコメントもあるようです。うろ覚えですがクラウゼビッツの戦争論にも同じように記述されていたように記憶しています。
いずれも興味深いことに「怠け者」を指揮官にすることを薦めている点で共通しています。
私自身はこれまでの経験から自分は出来損ないの「参謀」タイプと自認していました。働き者になろうと努めて来ました。しかし、なんということでしょう、新しくできる工学研究科の研究科長職を拝命しました。研究科長職はある意味指揮官です。その2年半の経験から指揮官は怠け者のであるべき理由を、私も理解してきました。
工学研究科は2019年にできました。しかし、実際はその1年半前から設立準備を行なっていました。設立までの1年半の間、教員組織はそもそもなかったので、いろいろな「判断」を研究科長候補者として私個人で行いました。多くの場合、私は事務の方々の案を是とすることで、仕事をこなし?ました。そこでの私は間違いなく「無能な怠け者」でした。しかし、それでこそ、物事は上手くすすみました。もし、私が働き者なら、全ての事案についていろいろと口を出し、現場を混乱させていたでしょう。もしかしたら、細かなことにこだわり、全体の整合性やバランスを失っていたかもしれません。
また,いろいろなイベント、例えば修士中間審査会や予備審査会、最終審査会では、いろいろな開催方法の案の中から「一番楽な」方法を選びました。怠け者の本領発揮です。仕事を分散し、最も楽な方法を選択することで、継続性を持たせて次代の研究科長の負担減を考えました。
上手く行かなかったのは、これらの審査会の「秘密保持契約」でした。専門家の意見を聞いて対応したところ、煩雑で面倒なことになりました。そこで、これについての業務と対象となる要旨集の準備は私ひとりでおこなっています。準備作業をひとりで行なうことにより、「どうやったら手を抜けるかを」真面目に必死に考えます。フォーマット化すれば、後は単純作業になります。
上に立つ者は「怠け者」になることで、組織の仕事を減らせます。逆説的に聞こえますけども、「どうしたら怠けられるかを必死に考えられる者」であることは上司の資質かもしれません。
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