「人類のあるべき未来について考えてみてください」(江頭教授)
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東京工科大学には大学院が併設されていて、我々応用化学科の学生が大学院に進学する際、普通は「サステイナブル工学専攻」に所属することになります。私はその「サステイナブル工学専攻」で「サステイナブル工学概論」という授業を担当しています。この授業のなかで「SDGs」について触れ、「あなたの研究はどのSDGsの目標に貢献しますか」つづいて「あなたの研究はDGsの目標5に貢献しますか」(ちなみに目標5は「ジェンダー平等を実現しよう」です)というレポートを書いもらったことはすでに紹介した通りです。
さて、今回書いてもらったレポートは「人類のあるべき未来について考えてみてください」でした。詳しくは
2050年を超えて、未来の世界について考えてください。
人口・生活空間はどのようになっていて、農業・工業(エネルギー・資源と汚染)がどのような技術に基づいているのでしょうか。
「こうなるだろう」ではなく「こうなってほしい」「目指すべき未来を」考えてください。
という課題です。
では、レポートを読ませてもらって思うことをまとめてみましょう。
一つはほとんどの学生さんに人類の未来(あるべき、ではなく、ありそうな未来です)についての共通のイメージがある、という点です。曰く「人口は2050年頃に100億人程度でピークに達する。エネルギーは再生可能エネルギーに。資源節約のために徹底したリサイクルが必要だ。」多少の温度差はありますが、ある程度似通ったイメージが共有されているのですね。
私が学生のころには「究極のエネルギー源は核融合。石油が枯渇してから核融合が実用化されるまでの期間は核分裂を利用する。(これが石炭液化などなど具体的な技術に入れ替わることも。)無限のエネルギーさえあれば資源の枯渇も問題ではない。」だったのです。私も年を取ったもんだ。
この傾向は例年と同じなのですが、今年特徴的だったのは農業に関する意見が多かったこと。植物工場やロボット・AIを利用した農作業の自動化。代替肉や培養肉などが取り上げられていました。代替肉が話題になったでそこからの連想でしょうか。そう言えば「畜産業の終わり」を予言してくれた人も。COP26のおかげで「○○の終わり」がブームなのかも知れません。
VRにからめたリモートワークによる働き方改革についての考察が目立ったことも今年の特徴です。コロナウイルス問題の影響だと思われますが、昨年度はそこまで考える余裕がなかったのか、学生諸君が考察の対象とするまで少し時間が必要だったようです。
そして今年は「宇宙」をテーマにした人が増えている点も見逃せません。最近の民間企業による宇宙旅行のニュース(中には「それは非論理的です」と言いたいような人選もありましたが…)の影響もあるのでしょうか。
持続可能な発展( Susteinable development )の考え方の源流の一つである「成長の限界」では人間が有限の地球にとらわれていることが前提となっていました。ということは宇宙に進出することで成長の限界を突破できるのではないか。もしかしたら「人類最後のフロンティア」である宇宙開発の進展によって今の学生諸君が共有する未来のイメージが書き換えられるかも知れませんね。
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