「誰でもできる英語発表」(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
私が大学院生だったころ、はじめて国際学会で発表する、という時に先生が「誰でもできる英語発表」という小噺を教えてくれました。
まず念入りにスライドを準備する。
"Next slide please"で新しいスライドが出たら"This is important"と言う。
これをくり返す。
ここぞ、というときに"This is most important!"
これが今から40年くらい前の話で、小噺自体ができたのがそれよりも前。日本の国際化もまだまだ。英語の読み書きはともかく、話すのに抵抗を感じる人が多かった時代の話です。スライドは時間をかけて準備することができますが、発表で話すのは負担だ、という思いからこんな小噺が作られたのでしょう。
いくら何でもこれを実際にやった人はいないと思います。でも、発表を聴く側の立場で考えると意外と良い発表なのではないか、とも思えます。
このプレゼンには一つだけ "This is most important!" と言うべきスライドがある。つまり発表の核心、何を聴衆に伝えたいのか、というポイントが1枚のスライドに絞られているのです。
これは意外と難しい、とくに初心者にとっては難しいことです。研究者としてはどうしてもいろいろなことを話したいものですから発表は冗長になりがち。特に口頭発表で、話者が英語に堪能であればあるほど話が長くなる傾向があるのでは。その点、スライドに文章としてまとめたものを紙芝居形式で読ませてもらえるなら、いっそその方が良いかも知れません。
とは言えこの「誰でもできる英語発表」にも弱点があります。発表それ自体はこれで凌げても質疑応答になると文字通り答えに窮してしまうことに。良い研究発表には良い質疑応答が不可欠ですから、やっぱり場数を踏む必要がありますね。
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