カーボンニュートラルを実現するイノベーションとは(江頭教授)
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気候変動の問題を考えるとき、カーボンニュートラルな社会を実現することは喫緊の課題でしょう。ではカーボンニュートラルな社会を実現するのに必要なイノベーションとはどのようなものなのでしょうか。
一番受け入れられ易いのは「無公害で安価な無尽蔵のエネルギー源」の開発、というイノベーションでしょう。いままで世界中に作られた化石燃料による発電所をこの「無公害で安価な無尽蔵のエネルギー源」での発電所に入れ換える。貧しい国には新たな発電所を造る必要があるので「安価」であるべきでしょう。天候や地形の影響を受けないためには「無尽蔵」でなくては。そして気候変動以外の問題の原因とならない「無公害」なエネルギー源であることが求められるわけですよね。
さて「無公害で安価な無尽蔵のエネルギー源」がどんなものか。予想も付かない(だってイノベーションだもん)のですが、少なくとも電力の供給はこれでOK。車に乗せるのが難しいなら電気自動車への切換は必要でしょうか。航空機はもっと難しそうですが、いざとなったら合成燃料をつくれば今の航空機がそのまま利用できます。いや、合成燃料を大量生産すれば電気自動車もいらないか。だってこのエネルギーは無尽蔵ですからね。
ポイントは現在の生活スタイルや、すでに作られた車や飛行機、家電などなど、なにも新しくする必要がないこと。実のところほとんどの人はカーボンニュートラルな社会が実現されたことに気が付きもしないでしょう。一部の専門家が問題を解決してくれる、一般人には無関係で無関心でも構わない、というわけです。
イノベーションの力によって「無公害で安価な無尽蔵のエネルギー源」が実現されれば気候変動問題は解決です。
♪できると良いわね。できるとも。
いつ頃できるの、いつ頃よ。
そいつがわかれば苦労は無い。♪
いや、そんなイノベーションが起こらないとは断言できませんが、だからと言ってイノベーションが起こって「無公害で安価な無尽蔵のエネルギー源」ができるのを待っているだけ、というわけにもいきますまい。
まず、現在でも実用化されている再生可能エネルギーの拡充を目指す。「無尽蔵」ではない悲しさ、エネルギーの供給は今までよりもずっと絞られるでしょう。となれば可能な限りの省エネルギーが必要です。再生可能エネルギー+省エネでカーボンニュートラルな社会を実現しなくては。
カーボンニュートラルを実現するイノベーションとは、まさに再生可能エネルギーと省エネを実現するためのイノベーションです。これなら既存の技術の延長上にあるのだから計画的にイノベーションを促進することができそうです。
気候変動はいまや非常事態。よし、早速カーボンニュートラルを実現するイノベーションを実現しよう!再生可能エネルギーや省エネ関連技術に補助金をつけて…。
んっ?これって1970年代ころから今までずっとやってきたことでは。
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