「千年の恋も冷めるほど汚い字」(江頭教授)
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「あんたの字は千年の恋も冷めるほど汚いよ」とはまあひどい言い方ですね。これは私の母方の叔父が子供の頃に言われたことなのだそうです。でも、「未来では機械が字を書いてくれるから大丈夫だよ」と言い返したとか。今から70年ほど昔の話なので「コンピュータ」いや「電子頭脳」が開発されてから間もないころですから、なかなかの先見の明と言えるでしょう。
果たせるかな、叔父の予想は大当たり。その後開発されたワープロ、そしてパソコンとプリンターによって「活字」のクオリティの文字を紙に印刷することはたやすいことになりました。そして今では紙すら不要になりそうな勢いです。未来を正確に予測していわれなき批判を跳ね返した叔父のことを私は誇りにおもいます。とはいえ、若干複雑な気持ちも。なぜなら「千年の恋も冷めるほど汚い字」と言ったのは他ならぬ私の母だったからです。
そもそも私がこの話を知っているのは母がこの話を子供の頃の私にしたからです。で、その理由は「あんたも字が汚い」から。私は子供後頃に幼き日の叔父に仲間意識を感じたものでした。
さて、私は現在「機械が字を書いてくれる」未来世界に暮らしているわけですが、字が汚いことは確かにそれほど問題とはならない様です。何しろほとんどの字はキーボードで書くわけで、自分の字が他人に見られるのは書類にサインをするときぐらいです。字が汚いことを他人に恥じるということは確かにほとんどありません。
とは言え、字が汚くても大丈夫なのか、といえそんなことは全く無い。他人に恥じることはなくても自分が困ることはたくさんあるのです。なぜなら、私の場合、字が汚くて自分でも読めないことが問題なのですから。
しまった、多少自己流でもちゃんと読める字を書けるようになって置くべきだった。そう思っても後の祭りです。
将来技術が発達したとき、どんな技能が役に立たなくなるのか。これを正確に予言することは難しい、というか事実上不可能かも知れません。とはいえ技術が発達しても自分に必要なものは何か。これは比較的に考え易いのではないでしょうか。若い人たちには私の過ち(大袈裟)をくり返さない様に未来の自分を思い描きながら勉学に励んでもらいたいと思います。
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