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2022年5月

2022.05.31

6月1日からオンライン型バーチャルオープンキャンパス開催。来場型は6月12日(日)です。(江頭教授)

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 大学とはどんなところなのか?大学にいる人間にはその風景が当たり前すぎて誰もが良く理解してくれている様に思い込んでいるふしもあるのですが、外部の人、特にまだ大学というものに行ったことがない高校生諸君にとって、大学はやっぱりよく分からないところでしょう。そう考えると大学が一般の人に開放される機会は、大学を知る、という意味で貴重なチャンスです。(もっとも大学は普通の日でも別に閉鎖されているわけではないのですが...。)私が高校生の頃にも学園祭などで大学を訪れる機会があり、それなりに「大学とはこんなところか」と思ったものでした。

 さて、最近では多くの大学で高校生向けの見学会「オープンキャンパス」が開催されているので、実際に大学を見る、というチャンスは確実に増えています。本学でも例年、この季節から夏休みに渡って数回の「オープンキャンパス」を実施しています。

 本学の八王子キャンパスでの直近のオープンキャンパスは6月12日、つまり来週の日曜日に実施します。それに先駆けて、まずはオンラインで実施するバーチャルオープンキャンパスが明日6月1日からスタートします。

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2022.05.30

東京工科大学は文部科学省と国立教育政策研究所が実施している「全学学生調査」に協力しています(江頭教授)

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 私は昨年度から工学部の教務委員長になっています。そのため全学の教育関係の会議に出席するのですが、そこで表題の「全学学生調査」についての報告がありました。これは「大学教育に関して、学修の主体である学生目線からの全国的データ」を収集して整備し、活用できるようにしよう、という試みで文部科学省と国立教育政策研究所が実施しています。ただし今行われているのは本格的な実施を前にして予備的に実施するもの、つまり試行実施で、今回はその2回目だそうです。

 第1回は令和元年に行われているそうです。そのときは教務委員長ではなかったので知りませんでしたが、文科省にはその結果をまとめた資料がありました。資料によれば第1回の質問項目は36項目。結構な数なのですが報告書では「自由記述には負担感は小さかったとの意見が多数あったこと」などから項目数は過剰ではなかったと結論されています。そのせいでしょうか、今回第2回の質問数は61項目に増えています。うーん、自由記述に負担感が少ないとあった、と言いますが負担感を感じた人は自由記述まで書く余裕はなかったのでは。いくらなんでも61項目は増えすぎのように感じます。

 例えば「これまでに受けたオンライン授業(同時双方向型/オンデマンド型)の良かった点・悪かった点について、当てはまるものを全て選択してください。」といった設問は全数調査が必要なのでしょうか?この様な質問は、授業によっていろんな回答のパターンがあるはずで、それを平均したところであんまり意味がないような。

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2022.05.27

中学高校で何を教えるべきか(江頭教授)

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 今回は昨日の記事で言い残したことを少し書いておきましょう。きっかけは国会議員の人の「三角関数よりも金融経済を学ぶべきではないか」という提言で、三角関数というからにはこれは高校教育を念頭に置いたもののようです。

 金融経済というのが金融リテラシーのことだとすると高校教育で良いのだろうか。義務教育に入れるべきなのでは。そう言いたい気もしますがそこまで深く考えていないのでしょうから、ここは不問に付すということで。

 この議員さんの「教育の内容を時代に合わせて考え直すべきだ」という主張は理解できますし、もっと言えば私も賛成です。とはいえ、どんな内容を教えるべきか、具体的な議論がはじまると「総論賛成各論反対」状況になるでしょう。なにしろ専門家の意見を聞こうとしても、それぞれの専門家は自分の専門に深いこだわりがあるのです。自分の分野の内容を少しでも多く入れ込もう、削減なんてもってのほか、という態度になりがちですからね。専門家でなくて一般の人を、といっても「プロの一般人」なんていないのですから、何かしら専門性の影響を受けることになってしまいます。

 とはいえ知識の総量は年々多くなり、教育に使える時間は限られています。「○○は重要だ」という専門家の主張以外になにかの判断基準が必要ですよね。

 議員さんが(明示的かどうかは別として)考えているのは「役に立つ」という判断基準だと思います。(違っていたらごめんなさい。)でもこれはどうでしょう?今は役に立つと思われている知識でもすぐに古くなってしまうものがあると思います。意地悪な例ですが「リーマンショック前の金融工学に基づいた金融経済の知識」とか。

 さて、専門家が「重要だ」と言うかどうか、現在の人たちが「役に立つ」と言うかどうか、ではない基礎教育内容選定の基準とは?

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2022.05.26

「三角関数よりも金融経済を学ぶべきではないか」とは言えても「指数関数よりも金融経済を学ぶべきではないか」とは言えないよね(江頭教授)

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 国会で「三角関数よりも金融経済を学ぶべきではないか」という提言をした議員の方がいたそうで、またまた教育問題として「三角関数」がやり玉に挙がっているようです。私は以前にも「三角関数で関数の概念を学んだ!」という記事を書いていまして、これが3年くらい前のお話。そのときもやっぱり「三角関数を義務教育で教えるべきか」に疑問を呈した人がいたのですね。

 なんか三角関数は一般人の生活には役に立たないものの代表として批判されがちな様です。いや、三角関数は役に立つんだ、おまえ達はフーリエ変換も知らないのか、なんて反論もあります。それでもこのような「三角関数」批判が度々話題になる、というのは他に理由があるのではないかと思います。

 まず、ほとんどの日本国民が「三角関数」という言葉を知っているということ。そして三角関数の使い方の、少なくとも一つは知っていて、それを使った事がある・ないを判断できている、ということです。これは日本の教育の偉大な成果と言うべきですね。少なくとも「三角関数」を教えていることでこのような国民的(?)な議論が可能になってるのですから。

 さて今度は「金融経済」を教えるという部分。「金融経済」として一体何を教えるつもりなのでしょうか?経済学の一分野としての金融経済なのでしょうか。それとも「金融と経済」を略しているのか。あるいは「金融リテラシー」でしょうか。

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2022.05.25

LED照明と3.11(江頭教授)

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 LEDといえば今は照明機器ということになるでしょうか。でも昔、発光ダイオードと呼ばれていたころは照明と言うより「電源ONになっていることを知らせる超小型のランプ」みたいなイメージでした。昔は青色の発光ダイオードがなかったので照明に必要な白色光が作れなかったし、それより何より明るさが全く不足していたのです。

 とはいえ、原理的には高い発光効率が望めることは分かっていましたから、いつかはLED照明が実用化されるだろう、という認識は一部の人たちに共有されていたと思います。私もそんな人間の一人として、世の中は遅々として進歩しないものだ、などと思っていたものです。それが一気に一般化して広く普及するようになった。その切っ掛けはやはり3.11、つまり2011年3月11日の東日本大震災とそれにつづく電力危機だったのではないでしょうか。

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2022.05.24

学生実験と卒業研究の実験では刑事ドラマと裁判くらい違う、という話(江頭教授)

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 修士だったか博士だったか、学生のころひょんなことから留学生の先輩に「大岡越前」について説明しようとしたことがありました。「大岡越前は探偵のような活動をするけど本当は裁判官で…」「いや、そんなのダメでしょう。」

 確かに。刑事事件の裁判は検察側の証拠が被疑者に対して有罪を言い渡すのに充分であるかどうかを判断するものですよね。大岡越前は当初は探偵というか刑事というか、ともかく検察側として活動しています。その後で自分が集めた証拠の信頼性を自分で判断するのですから、そんな裁判はチェック機構として機能していません。

 それでも私達が「大岡越前」を楽しく見ていられるのは私達がちゃんと犯人を分かっていて、大岡越前が正しい判断をしていることが保証されているからでしょう。これは他の刑事ドラマも同様で、最後に犯人が海岸の絶壁の近くで真相を話してくれたりして、とにかく正解が明らかになります。正解が分からないことが前提の本物の裁判とは全く性質が違うのです。

 後で正解が明かされるかどうか、学生実験と卒業研究からスタートする本当の研究での実験との違いも同様だと思います。

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2022.05.23

良い学生実験とは(江頭教授)

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 これは私が前の職場にいた頃のお話です。学生実験の際にガラスで手をケガする人が毎年必ずでてくる、という問題に気が付いた学生実験の担当者達。これはいけない、ということでけがの原因を探ってゆくと、どうやらゴム栓に穴を開けてガラス管を差し込む操作でのケガが多いらしい。ケガをしたケースを観察すると差し込む際にガラス管のゴム栓から離れた部分を持って力を入れて押し込もうとしている場合がほとんど。ガラス管のゴム栓に近いところをもって作業をすれば力が巧く伝わってくれるのですが、離れたところを持つと変に力がかかってガラス管が折れた拍子に手に刺さってケガをするのですね。

 これが分かってしまえばこちらのもとでも言いましょうか。授業の際に「ガラス管のゴム栓に近いところをもって作業する」というコツを事前の講義で強調する様になってからみるみるうちに事故は減っていったとか。

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最近は穴が開いたゴム栓が売っているのですね。いや、学生実験で使うならちゃんとボーラーで穴を開けるところからやらなくちゃ!

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2022.05.20

TVドラマ「日本沈没(1975)」(江頭教授)

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 俳優の小栗旬氏主演のTVドラマ「日本沈没 希望の人」について以前紹介しました。その際には原作が出版された1974年の映画版の「日本沈没」と比較して、特にその科学に関する描写について否定的な意見を述べさせて頂きました。

 さて、今回取り上げるのは1975年のテレビドラマ版の「日本沈没」ですが、私は「日本沈没 希望の人」のスタッフの皆さんに謝らねばなりません。

 私が2021年のTVドラマ「日本沈没 希望の人」に対して不満だったのは、日本沈没という前代未聞の大きな変動を扱うとき、多くのデータの収集が必要であり個人の力を越えた最低でも国家レベルの取組が不可欠であって、たとえそれが実現できたとしても未来に起こることを正確に、しかも事細かに予測することなどできない、ということを無視している点でした。このため、全ての異変を的確に予言してみせる2021年版の「田所博士」は科学者と言うより預言者のように見えるし、さらにはドラマの展開もご都合主義に見えてしまいます。

 一方、1974年の映画「日本沈没」ではその点が巧く描けていたと思います。1974年版の小林圭樹氏演じる田所博士は預言者ではなく、ちゃんと科学者に見えるのです。

 ところが!映画版の「日本沈没」の成功を受けて作成されたTVドラマ版の「日本沈没」での田所博士は、やっぱり科学者ではなく預言者になっていました。同じ小林圭樹氏が演じているのに…。どうもテレビドラマというフォーマットが「日本沈没」というストーリーと相性が悪いのかも知れない。「日本沈没 希望の人」を作った人たちも頑張っていたんだろうなあ。

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2022.05.19

ESG投資の行方(江頭教授)

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 テレビ東京の「モーニングサテライト」略称「モーサテ」はビジネス情報中心のニュース番組。サラリーマン諸氏に人気の番組ですね。

 私自身は最近この番組を見ていなかったのですが、昨日(2022/05/18)の「モーサテ」では、特集(正確には「プロの眼」というコーナーです)の内容が「ESG投資の減速やむなし?」だというので久々にチャンネルを合わせてみました。(いや、録画したのでこの言い方は正確ではないか。)

 まずはESG投資とは何か。ESGは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)のこと。最期のガバナンスは corporate Governance、つまり企業統治のことですね。で、ESG投資はこの三つの領域に対して配慮した投資ということになります。投資するなら環境に配慮している企業、社会的課題に取り組む企業、企業統治に熱心な企業にしよう。なるほどこれは良さそう。ということでここ数年、ESG投資を謳ったファンドが急成長をしているそうです。

 さて、今回の「モーサテ」の特集はこのESG投資に陰りが見えるというお話し。具体的なデータとしてはESG関連のファンドの今年の発行額がどうやら昨年に届かないようだ。急成長にブレーキがかかっている、というのです。「『ESG投資、少し停滞かな』なんて笑顔で言ってたりする人もいる」という解説の人の具体的な体験談も織り交ぜながら話が進んでいきます。

 この原因と考えられているのは「ロシアのウクライナ侵攻の影響」です。ロシアからの原油や天然ガスの輸出が影響をうけることでエネルギー政策も変化するのでは、と考えられているのです。

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2022.05.18

グローバル経済の行方(江頭教授)

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 小説家でもあり文明批評家でもあった堺屋太一氏は「団塊の世代」という言葉を作った人です。この堺屋氏は戦前の日本は「人余りもの不足」だったと言い、戦後の高度経済成長期の日本を「もの余り人不足」と表現していました。そして「もの余り」の原因は安価な石油が安定して供給されていることだ、というのです。

 では今の日本を同じ様に表現したらどうなるのでしょうか。まず「人不足」は確定ですね。昔は「新しい仕事がどんどん増えているので人不足」だった訳ですが今は「純粋に働き手が減ることで人不足」という点が違いますが。そして「もの余り」も同じでしょう。ですが、その理由はおそらく経済のグローバル化によって、となると思います。

 この見方、2020年より前なら問題なく正しいと思えたでしょうが、新型コロナウイルスのパンデミックによって少し怪しくなってきました。そして2022年2月24日以降はさらに不透明になってきたと言えるでしょう。

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2022.05.17

GPAは成績で決まるけどGPAは成績ではない、という話(江頭教授)

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 大学生の皆さんには「GPA」は非常に気にかかるものでしょう。でも一般の人には縁遠いことばかもしれませんね。一応説明しておくと「GPA」は Grade Point Average の頭文字。"Average"とあるのは成績評価「S・A・B・C・D・X」の平均値のことです。もちろん、アルファベットのままでは平均をとることはできませんからSを4ポイントとし、Aは3、Bは2、Cは1という具合に点数を割り付けて、その平均値をとるのです。なおDやXは単位が取得できないので0ポイントとします。

 なるほど、この定義ならGPAが成績だと言っても良さそうに思えますが、じつはそれでは不都合のケースがあるのです。

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2022.05.16

保護者会を実施しました(江頭教授)

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 先週末、5月14日、15日の土日に、本学の厚生棟で保護者懇談会が開催されました。対象者は2年生以上の学生さんの保護者の方々となります。

 本学の保護者懇談会は春と秋、二回行われていました。ご多分に漏れずコロナ禍で一時中断したのですが、昨年の春から再開されています。ただし昨年は少し遅れて7月の開催となったので、春と言うより初夏の保護者面談でしたから、本来の意味での春の懇談会は今年から再開、ということでしょう。

 会場は本学の厚生棟という建物(下の写真)です。休みの日なのでこの厚生棟内に設置されている学生食堂を面談会場として利用しています。

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 入口に行くとなにやら看板が設置さています。

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こちらがその看板。面談には学生さんも参加することも有りますが、メインはやはり保護者の方。ということで場所を明示する看板が必要なのですね。

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2022.05.13

「日本沈没(1973)」の田所博士と「男はつらいよ」の田所教授(江頭教授)

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 俳優の小栗旬氏主演のTVドラマ「日本沈没 希望の人」を契機に昔の映画「日本沈没(1973)」について紹介したのですが、今回もそれに関連したお話し。今回は「男はつらいよ」とのクロスオーバーについてです。

「男はつらいよ」は1969年から1995年まで続いた映画シリーズ。監督は山田洋次、主演は渥美清で渥美清氏が亡くなったため1995年で終了となりました。おっと、昔のフィルムを交えた後日譚としての「男はつらいよ お帰り寅さん」が公開されていますから、それを入れれば2019年まで続いたシリーズと言うべきかも知れません。まあ、それを別として26年間作り続けられた上に、物語の性質上日本各地を回って撮影された映画シリーズなので、その当時の日本の情景や世情が自然に封じ込められたタイムカプセルの様なシリーズになっています。

 さて、この「男はつらいよ」のシリーズ第16作、1976年正月映画(1975年12月公開)の「男はつらいよ 葛飾立志篇」には小林圭樹氏が「田所教授」という役で登場するのです。小林圭樹氏は1973年公開の映画「日本沈没」で日本沈没という現象の謂わば第一発見者となる「田所博士」を熱演した俳優さんです。

 「日本沈没(1973)」の田所博士と「男はつらいよ」の田所教授、前者は地球物理学者で在野の研究者、後者は考古学者で東大教授、という違いはあります。でも映画「日本沈没」は実質1974年の正月映画ですから、2年前の小林圭樹氏の田所教授役の熱演を覚えていた当時の観客達にはピンときたのではないでしょうか。もちろん、正式なクロスオーバーというわけではないでしょうが、やはりそこを狙ってのキャスティングかと。

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2022.05.12

eneloopの衝撃(江頭教授)

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 先日の記事で「電子機器の電源として電池を用いればどこでも利用可能で便利です。でも電池を準備するのはそれなりの金額がかかる。」という書き出しで電源アダプターの話を書きました。電池はなくなるたびに新しいものに買い換えないといけない。電力量単位で考えると電池はかなり割高になる。だから電源アダプターが必要だ、という話でしたが、電池を使いながら費用を抑える工夫として充電式の乾電池を使う、という手がありますよね。最初は費用がかかりますが充電器とそれに対応した電池を買えば、あとは家庭の電源コンセントでほぼ無限に充電を繰りかえすことができるのです。

 乾電池型ではありませんでしたが、小型のカセットレコーダーやCDプレイヤーなどはこの充電式の電池が電源として使われていました。これらは持ち歩きして音楽を聴くための機器(携帯音楽プレイヤーです。スマートフォンが登場する前の時代だという点に注意!)ですから、ほぼ毎日使うというのが一般的だったと思います。電池がなくなったら(消耗したら)新しい充電式の電池に入れ換えれば継続して利用できる、ということで私は複数の電池を準備していつも鞄の中に充電済みの電池を入れておいたものでした。

 なら他の電気製品も乾電池は全て充電式の電池に交換してしまえば良いのでは。それはその通りで、今では私は普通の乾電池はあまり使わなくなっています。でも、こんなことができる様になったのは実は「eneloop」という製品が登場して以降のことなのです。

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図はPanasonicのホームページから。eneloopは今ではPanasonicの製品となっています。

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2022.05.11

世界のエネルギー事情(江頭教授)

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 本学工学部の柱の一つ「サステイナブル工学」ですが、私は工学部の二年生を対象に「サステイナブル工学基礎」という授業を担当しています。「サステイナブル工学」はサステイナブルな社会を造ろう、という目標を持っている訳ですが、その根底には現在の社会はサステイナブルではない。このままでは行き詰まってしまう、という認識があるのですね。

 授業の前半ではこのような「サステイナブルではない」点について述べるのですが、その最大の要因の一つはやはりエネルギー問題でしょう。当然、「サステイナブル工学基礎」の授業でもこの問題を論じることになります。

 いや、参った。大抵の授業は毎年同じ内容を説明すれば良いのです。「今年から炭素の原子量は11になりました」とか「最近の二酸化炭素は液化しにくいですね」なんてことはありません。でもエネルギー問題はそうではない。特に最近はこの特徴が著しい。2019年末から始まったコロナ禍でエネルギーの需要は落ち込み、一時は「マイナスの石油価格」なんて珍事が現実になる始末。でも今年は戦争の影響で原油価格は高騰しています。

 とはいえ、世界エネルギー事情には長年変化しない特徴もあるのです。

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2022.05.10

電源アダプターの交換(江頭教授)

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 電子機器の電源として電池を用いればどこでも利用可能で便利です。でも電池を準備するのはそれなりの金額がかかる。ということでAC100Vのコンセントから電源をとることができれば便利ですね。とはいえ、いきなりAC100Vを電池の代わりにはできないし…。

 こんな時に利用されるのが電源アダプター。ACアダプターとかAC/DCアダプターと呼ばれることもあります。これがあるととっても便利、なのは良いのですが一つ問題が。これって電子機器一つ毎に専用で交換がきかないのです。専用の電源アダプターをなくしてしまうと、さあ大変、ということに。電子機器のメーカーが電源アダプターを別売りしてくれていれば良いのですが、そうとばかりは限らない。

 いえ、正確には交換できないわけではありません。ただ、同じ「電源アダプター」にもいろいろな種類があるのです。まずは供給される直流電流の電圧。これが合わないと最悪電子機器が破損する可能性も。また電流、というか電源アダプターの容量も問題になります。この場合は大は小を兼ねるのですが、必要な電源容量を見極めないと。

 そして最悪なのがコネクターの形状の問題です。Vlcsnap2022050809h49m06s487_20220508110901

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2022.05.09

USB Type-Cに統一されるのも善し悪し(江頭教授)

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 大学でノートPCを使って作業をしていたときのお話です。

 突然画面に警告がでてビックリ。電力不足だとか何とか。おっと、電源ケーブルをつなぐのを忘れていました。急いで接続して作業続行。

 だんだん調子がでてきて集中し始めたところで、何と!ノートPCがブラックアウトしたのです。えっ!壊れたのか!?

 さて、種明かしをするとこのお話し、実はケーブル間違いなのです。最近目が衰えている私(「目が、目がぁ〜!」)はデスクではノートPCを大きなモニターにつないで利用しています。今までHDMIケーブルで接続していたのですが使っているノートPCのUSB Type-CポートがThnderBolt対応なのを思い出しました。で、USB Type-Cでモニターと接続してみたらあっさり映るんですよね。なるほど、と思って使い続けていたら電力不足に。そうだ、電源ケーブルもUSB Type-Cのコネクターでした。

 と、いうことでノートPCのUSB Type-Cの(USB PD側の)コネクターに電源ケーブルをつないだつもりだったのですが、実はつないだケーブルがWEBカメラのUSB Type-Cのケーブルだったのです。

 デスクではノートPCをモニターにつないでいると書いたのですが、この時の問題になるのがWEB会議システムを使うケース。ノートPCはほぼ180°に開いてデスクに置いているのでノートPCのカメラでは天井が写ることになってしまうのです。で、別途モニターの上にWEBカメラを置いて使っているのですが、そのケーブルがまたUSB Type-Cコネクタだった、というわけです。

 結局、私のデスクには「モニター用のDisplayPort Alternate Modeで使うUSB Type-C」と「給電につかうUSB PDのUSB Type-C」そして「データ伝送用のThunderboltのUSB Type-C」という三つのUSB Type-Cコネクタのケーブルがある、という状態なのです。

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2022.05.06

東京工科大学 八王子キャンパスの遊歩道(江頭教授)

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 世は正に大連休時代!今年は久々の行動制限の無いゴールデンウィークだそうで各行楽地は混んでいるに違いない。その一方で八王子キャンパスは人がいなくて空っぽのはず。

 ということで、すこし行楽気分を楽しみたくて本学八王子キャンパスの遊歩道を歩いてみました。

 八王子キャンパスは北西側が低く、南東側が高い斜面を利用して見晴らし良く作られていますが、この遊歩道は斜面の一番高いところに作られています。普段は研究棟までしか行かないキャンパスの坂道を突き抜けてその先に。遊歩道の入口ははっきりしなかったのですが途中から道に合流してすぐにこんな光景が。

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 360度森に囲まれていて、この写真だけではキャンパスだとはわからないのでは。

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 とはいえ、場所によっては木々の間に建物が覗いた入りします。上の写真ではプールが見えていますね。

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 さて、遊歩道はここで終わり…、かと思ったら「遊歩道入口」の看板が。どうやら私は逆向きに歩いていたようです。

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2022.05.05

「書き入れ時」って「掻き入れ時」と書くと思っていた人、いませんか?(江頭教授)

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 「ゴールデンウィークは大変な人出で街も賑わっています。通りのお店は正に書き入れ時です」

などというニュースが昔は定番でしたが、今年のゴールデンウィークはどうなのでしょうか。街にでるとやはり昨年より人が多いな、と感じますね。で、表題のようにこの「書き入れ時」を「掻き入れ時」と書くと思っていたひと、私はあなたのお仲間です。

 念のために確認を。「書き入れ時」というのはお店などで売り上げが多くなるとき、という意味。この意味を考えるとお客さんをどんどん店内に入れている様子や、その結果として売り上げを「掻き集めている」様子を想像して、なんとなく「書き入れる」を「掻き入れる」と間違えていました。

 本来は、この「書く」は店などの「帳簿を付ける」こと。「書き入れ時」は「帳簿を付けるとき」という意味ですね。帳簿を付けるのは一日の商売が終わった後だろうという気もしますが、あれは帳簿の整理でしょう。ものが売れたときには帳簿を付けているはずだから「書き入れ時」はやはりものが売れている時、という意味ですね。でもこの理解では売り上げを「掻きいれる」ほど繁盛している感じがしないなあ。

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2022.05.04

昨年と今年のゴールデンウィーク(江頭教授)

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 このブログの内容を不用意に拡散しないように。必要なら必ず裏をとり、引用文献などを読んで自分で確認し、理解し、検証してから、自分の言葉として発信しましょう。他人のことばをそのまま鵜呑みにするのは極めて危険な行為です。

 本日(2022/05/04)も東京工科大学はお休み。ゴールデンウィークなので休みが続きます。今年はやけにくつろいだ休日だなあ。そう言えば去年はどうだったんだろう。ということで昨年を少し思い出してみました。

 昨年のゴールデンウィークは忙しかった。理由は新型コロナウイルス感染症の感染拡大による緊急事態宣言に対応して対面授業からオンライン授業への切り換えを行うため。突然の事態で臨時休講日をいれて早めにゴールデンウィークをスタートさせ、休み中に準備を済ませて、休み明けから授業体制を切り換える、という方針をとったのでした。

 さて、今年は緊急事態宣言がでる様子はなさそう。それでこんなにくつろげるのか。では、昨年と今年、感染状況はどう違うのでしょうか。

 以下、いくつかのグラフを表示しますが、これらは東京都の「新型コロナウイルス感染症対策サイト(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)」に基づいています。疑問を感じた人は元データを確認してください。

 まず新規陽性者数のグラフ。上が昨年(2021年)、下が今年(2022年)の3月1日から4月30日の変化です。昨年は上昇傾向にあったのですが今年は減少傾向。右肩上がりと右肩下がりで明確な違いがありますから、今年は緊急事態宣言の心配がないのは納得ですね…って、ちょっと待ってください。上のグラフと下のグラフ、実は縦軸のスケールが全く違います。

 昨年のグラフでは一番高いところでも一日1000人を少し超えた程度。でも今年のグラフは低くても一日3000人を切ることはなかったのです。思えば昨年の今頃、何かの会議で「明日は一日1000人を超えそうだ」というニュースを聞いて学長が頭を抱えていたのを思い出します。それが今年は一日1000人なら大喜びしそうな勢い。うーん。われわれがコロナに慣れてきたのでしょうか。

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 まあ、これも故無きことではありません。今度は昨年と今年の「死亡日別による死亡者数の推移」を見てみましょう。先ほどと同様、上が昨年(2021年)、下が今年(2022年)の3月1日から4月30日の変化です。なお、この項目には注として「現在判明している人数であり、後日修正される場合がある」との記述があります。特に今年のグラフの右端(2022年4月30日)に近いデータは過小評価されている可能性があります。
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 さて、今年度のグラフと昨年度のグラフ、やはり縦軸のスケールは違いますが、20人と30人で10倍までの違いではありません。3月はじめの一週間を除けば昨年と今年のグラフには大差がないように見えます。

 もちろん、死亡者数だけで新型コロナウイルス感染症の被害を評価することはできませんが、このレベルを超えて増えそうなら緊急事態宣言などの対応がとられる一方で、減りそうなら対応しない。つまり、このデータを見る限りでは東京都レベルでこの程度の死者数は受け入れられている、ということなのでしょう。

江頭 靖幸

2022.05.03

再開!コーオプ実習先企業訪問(江頭教授)

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 コーオプ実習は7週間、約2ヶ月の企業での就業体験です。これは大学の一学期、授業14週間のサイクルのちょうど半分なので、一学期を二つに割って、年4期のクォーター制で実施します。4月からの1期、2期は夏学期に、9月からの3期、4期は冬学期に相当し、我々応用化学科、そして電気電子工学科の3年生はこの1期、2期でコーオプ実習を行います。

 さて、コーオプ実習は就業体験であると同時に授業でもあります。実習は企業に丸投げ、というわけではありません。期間中、学生は実習先に通うことになりますが、それでも本学のキャリアコーオプセンターという組織を通じて出欠状況を確認されています。また定期的に本学宛の報告書も作成しています。さらに実習先企業における学生の様子をみる、というのが表題の「コーオプ実習先企業訪問」。本学の教員が実習先企業に出向いて担当の方々に学生の様子を伺ったり、本人達の様子を確認したりする、という制度です。

 ご多分に漏れずこの「コーオプ実習先企業訪問」もコロナ禍の影響を受けました。なるべく人流を制限する、ということで「訪問」するのは憚られる。実習先企業の方々にも余計な気を遣わせるかも。ということで昨年度までは直接の訪問ではなく電話やメールを使って実習先企業の担当者の方にお話しを聞く、緊急非難的な対応になっていたのです。

 本年度、コロナ禍が収束したとは言いがたいものの、緊急非難的な対応をいつまでも続けている訳にはいきません。今期から実際の訪問を再スタートすることとなりました。

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2022.05.02

今日から東京工科大学はゴールデンウィークです(江頭教授)

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 このタイトル、普通の国民の方々は意外に思うかも知れませんね。(←「国民の方々」というのはネタ振りです)だって今年(2022年)のゴールデンウィークは既に4月29日の昭和の日にスタートしているのですから。それに今日(5月2日)って、連休の中に飛び飛びにある普通の日、つまり連休の中休みですよね。

 普通のカレンダーではその通り、さらに言えば連休の中休みはもう一回あって5月6日も普通の日です。でも本学ではこの連休の中休みの5月2日、6日を臨時休校日としているのです。

 それは凄い!それなら10連休になりますね。

そう思う方もいるかも知れませんが、残念ながら4月29日の昭和の日には授業がありました。ですから本学では今日5月2日から5月6日まで、5日分の授業がお休みなって前後の土日を加えて9連休となるのです。

 さて皆さん、これをどう思いますか?

 「休みがたくさんでラッキー」と思いましたか。それとも「授業料を払っているからにはちゃんと授業をしてくれなくては!」と思ったでしょうか。

 後者の人、ご安心を。実は本学の学年歴(学年歴というのは授業専用のカレンダー、といったものです。)では臨時休業日で平日を休日にしている一方で、 祝日授業開講日といって祝日に授業をする場合もあるのです。たとえば今年なら先週の金曜日、先に述べたようにこの4月29日は昭和の日で国民の休日ですが大学では平常通り、金曜日の授業を行いました。

 通常のカレンダーと異なる学年歴を用いるのはハッピーマンデー制度の影響です。

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