「書き入れ時」って「掻き入れ時」と書くと思っていた人、いませんか?(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
「ゴールデンウィークは大変な人出で街も賑わっています。通りのお店は正に書き入れ時です」
などというニュースが昔は定番でしたが、今年のゴールデンウィークはどうなのでしょうか。街にでるとやはり昨年より人が多いな、と感じますね。で、表題のようにこの「書き入れ時」を「掻き入れ時」と書くと思っていたひと、私はあなたのお仲間です。
念のために確認を。「書き入れ時」というのはお店などで売り上げが多くなるとき、という意味。この意味を考えるとお客さんをどんどん店内に入れている様子や、その結果として売り上げを「掻き集めている」様子を想像して、なんとなく「書き入れる」を「掻き入れる」と間違えていました。
本来は、この「書く」は店などの「帳簿を付ける」こと。「書き入れ時」は「帳簿を付けるとき」という意味ですね。帳簿を付けるのは一日の商売が終わった後だろうという気もしますが、あれは帳簿の整理でしょう。ものが売れたときには帳簿を付けているはずだから「書き入れ時」はやはりものが売れている時、という意味ですね。でもこの理解では売り上げを「掻きいれる」ほど繁盛している感じがしないなあ。
さて、こんな自分の間違いに気が付いたのは実は最近のことです。ニュースなどを耳で聞いている分にはともかく、文章の中では「書き入れ時」と書いてあるわけですから、すぐに気が付いても良さそうなものですが…。
昔は活字になったものをみれば素直にそちらを信じたものでした。でも、いつの頃からか、文章の方が間違っているのでは、と考えることもしばしば。これはおそらく世の中に活字、というか手書きでないプリントした書類が溢れてきた状況に対応した変化だと思っています。以前は活字で印刷することがそれなりにコストのかかる行為であり、せっかく印刷するなら間違いは減らしたい、ということで念入りに推敲されていたと思います。編集者や校正担当者など複数の目をとおることで間違いの可能性も極めて低かった。でも、活字の文章(本当の意味の活字ではありませんよ)が爆発的に増えたことで誤記や表記の間違いを含んだ文章も目にするようになっていった。それらを目にしたことから、自分が間違った表記で覚えている文章を見ても、著者が間違っていると多寡をくくってしまうのでしょう。(いや、「高をくくる」でした。)
私自身も、これからはちゃんとあまり使い慣れない表現は避けるようにしましょう。「最近の著者は言葉を知らん」などと上から目線でちょっと憤っているくせに自分が間違えていたら慚愧に堪えませんからね。(いや、ここは「恥ずかしい」で。)
「日記 コラム つぶやき」カテゴリの記事
- 英文字略称(片桐教授)(2019.03.13)
- 地震と夏みかん(江頭教授)(2019.03.11)
- 追いコンのシーズンはご用心(片桐教授)(2019.03.07)
- Don't trust over 40℃!(江頭教授) (2019.03.06)
- 「加温」の意味は「温度を加える」?(西尾教授)(2019.03.04)