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2022年6月

2022.06.30

大学とSDGs(江頭教授)

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 「大学」という組織の目標は大きく分けて二つ。教育と研究です。この観点から今回のタイトル「大学とSDGs」を考えると、大学がSDGsについて教育すること、そしてSDGsについて研究すること、がテーマになるでしょう。

 まずSDGsの教育について。私が担当する「サステイナブル工学基礎」という授業でもこのSDGsについて「サステイナブル デベロップメント」という概念の説明のなかで紹介していますが、少し触れる程度でそれほど深く解説している分けではありません。何しろ(毎回言いますが)本学のサステイナブル工学のカリキュラムはSDGsより前に作られていますから、我々が書いた「サステイナブル工学基礎」の教科書にもSDGsの章はないのです。

 では、SDGsについての研究についてはどうでしょうか?

 実は我々応用化学科では、いえ、われわれの属している本学工学部に視野を広げてもSDGsについての研究をしている人はいません。

 えっ、いまどきそんな状態なの?

いえいえ、ちゃんと読んでください。「SDGsについての研究」って書いてあるでしょう?これって「国連憲章とSDGsの整合性」とか「ブルントラント委員会の人脈がSDGs成立に与えた影響」とかそんな「研究」を意味しているはずですよね。

 我々が行っているのは「SDGsに沿った研究」とか「SDGs達成に資する研究」です。

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2022.06.29

7月1日からオンライン型バーチャルオープンキャンパス開催。来場型は7月17日(日)です。(江頭教授)

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 大学とはどんなところなのか?大学にいる人間にはその風景が当たり前すぎて誰もが良く理解してくれている様に思い込んでいるふしもあるのですが、外部の人、特にまだ大学というものに行ったことがない高校生諸君にとって、大学はやっぱりよく分からないところでしょう。そう考えると大学が一般の人に開放される機会は、大学を知る、という意味で貴重なチャンスです。(もっとも大学は普通の日でも別に閉鎖されているわけではないのですが...。)私が高校生の頃にも学園祭などで大学を訪れる機会があり、それなりに「大学とはこんなところか」と思ったものでした。

 さて、最近では多くの大学で高校生向けの見学会「オープンキャンパス」が開催されているので、実際に大学を見る、というチャンスは確実に増えています。本学でも例年、夏休み前から夏休みの終わりにかけて数回の「オープンキャンパス」を実施しています。

 本学の八王子キャンパスでの直近のオープンキャンパスは第2回。7月17日を予定しています。少し先ですが、実はそれ以前にオンラインで実施するバーチャルオープンキャンパスが明後日の7月1日からスタートします。

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2022.06.28

再生可能エネルギーのインパクトはどのくらい?(エネルギー白書2022より)(江頭教授)

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 この「再生可能エネルギーのインパクトはどのくらい?」というタイトルの記事、このブログでは何回書いてきたものです。エネルギー白書をもとに再生可能エネルギー の普及状況について紹介してきました。今年のエネルギー白書2022で内容をアップデートしよう、というのが今回の記事です。

 まずは代表的な再生可能エネルギーである太陽光発電の世界での導入量。以下のグラフがそのデータですが、この手の統計データには少しタイムラグがあるので今回は2020年までのデータが示されています。2020年にはコロナ禍の影響が大きかったはずなのですが太陽光発電の導入量は減るどころか増え続けている様子が分かります。

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では、再生可能エネルギーのもう一つの代表である風力はどうでしょう。

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 こちらも2020年までのデータですが、太陽光発電と同様コロナ禍の影響を受けてなお、順調に増加していると言えるでしょう。ただ太陽光発電ほどの上昇速度ではなく、とうとう太陽光発電に追い抜かれています。

 今回も「世は正に大 再生可能エネルギー時代!」という印象です。では他のエネルギー源とくらべてこれら(水力以外の)再生可能エネルギー源はどのくらいの存在感があるのでしょうか。

 

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2022.06.27

リバウンドする世界のCO2排出量(江頭教授)

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 前回の記事では日本の温室効果ガスの排出量についてのデータを紹介して

 今回発表された2020年度のデータの5.1%減というのはそれまでに比べて減少幅が大きく、報告書では「省エネの進展」、「電力の低炭素化(再エネ拡大及び原発再稼働)」に加えて「新型コロナウイルス感染症の感染拡大」等が影響した、と述べられています。

と述べました。日本の2021年度の公式の温室効果ガス排出量のデータはまだまとまっていないので、その後どうなったかはまだ正確にはわからない。ですが、電力の需給やマーケットデータを利用した推計は可能です。ということで、今回は世界レベルでのCO2排出量の変化についてのデータ(推計値を含む)を見てみましょう。

 エネルギーに関する国際機関のIEA ( International Energy Agency ) のレポート

”Global Energy Review: CO2 Emissions in 2021”

にまさにそのデータが出てきます。この資料はIEAのWEBサイトから無料でダウンロードできます。(IEAへの登録が必要。)

実はこのレポートには副題がついていて

Global emissions rebound sharply to highest ever level

です。いや、もうこれだけで十分なのでは。

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2022.06.24

日本の温室効果ガスの排出量(2020年度版)(江頭教授)

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 最大の環境問題である地球温暖化、その原因物質である二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスはだれがどのくらい出しているのでしょうか。温室効果ガス削減のための基本的な指標となるこのデータ、日本国内での発生量については温室効果ガスインベントリオフィス(GIO)がとりまとめて毎年発表しています。最新版はこの4月に発表された2019年度のデータ。少しタイムラグがあり、一昨年度のデータを昨年度のうちに整理して今年度発表する、というながれになっています。

 さて、実はこの記事、昨年もほぼ同じ書き出しで書いた日本の温室効果ガスの排出量(2019年度版)」のアップデート版ですが、その2019年度版の記事も2018年度版2017年度版2016年度版2015年度版2014年度版のアップデートなので、同じテーマで7回目の記事となります。さて、今回の結果は

2020年度の我が国の温室効果ガス総排出量︓11億5,000万トン(CO2換算)

前年度の総排出量(12億1,200万トン)と比べて、5.1%(6,200万トン)減少。

となっています。昨年2019年度版では前年度比2.9%減、その前の2018年は3.9%減、2017年度2016年度と続いて1.2%減、さらに2.9%減、3.1%減と続いて、直近のピークである2013年からとうとう7年連続の減少となりました。2018年度以降「排出量を算定している1990年以降で最少」という結果が続いており、今回はその記録がさらに更新されているのです。

 この減少傾向は、日本社会が温室効果ガスを出さない社会に向けて構造的な変化を起こしている過程だと言ってよいと思います。ただ今回発表された2020年度のデータの5.1%減というのはそれまでに比べて減少幅が大きく、報告書では「省エネの進展」、「電力の低炭素化(再エネ拡大及び原発再稼働)」に加えて「新型コロナウイルス感染症の感染拡大」等が影響した、と述べられています。

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2022.06.23

オンライン授業のポイントは「板書」だと思う(江頭教授)

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 コロナ禍の影響で遠隔授業が急激に一般化したことを受けて、世の中にはいろいろな遠隔授業支援システムが登場している様です。先日、その一つのカタログをみせてもらう機会があったのですが、その中で

 教師の映像は高画質でなくても良い

というような書き方がされているのを見つけました。

 うーん。ぶっちゃけると教師の映像は実は高画質でなくても良いどころか、そもそも無くても良いケースも多いのですよね。特に、口頭の学会発表に近いような授業では実はスライドショーの映像さえ見えていれば教師は声だけ良いのです。現にコロナ禍の最中には、我々応用化学科でもカメラ無しでそれなりのオンライン授業を実施することができていました。

 そもそも「教師の映像」は何を伝えているのでしょうか。教師が話すときの身振り手振りでしょうか。ならスライドショーにポインターで代用可能です。教師の話すときの表情?いえ、教室の後ろの方ではそもそもそんな表情なんて見えないでしょう。

 でも、教師の映像が授業の中心になる時もある。それは板書をしているときだ、と私は思います。School_class_20220622183801

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2022.06.22

ワクチンパスポート3回接種版(江頭教授)

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 今回も「ワクチンパスポート」こと「新型コロナワクチン接種証明アプリ」のお話。コロナ禍で海外出張ができないうちにパスポート切れ、いつか海外に行ける日を信じて新しいパスポートを発行したのが、はて半年くらい前の事でしょうか。そのときはワクチン2回打ちの状態だったので、私の「ワクチンパスポート」つまり海外用の「新型コロナワクチン接種証明」は2回で止まっていました。

 さて、今年3月には3回目のワクチン接種をしたので、海外版もきちんとアップデートしなくて。そう思ってパスポート(これは本当のパスポート、つまり旅券ですね)を準備してスマートフォンのアプリを見ると、おっとパスポートだけじゃダメなんだ。

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 パスポートの他にマイナンバーカードが必要なのですね。そう言えば前回もそうだったような。そこで、マイナンバーカードも準備して、さあ再挑戦です。

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2022.06.21

ワクチンの接種証明アプリがはじめて役に立った、という話(江頭教授)

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 このブログにも書きましたが私はコロナウイルスのワクチンを3回接種しています。せっかくなので接種証明アプリを手に入れて接種証明書がいつでも出せる状態にしているのですが、はて、いままで全く使う機会が無い。コロナ禍の生活に完全に適応してしまってあまり人の多いところに出て行かなくなったからなのか。私は一度も接種証明を求められたことがないのです。

 さて、そんなことを思っていた今日この頃、今度は風疹のワクチン接種を受けることになったのですが(この話は昨日の記事をご覧ください。)実は風疹のワクチンとコロナのワクチンは一緒には打てないとか。そこで私が風疹ワクチンを注射してもらうときにも「コロナのワクチンを打ちましたか」「一番最近だといつ打ちましたか」との問診が。えっ、いつだっけ。随分前のようなついこないだのような。還暦も近くなると記憶も曖昧なんだが…、などと思考があらぬ方向に漂い出す前に看護師さんが一言。「2週間以内ですか?」

 これは分かり易い。いえいえ、さすがにそんなにすぐではありません。「いいえ」と答えてこれでOK。要するに風疹ワクチンとコロナワクチンとは2週間は間を開けることが必要な様です。

 そして風疹のワクチン接種を受けた後で気が付きました。そうだ!ワクチン接種証明アプリがあったじゃないか。うーん。もう手遅れか。

 えっ、この話のタイトルは「ワクチンの接種証明アプリがはじめて役に立った、という話」じゃないの。これじゃあ看板に偽りありでは。そう思った人は続きを読みましょう。

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2022.06.20

風疹のワクチンを接種してきました(江頭教授)

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 ある日私のところに八王子市から写真の様な封筒が。みれば「風しんの抗体検査と予防接種のご案内」とか。コロナと違って風しんが流行っているという話は聞かないが、はて。そう思って内容に目を通すと、妊娠中の女性が風しんにかかると胎児に悪影響がでるのだとか。飛沫感染でうつる感染症である風しんが流行すれば大問題。それを防ぐために風しんのワクチンを打ってもらいたい、という内容でした。

 自分の都合だけを考えれば別にワクチンを打つ必要は無さそうですが、でも世のため人のためとなれば話は別。幸い私はコロナのワクチン接種でも大した副反応を経験していませんし、コロナ以前も予防注射で体調が悪くなったことはありません。件の封筒には無料のクーポン券も入っていましたし、私が高血圧の治療で定期的に通っている病院も実施機関に入っています。これだけ条件が整っていれば迷う必要はありません。病院に高血圧の検診に行くとき、一緒にこの封筒を持って行きました。

 当日、ワクチンを注射されるのかなと思いきや、実際は逆に血を採られました。まずは抗体検査をして抗体が少ない人にだけワクチンを打つのだそうです。当日中に結果は出ない、ということでその日はそれでお終い。これが今年の4月のこと。2ヶ月半たって高血圧の検診の日がまた巡ってきたのですが、「抗体は不充分ですね」と結果を告げられて、今度こそワクチンを注射された、という顛末です。

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2022.06.17

猫も杓子も「サステイナブル」(江頭教授)

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 本学工学部の開設は2015年、このことはこのブログでも時々ふれています。「サステイナブル工学」は工学部開設の時から本学工学部の特徴として位置づけられていました。当初は「サステイナブル」という言葉自体があまり有名では無く、説明するにも「サステイナブル」とはそもそも、持続可能性が云々と解説していたものです。

 その「サステイナブル」ということばは今では結構有名に。本学工学部の努力が実って、と言いたいところですが、やはりこれはSDGs、つまり「Susteinable Development Goals」が広く一般に知られる様になったことが原因でしょう。MDGs(Millenium Development Goals)につづく国連の行動計画。いわば「第2次国連15カ年計画」であるSDGsにたまたま「サステイナブル」という語が入ったことがブームの切っ掛け。おかげで私達が「サステイナブル工学」を説明するのも随分と楽になりました。

 とはいえSDGsのスタートは2016年ですから、われわれ工学部の方が伝統ある本家と言えましょう。先に述べたように本学工学部の開設は2015年。SDGsより前にスタートしていますからね。

 さて、世の中で有名になった「サステイナブル」ということばは本当にありとあらゆるところに現れる。先日、映画館でもらってきたチラシには以下の組織名が。

SUSTAINABLE HAPPINESS ORGANIZATION WITH COMPUTATIONAL KNOWLEDGE EMBEDDED REMOBELING

前半の「SUSTAINABLE HAPPINESS ORGANIZATION」、最初のORGANIZATIONはWHO等と同じく「機関」と訳すべきでしょうか。少し座りが悪いですが「持続可能な幸福機関」。そして後半ですが、まず「REMOBELING」は「改造」ですよね。「計算知識埋め込み型改造による持続可能な幸福機関」となります。

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2022.06.16

たのしい化学の実験(江頭教授)

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 以前の記事で「化学に興味がある人でも自宅で化学実験ができるわけではない」という話を書きました。では大学の化学系の学科に入ればすぐに実験ができるのか、というとそれは別のお話。普通は学生実験で基礎技術を身につけるところからスタートするものです。

 とはいえ、それでは味気ない。ということで本学応用化学科では新入生諸君の自分で実験を企画して実施してもらうチャンスを設けています。こちらの記事で説明している様にフレッシャーズゼミという授業ではグループワークとして自主企画実験を行い、その成果をポスター発表することになっているのです。

 さて、前期の授業も折り返しを過ぎてグループワークもまとめを視野に頑張るところ。と言うわけで最近のフレッシャーズゼミの時間は多くのグループが学生実験室で各班の実験に取り組む姿が見られるようになりました。

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一見するといつもの学生実験の風景。でもよく見ると各テーブルでやっていることがバラバラ。おまけに普段の学生実験では見ないような代物が…。

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2022.06.15

犬に怒られた。(片桐教授)

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 今朝、奥さんに大学まで送ってもらうために、駐車場でぼ〜っとしていたら、散歩中の犬に怒られました。

 世の中にはイヌ派の人と、ネコ派の人がいるそうですが、私はイヌ派です。ネコは飼ったことがありません。いつも散歩中のイヌを見かけると、すこし嬉しくなって、その姿を目で追ってしまいます。今朝も散歩中のその小型?中型の白っぽい洋犬を微笑ましく思いながら眺めていました。
 しかし、道路を挟んだ向こう側の歩道にいるそのイヌは私を見ると、グルルと低い声でうなりだし、前足を突っ張って飛びかかる姿勢になってました。飼い主が慌てて抱え上げ、ヨシヨシと言いながらそそくさとその場を離れていきました。なんなんだ?。

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 イヌに「ワン!」と吠え付かれることはままあります。あるいはすれ違いさまに戯れ付かれることもあります。しかし、敵意丸出しでこちらを睨みながらグルルとうなられたのは、おそらく初めてです。
 「なんなんだ?」と当惑していると、奥さんがやってきて大学へと送ってもらいました。

 その車内で
「イヌにおこられちゃった。」
とつぶやくと、奥さんが面白そうに
「クマにまちがえられたんじゃない?。」
と言ってきました。自分の伴侶をクマというのは…、ひどい言い草だと思いませんか?。
「クマはないでしょ。クマは。…でも何で怒られたんだろう。」
「そうね。私イヌがあんな風に怒っているのを見たこと無いわ。何か機嫌が悪かったのかなあ。」
「…それとも、何かオレの後ろに邪悪なものでも憑いていたのかな。」
「そうかもね。」
と他愛も無い会話をしました。

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2022.06.14

本学工学部の「第1回 国際交流イベント」が開催されました(江頭教授)

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 今回ご紹介するイベントはわれわれ応用化学科が所属する本学工学部の「第1回 国際交流イベント」です。

 本学の工学部、そして大学院のサステイナブル工学専攻にはそれなりの人数の外国からの留学生が在籍しています。そんな留学生諸君に自国の紹介や日本に来た感想など、まあ肩の凝らないお話をしてもらうことで交流を深めよう、というのがこの「国際交流イベント」。その第1回が昨日(2022/06/13)の昼休みの時間を利用して行われました。

 会場は片柳研究棟の入口ホール。その一角にスクリーンやモニターを持ち込んで臨時の会場が設営されました。

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 セッティング完了と同時に人が集まってきて、さあスタート。工学部の国際交流担当の原教授からの趣旨説明に引き続き、今回は3名の留学生の方が登壇しました。

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2022.06.13

オープンキャンパスを実施しました。ヴァーチャルオープンキャンパスも実施中です。(江頭教授)

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 昨日、6月12日の日曜日、今年度最初の対面のオープンキャパスを実施しました。おっと、正確には2023年入学の皆さんを対象としたオープンキャンパスは3月にもありましたから、そういう意味では2回目ですね。

 今回のオープンキャンパスは対面、というか来場型(オープンキャンパスの場合はこの呼び方になるようです)とオンライン型のバーチャルオープンキャンパスの両方で実施しています。そしてバーチャルオープンキャンパスの方は今でも参加できますから、こちらにも正確を期せば、2023年入学の皆さんを対象とした2度目のオープンキャンパスを開催中です、となります。

 さて、対面あらため来場型のオープンキャンパスを開催する日曜日、前日の雨とは打って変わった良い天気。でも暑すぎることもなく風の心地よい朝となりました。以下の写真は私の教授室の窓から見た片柳研究棟の入口付近。おや、大学にオープンキャンパス参加者が集まってくれています。

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 この入口を入ってすぐ、片柳研究棟の玄関ホールに受付があるのですが、ここでの密を避けるため、今回は学部毎に時間をずらしての開場としています。そのため工学部の学部説明は11時半開始に。学部長が全体を説明し、コーオプ教育については実際にコーオプ実習を経験した学生さんが体験談を披露しました。そして「サステイナブル工学教育」については私が担当。それが以下の写真です。

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あっ、黒板の前でしゃべっているのが私です。写真は応用化学科の西尾先生にとっていただきました。

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2022.06.10

日曜日(6月12日)のオープンキャンパス研究室見学に寄せて(江頭教授)

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 落合陽一氏は新進気鋭の研究者というかアーティスト、いやマルチタレントでしょうか。このブログでも以前落合氏がキャスターを務めたNHK BS1 スペシャルの「コロナシフトでつくる日本の未来 デジタル」について感想を述べたことがあります。

 さて、その落合氏の文書が少し話題になっていました。それがこちらの「大学教員8年目やってるとワナビーとモノづくり好きの区別がつくようになってくる」という記事です。この記事、肝心な部分は多分以下のところ

もし,作りたいと思って作ったことのない人や研究したいと思って研究したことのない人は「結果の評価や自己実現」に憧れているだけで実験結果や実装そのものそしてその過程に興味があるわけでも好きなわけでもない.

なるほど。化学に興味のあるひとなら大学に入る前に自宅で化学実験の一つもやっているもの…ってそんなわけない!

 化学の実験をしよう、と高校生の人が考えたとしましょう。いろいろ薬品を集めることを考えるとそれなりの費用がかかる、っとそれ以前にそもそも全ての化学の試薬を一般人が購入できるわけではありません。危険性のある薬品はそもそも手に入らない。もし何かの方法で手に入れたとしてもそれで実験をした後、どうやって処理をしたらよいのでしょうか。個人が業者に依頼しようとすれば、その由来を説明する必要があるでしょうし、だからと言って勝手に捨てることは許されません。自分で処理をするのも難しいでしょう。

 要するに化学という分野について言えば、本格的に研究ができるのは大学に入ってから、ということなのです。基本的に高校生は「研究したいと思って研究したことのない人」にならざるを得ないのです。

 今週の日曜日(2022年6月12日)に実施予定の本学オープンキャンパス、応用化学科で実施予定の研究室見学は、本格的に研究をしている場が公開される数少ないチャンスの一つです。

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2022.06.09

今週で第一クォーター終了、第二クォーターが始まりました(江頭教授)

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 4月にスタートした新年度、従来の前期後期の学期制なら今頃は「前期も半分過ぎて折り返し点です」ということになるでしょう。実際、本学科の1、2年生にとってはその通り。気を引き締めて前期残りの期間を充実させましょう。

 ただ、応用化学科の3年前期の授業はクォーター制で行われています。クォーター制とは前期を第1期、第2期の二期に分けて行うもの。本来は1年を4期に分けて行うものですが、本学のクォーター制は前期後期制の一方の期を二つの分ける、やや変則的な制度です。(ハーフ・アンド・ダブルクォーター制とでもいうのでしょうか?)

 でも、なんでこんな制度に?

 これは本学工学部の教育の重点の一つ、コーオプ実習制度に対応したものです。すべての学生が企業で7週間の実習教育を受ける、というのがこの制度の要点ですが、では前期14週間の残りはどうしているのか?もちろん遊んでいる訳ではなく、授業を受けるのですが、こんどは授業期間は短くなってしまう、という問題があります。

 そこでクォータ制。1週間に受ける授業の科目数は少なくなりますが、一つの科目は原則週2回実施します。(一部2回より多い科目もあります。)半分の科目を倍のスピードですすめるのがクォータ制。そのため、本年度の第1期が今週の火曜日(6月7日)という早い時期に終了となったわけです。

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2022.06.08

新旧人工知能と勉強の仕方(江頭教授)

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 人工知能(AI)に新旧という言い方をするかどうかは知りませんが、私がここで言いたいのは人工知能のモデルには大きなパラダイムシフトがあった、ということです。古い(旧)人工知能は「明示的なルールを用意して自動的に推論する」というルールベースの推論システムのこと。(この辺のことは以前の記事で書いています。)

 でも今の人工知能は違いますよね。「問題と正解の組み合わせをたくさん与えることで同種の問題を解けるようになる」という機械学習システムのことを人工知能と言うのが一般的だと想います。

 さて、なんでこんな話を始めたか、ですが最近新入生(いや、もう新入生という感じでもないか)と話をしていて「勉強の仕方が分からない」という話を聞いたから。勉強の仕方にも人工知能と似たような「ルールベース」的な勉強と「機械学習」的な勉強があるのでは、と思いついたのです。

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2022.06.07

サステイナブル工学基礎 学内施設見学(2022年度)(江頭教授)

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 本学の工学部が掲げる「サステイナブル工学」、その最初の授業として本学2年生が履修している授業が「サステイナブル工学基礎」です。本年四月からは2021年度入学の第7期生が受講を始め、第7回目の講義が行われています。この「サステイナブル工学基礎」で行われるのが学内施設の見学。工学部三学科が代わる代わる学内のサステイナブル工学に関係の深い施設を見学します。6月6日には我々応用化学科の見学が行われました。

 実はこの学内施設の見学、2020年度、2021年度と2年連続して中止となりました。理由はご多分に漏れず「コロナ禍」のため。特に昨年、2021年度は当初実施を計画していたのですが緊急事態宣言のために急遽中止となったのでした。

 ということで今年は実質3年ぶりの実施となりました。第5回、第6回の「サステイナブル工学基礎」では学内施設見学は行われなかったので、学生諸君の引率を手伝ってくれるSA(Student Assistant)の諸君に「自分達の年は実施されなかったので良い機会でした」と言われるという状況。ここでも久しぶりの実施であることを実感したのでした。

 さて、今回の見学について。私が引率した班は「スマートハウス実習棟」という専門学校の施設からスタートしました。太陽電池が乗っている建物です。ここにはいろいろな家庭向けエネルギー関連技術の設備があり、その運用や施工方法を学ぶ場所となっています。たとえば太陽電池。200Wの太陽光パネルが30枚。これに施工実習用のパネル6枚を加えて全体で7200W、つまり7.2kWの発電能力があります。

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2022.06.06

オープンキャンパスで研究室を公開できるのはドラフトのおかげだよね、というはなし(江頭教授)

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 先の記事でも説明した通り、本学の今年度最初のオープンキャンパスは今週の日曜日(6月12日)に開催です。応用化学科の今回のメインは研究室見学。実際に研究が行われている研究室を公開するというもの。公開する研究室のリストをみると「高分子・光機能材料学(山下・入谷)研究室」「触媒化学(原)研究室」「光機能性錯体化学(森本)研究室」「有機合成化学(上野 聡)研究室」となっています。

 上野研は有機合成化学研究室となっていて正に有機合成の研究室。山下・入谷研は研究対象である高分子や光機能材料の研究室名乗っていますが、その材料を作るのはやはり有機合成の手法を使います。森本研の光機能性錯体化学室のメインは人工光合成で、光合成を起こす錯体をつくるのも有機合成。触媒を研究している原研でも有機合成の技術を利用した触媒作成が研究されています。

 うーん、有機合成の研究室を公開して良いのか。

 なーんてことをふと考えている自分に気が付きました。昔は、そう20~30年くらい前は有機合成の研究室は外からでもそれと分かるほどの特徴があったのです。

「分かりますか。」

「においだな。」

てな感じで、有機合成の実験をしている研究室には独特のにおいがしたものです。

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2022.06.03

来週の日曜日(6月12日)は東京工科大学のオープンキャパスへ(江頭教授)

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 大学とはどんなところなのか?大学にいる人間にはその風景が当たり前すぎて誰もが良く理解してくれている様に思い込んでいるふしもあるのですが、外部の人、特にまだ大学というものに行ったことがない高校生諸君にとって、大学はやっぱりよく分からないところでしょう。そう考えると大学が一般の人に開放される機会は、大学を知る、という意味で貴重なチャンスです。

 おっと、これは火曜日の記事の繰り返しになっていますね。今回もオープンキャンパスの告知ですが、前回はオンラインで実施のバーチャルオープンキャンパス(これは今でもやっています、っていうか絶賛開催中ですのでこちらもよろしく)のお話。今回は本学キャンパスで実施する来場型のオープンキャンパスについて説明しましょう。

 まず実施日は来週の日曜日(6月12日)です。本年度最初の来場型オープンキャンパスで全体としての目玉は本学の入試情報の公開。こちらは大学全体のイベントですが、我々工学部応用化学科でも個別にイベントの準備をしています。

 学部・学科の説明など必須で定番の内容はもちろん、本学工学部の特徴であるコーオプ教育について、実際に参加した先輩学生からの生の声、それにサステイナブル工学教育についての説明(これは私が担当)もあります。そして応用化学科で何より注目なのは研究室の公開です。

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2022.06.02

「地域連携課題」の発表会が行われました(江頭教授)

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 今週の月曜日(2021年5月30日)2022年度、第一期の「地域連携課題」の学科内発表会が行われました。

 「地域連携課題」という言葉、聞いたことがない、という方も多いと思いますが、本学の授業の名称です。本学科では3年生前期の授業。つまりクォーター制(前期を1期、2期の2つに分ける制度)で実施されるコーオプ実習の際、大学に残っている学生に向けて行われている授業です。シラバスには授業の内容は、「学生が地域の関係者と連携しながら地域・社会的な課題等に取り組む」ものとあります。

 本学部は八王子キャンパスにありますから、この場合の「地域」は具体的には八王子市のことです。八王子市の「担当者等を講師に招いて地域が抱える各種の課題を学んだ後」に、「学生が自ら主体的に地域から課題を選定」し、その解決方法を提案する、それが地域連携課題の授業内容です。この授業はグループワークを基本とし、いろいろな施設や企業を訪れて課題の解決方法を調査・分析、結果を比較検討することで効果的で具体的な提案を目指します。

 実はこの「地域連携課題」、一昨年度はコロナウイルス問題のためグループワークができず発表会を行うことができませんでした。昨年度も緊急事態宣言が出される状態でオンラインでの発表会となりました。本年度になってようやく対面での発表会が開催できたので私達教員も感無量です。

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2022.06.01

ハラスメントを定義できるか?(江頭教授)

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 ハラスメントの定義、というと抽象的ですね。もっとはっきり言いましょう。ここでは「ある行為がハラスメントかハラスメントでないか、機械的に判断する基準はありますか?」ということを考えてみたいのです。

「それハラスメントだぞ!」

「えっ、なんで。どこら辺がハラスメントなんだ?言ってみろ!」

「そんなの当たり前だろ!そんな事も分からないのか。大体おまえは…。」

「何だと!おまえこそパワハラだろう!」

てな感じで、ハラスメントが問題になるときには多くの場合「それがハラスメントなのか」という議論が生じるものです。これはある意味当たり前で、誰がどう見ても分かる問題行動であれば、普通は法律で禁じられているはず。それはハラスメントじゃなくて犯罪なんですよね。結局、ハラスメント問題にはいつも「微妙な判断」がつきまとうことになるのです。

 ハラスメントを定義するのは化学の世界で元素や分子というものを定義する、というのとはわけが違いそうです。元素や分子はそもそも自然に存在しているものですから、定義といっても実は「記述している」だけなんですよね。これに対してハラスメントはハラスメントと判断されたとき、はじめてハラスメントになるのです。しかも犯罪の認定とは違って個々人による判断の違いも大きそうです。

Kenka_tsukamiai

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