« リバウンドする世界のCO2排出量(江頭教授) | トップページ | 7月1日からオンライン型バーチャルオープンキャンパス開催。来場型は7月17日(日)です。(江頭教授) »

再生可能エネルギーのインパクトはどのくらい?(エネルギー白書2022より)(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 この「再生可能エネルギーのインパクトはどのくらい?」というタイトルの記事、このブログでは何回書いてきたものです。エネルギー白書をもとに再生可能エネルギー の普及状況について紹介してきました。今年のエネルギー白書2022で内容をアップデートしよう、というのが今回の記事です。

 まずは代表的な再生可能エネルギーである太陽光発電の世界での導入量。以下のグラフがそのデータですが、この手の統計データには少しタイムラグがあるので今回は2020年までのデータが示されています。2020年にはコロナ禍の影響が大きかったはずなのですが太陽光発電の導入量は減るどころか増え続けている様子が分かります。

Photo_20220628065301

では、再生可能エネルギーのもう一つの代表である風力はどうでしょう。

Photo_20220628065501

 こちらも2020年までのデータですが、太陽光発電と同様コロナ禍の影響を受けてなお、順調に増加していると言えるでしょう。ただ太陽光発電ほどの上昇速度ではなく、とうとう太陽光発電に追い抜かれています。

 今回も「世は正に大 再生可能エネルギー時代!」という印象です。では他のエネルギー源とくらべてこれら(水力以外の)再生可能エネルギー源はどのくらいの存在感があるのでしょうか。

 

エネルギー白書2022のデータはこれです。

Photo_20220628065801

 まず、太陽光発電や風力発電と異なり、2020年のデータが減少に転じていることが注目されます。エネルギー全体でみればコロナ禍の影響はやはり大きいのですね。そんな中で再生可能エネルギーは増加を続けているのですから、その比率はぐんとアップして…も、それでも5.7%でした。

 ここはやはり今まで同様、

全一次エネルギーに対して再生可能エネルギーの占める割合はまだ5.7%に過ぎません。化石エネルギーも石炭はやや消費に陰りが見えますが、化石エネルギー全体としては抑制どころか未だに増加が続いている、というのが世界の現在(正確には2年前ですが)の姿です。再生可能エネルギーの導入が進んでいる、とは言っても世界的に見ればまだまだ「導入が始まった」程度の段階にある、というのが実情。再生可能エネルギーの存在感を持つのはこれからの様です。

といって締めることができそうです。

 なお、2021年度には全体のエネルギー消費は「リバウンド」するという推計がでています。その効果で再生可能エネルギーの比率はすこし下がるはずです。それでも全体として比率は増えるのではないか、と予想しますが、さてどうなるでしょうか。

江頭 靖幸

« リバウンドする世界のCO2排出量(江頭教授) | トップページ | 7月1日からオンライン型バーチャルオープンキャンパス開催。来場型は7月17日(日)です。(江頭教授) »

解説」カテゴリの記事