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スマートウォッチのパルスオキシメーター機能(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 今回もスマートウォッチのお話の続き。「腕時計型スマホ」としてのスマートウォッチには興味を感じないが「身体の状態を測定するための機器」としてなら興味がある、ということでスマートウォッチを使ってみることにしました。その「身体の状態を測定する」機能で一番面白いと思ったのは睡眠状態の確認でしたが、同じ様に興味深かったのが「血中酸素飽和度」の測定機能、つまりパルスオキシメーターの機能を持っている、というところです。

 「血中酸素飽和度」についてはこのブログでも以前片桐先生が紹介されています。で、私はこの「血中酸素飽和度」について、コロナ禍の際に知りました。読んで字のごとく、血液の中にどのくらい酸素が溶けているか、というか赤血球の中のヘモグロビンにどのくらい酸素が結合しているか、という数値です。呼吸器系の機能が落ちるとこの数値が落ちる。息苦しさを感じそうなものですが、慢性的に呼吸機能が衰えていると自覚症状がないらしい。そこで客観的に呼吸器系の機能を測ることができるこの「血中酸素飽和度」測定装置、つまりパルスオキシメータが有効だ、というのです。

 さて、スマートウォッチを入手して早速「血中酸素飽和度」を計ってみました。90数%というそこそこ高い値が出てまずは安心。実は安心してその後この「血中酸素飽和度」については忘れてしまいました。

 でもこのスマートウォッチ、意識的に測定をしなくても自動で定期的に「血中酸素飽和度」を計ってくれていたのです。しばらくしてヘルスケアアプリを見ていてそのデータを見つけました。

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 見ると「血中酸素飽和度」一日の最高と最低がでてきます。一日を通してみると意外とひくい値もあり、時には90%台を切って80%台になることも。はげしい運動でもしているのか、いや、はげしくない運動でも酸素の供給が間に合わないのか。ちょっとまてよ、これ寝てる時間にもひくい値がでているのでは。

 いくら寝相が悪くっても夜中にそんなにはげしく運動するとは思えません。それでも酸素が不足するというのは…これって呼吸が止まっているのでは。要するに「睡眠時無呼吸症候群」なのか?

 いやいや、データを見ると真夜中に酸素飽和度が下がるのはごく希なことです。「睡眠時無呼吸症候群」ではないだろう。

 一時はそう考えたのですが、データをよく見てみるとスマートウォッチのパルスオキシメーターの機能は連続起動している訳ではないことに気が付きました。「睡眠時無呼吸症候群」では一時的に呼吸が止まって「血中酸素飽和度」が下がるのですが、その期間はそんなに長くは無い。例えば10分とか呼吸が止まっていたら大変なわけです。一旦呼吸が止まっても再度呼吸が再開するのですから時々「血中酸素飽和度」が下がる。でスマートウォッチも時々「血中酸素飽和度」を計るのですから、スマートウォッチのデータに低い「血中酸素飽和度」が記録されるのはその両者のタイミングがたまたま合ったときだけなのです。

 以上から、このスマートウォッチで「睡眠時無呼吸症候群」の判定は難しいとは思います。でも疑いはあるということは分かります。これは別途調べる必要がありそうですが、もうスマートウォッチの話ではなくなりますよね。

江頭 靖幸

 

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