「不明を恥じる」とはまさにこのこと。世界の食糧問題について。(江頭教授)
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東京工科大学の工学部に対応する大学院として本学にはサステイナブル工学専攻が設置されています。私もこの大学院で「サステイナブル工学概論」という授業を担当しています。この授業をするのももう何年目になるでしょうか。シラバスも決まって話す内容も固まっているので毎年少しずつデータをアップデートした内容を話しています。そのなかで表題の世界の食糧問題についても触れるのですが、今年は例年通りとは行かないようです。
まず、例年の話の骨子は以下の様なこと。
世界には実は全世界の人々に充分な食料を供給できるだけのの食糧生産能力がある。それでも飢餓にさいなまれる人々が数多くいるという現状は、実は社会システムの問題である。
続けて
世界の食糧問題は飢餓の生じている場所それぞれの(たとえその背景にグローバル経済の問題点があるにしても)ローカルな問題であって、世界全体で食料が不足しているといった状況ではない。
そして
安定した社会システムをもっている日本などの先進国が深刻な飢餓に陥るケースはかなり非現実的な事象が起こった場合に限られる。
という説明です。
で、非現実的な事象として例示していたのが「世界的な疫病の蔓延」「第三次世界大戦」「宇宙人の侵略じゃなイカ」でした。最後の一つはともかく、他は現実になっている(なりかけている)じゃなイカ!
実際のところ、世の中で起こりうることはいつかは起こるのだなあ、というのが実感です。そして人類の歴史というものも進歩している様で、実際は同じことをくり返しているのではないでしょうか。
21世紀に入ってから中国や東南アジアの国々が経済発展を遂げました。これにインドなどアジアの他の諸国が追随し、やがてアフリカ大陸も先進国入りする。産業革命から始まった世界の工業化がついに完結するその日を私は自分の一生の中で見ることになる、見ることができるのだ、と考えていました。
でも、どうやら私の期待はすこし楽観的に過ぎたようです。「不明を恥じる」とはまさにこのこと。私の世代がサステイナブル社会の完成を目にすることは難しそうです。
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