グラフ作りを他人(MS-Excel)任せにしてはいけない(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
前回の記事で実験レポートの作成にPCやスマホの導入が与えた影響について述べたのですが、今回はそれに少し補足を。広く言えば「PCの導入」の一部なのですが、実験データの解析やレポートに記載するグラフの作成をPCの表計算ソフト(多くはマイクロソフト社製のExcelというソフトでしょう)で行える様になったことも大きいかと思います。
実験データを一つ一つ手計算で、いや電卓を使ったとしても一つ一つ計算してゆくとしたら一体どれだけの手間がかかるのか。そう考えると表計算ソフトは実験レポートの作成には、それ以前に実験データの解析そのものにも必要不可欠なものでしょう。(「いや私はR派なんで」「そこはPython一択でしょう」とかいう人たちも居るかも知れませんが、まあそれは別の話ということで。)
ということで私は実験レポートの作成に表計算ソフトを使うことに反対ではありません。というかむしろ積極的に賛成です。そもそも私が反対したところで皆使っていますよね。手書きのレポートでもグラフだけはPCのプリントアウトを切り貼り、といのもよく見るケースですし。
でも言っておきたいのは「グラフ作りを他人(MS-Excel)任せにしてはいけない」ということ。よくExcelでグラフを作成したら、それをそのままレポートに貼り付けてくる学生さんがいるのですが、これは良くないと思うのです。
Excelがデフォルトで出力するグラフ、データ点の位置など基本的な事に問題はないと思いますが、グラフのデザインについては問題が多い、というか実験レポートに載せるには不向きなデザインになっていると思うのです。
例えばグラフの縦軸、横軸に書かれる数字のフォントがなぜか黒でははくてグレーになっているのです。それに貼り付けた後にグラフを適当なサイズにすると数字がかなり小さくなる。色は薄いし小さいしで、軸の数字が読み取りづらいこと著しい。
気になり出すといろいろな点に目が行くようになりますが、そもそもExcelのグラフはパソコンの画面上でみることが目的なのでそれは当然と言うべきでしょう。そのグラフを実験レポートに貼り付ける、というのは謂わばグラフの目的外使用なわけです。だから実験レポートに合わせてフォーマットを修正するのは学生諸君の仕事のはずですよね。
Excelは非常に便利な道具ではありますが実験レポートの出来不出来について責任を取ってくれるものではありません。道具を使いこなすのは、あくまでも学生さん本人なのですから。
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