鍋を酸で洗う話(江頭教授)
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先日はアルカリ成分を加えた洗剤の話を書いたので今回は酸について書くことにしましょう。随分前の話ですが新しいアルミの鍋を買ってきてパスタやそうめんを煮るのにしばらく利用していると、なんだか鍋の内側が黒ずんできたのです。色が変わっているのはちょうどいつも水を入れるくらいの高さ。うーん、これは一体…。
調べてみるとアルミ鍋の表面に付けてある酸化アルミの被膜が剥がれて水酸化アルミが生成していることが原因とか。なら白いはずでは、とも考えたのですが粉になっていれば多少の着色でも黒く見えるものですよね。純粋な酸化アルミで白く見えるケースもあるそうですが水に含まれる不純物で色が付き、黒く見えることもあるそうです。
ここまで分かれば解決方法は比較的簡単なのでは。水酸化アルミを酸で溶かしてやれば良いのですね。
そこで研究室の塩酸を少し借りて…なんてことをしたら大問題。鍋を洗う、という作業では私も一般の人たちと同じ立場です。ホームセンターの洗剤売り場でなにか良さそうな酸性のものが無いかと探してみると「クエン酸」が売っていました。他にも「酸」と銘打った良さげなデザインのボトルに入った洗浄剤もいろいろ売っていました。でも成分が分かる方が安心だ、そう思ってこの「クエン酸」を購入。
黒ずみのついた鍋に水を入れてさあクエン酸を…。えっとどのぐらいの濃度にすれば良いんだろう。そう言えばどのくらいpHで溶けるか知らないなあ。いや、少しでも水に溶けるなら酸との反応で水酸化物イオンが失われるから平衡関係でどんどん溶解が進むはず。鍋の黒ずみだから量はほんの少しだし。それにクエン酸に他の用途があるわけでも無いし。
とまあ適当な考えで適当な量のクエン酸水溶液で処理することになったのですが、案ずるより産むが易し、鍋の黒ずみはスッキリきれいにすることができました。
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