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実験レポートに写真(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 学生実験にはレポート作成が必須。これは私が学生のころ(40年くらい前)から変わりません。でもレポートの作成手段には変化がありました。いや、昔のとおりにレポート用紙にペンで手書きでも作成は可能なのですから変化というより多様化と言うべきでしょうか。

 まず大きな変化、じゃなくて選択肢はPCの導入に伴う電子化。ワープロソフトを使えばレポート作成は飛躍的に効率化されます。なかでも手書きのレポートと違ってどこからでも書き始められる、何度でも書き直せる、というメリットは大きいと思います。手を付けやすいところからとりあえず書き始めることができる。満足できるクオリティになるまで何度でも書き直すことができる。これでレポート作成はぐっと容易になったと言えるでしょう。(とはいえ、それに応じたクォリティのものが求められるという側面もあるかも。)

 さて、次なる変化は何でしょうか。その一つの候補はスマホの普及による写真の利用ではないか。今年度後期の学生実験レポートをチェックしていると、実験の種類にもよりますが多くの学生さんがレポートに写真を載せているのをみて、そんなことを考えました。

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 化学の実験には色の変化や沈殿の発生など見た目の変化が重要になるものがあります。以前は観察した様子を実験ノートに記録してレポートに文章として書くしかなかったのですが、今ではスマホで写真を撮ってワープロ原稿に貼り込むことで見たままの様子を伝えることができるのです。

 とは言え注意すべきポイントも。レポートに写真を載せたとき、そこに何が写っているかを文章化するべきなのですが、これを忘れる人が意外と多いのです。

いや、写真の通りでしょう。

 そう言いたい気持ちも分かるのですが、その写真のどこに注目してどんな結論を出しているのか。写真の解釈は人それぞれなのでレポートの作成者は写真に何が示されているのか、正確には作成者はその写真に何を見ているのか、を文章で明かにしなければなりません。確かに学生実験のようにパターンの決まっている実験では写真を見るだけでも大体のことはわかります。でも卒論以降「世界で自分が一番理解している実験」がスタートすればその写真を見て理解するために必要な知識は自分にしか無いのだ、ということを心に留めて報告書を書く必要がある。その練習である学生実験でも、そのことを頭に入れてレポートを作成して欲しいところです。

 さて、実験レポートに写真を加えることで色や形の情報が直接報告できる様になったのですが、その次のイノベーションは何でしょうか。化学実験では「におい」も重要なのですが、それは…。

江頭 靖幸

 

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