世界人口80億越え、と聞いて(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
少し前のことになりますが「世界人口が80億越えた」というニュースがありました。私も以前こんな記事を書いていたらでしょうか、その頃にマスコミの人からこのニュースについて「なにか前向きの動きはありませんか」という問い合わせを頂きました。うーん、確かにどんな赤ちゃんも祝福されながらこの世に生まれてくるべきで、たまたま80億人目(ぐらい)だからといって地球の限界とか人類の危機とか言われながら生まれてくるも不憫。ということで、私なりの考えをまとめてみました。
まず、人口が80億人を突破するのはかなり以前から分かっていたことですが、その位置づけは変わってきたと思っています。
昔(私の学生時代)は、人口80億はただの通過点でもっともっと人口が増え(人口爆発)資源不足や環境汚染で大変なことになる、と考えられていました。マスコミや世間の人たち、とくに私と年齢の近い人たちには未だにこの考えが根深くすり込まれているかと思います。人口増加、それも特に世界人口の増加は世界滅亡への不吉な予兆である、と。
でもこれは古い認識では。最近では80億は越えてもその後、人口は安定すると考えられています。安定するといってもそのときの人口は100億人レベル。現在の80億人レベルですら既に膨大で地球の環境にかかる負荷をどうするかは大きな問題です。とはいえ無限に増え続けるというのとは話が違いますよね。
つまり、人口増化=人口爆発によって世界的な大惨事が起こる、という想定で皆が人口増加を恐れていたのですが、現実はそうならなかったのです。その理由は国民の生活レベルや教育レベル(特に女性の)が高くなると人口が安定に向かう、ということが分かったことでしょう。これは非常に「前向きな動き」だと思います。
うーん、これだとニュースのネタにはなりにくいでしょうか。
えっ、でも未だに人口は増え続けているじゃないか、たった11年で70億人が80億人に増えているじゃないか、って。それはそうでしょう。子供の数が減ったってすぐに人口が減るわけではありません。今世界で人口が増えつつけているのは過去にたくさん生まれた子供達が年をとって大人になっていく過程なのです。
この辺の事情は、たとえば「ファクトフルネス」で有名なハンス・ロスリング博士のTEDスピーチが参考になるでしょう。(7年前のものですが、内容は古びていないと思います。)
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