地表にとどく太陽エネルギーとアルベド(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
太陽から地球に降り注ぐエネルギー、地球の自然と人間にとって大きな恵みであるこの太陽エネルギーはどのくらい地表に届いているのか。こちらの記事で地球全表面での平均で約342W/m2となることを紹介しました。
「地球は青かった」の言葉通り、地球は宇宙空間から見えている。ということは地球に届いた光の一部は反射して宇宙に戻っていることになります。今回のお題は地球に降り注ぐ太陽エネルギーのうち、どの程度が反射されるのか、です。
地球の表面は均一ではないので、反射の状態は土地によって異なります。入射する太陽エネルギーのうちで反射する光のエネルギーの割合を「アルベド」と言いますが、土地によってその値は異なっています。新しい雪の積もった雪原なら0.9程度。真っ白な雪原では9割の光が反射されます。地球上で大きな面積を占めている海のアルベドは実は小さくて0.06程度だと言います。雪原とは逆に太陽エネルギーの94%は反射せず、吸収されるということですね。
海と同様、アルベドが小さいのが森林です。0.09から0.15だといいます。太陽の光を吸収することに適応した生態系ですから、これは納得のいくところです。一方、砂漠のアルベドは0.4程度とずっと大きな値です。
地球の7割の表面積を占める海、それに陸地を覆っている森林のアルベドが小さいなら地球全体の平均のアルベドは小さいのかな、と思いますが実は0.3程度と、それなりに大きな値となっています。これは何故でしょうか?
写真を見ると海の上には雲があることが分かります。雲は白く見えている。これは雲のアルベドは大きい、ということです。この雲の効果があるのでアルベドは0.3となっているのです。もし地球全体が「日本晴れ」だったら地球のアルベドはずっと小さな値になるでしょうが、部分的にはともかく、全地球が晴れている、なんてことはありそうもないですよね。
さて、地球に届く太陽のエネルギーの約30%は反射されて地球の外(宇宙)に去ってゆくことが分かりました。342W/m2×0.3 = 102.6W/m2は宇宙に去り、地球にとどまるのは残りの239.4W/m2、およそ240W/m2となりました。
ちなみに私は以前「アルベド」という用語が白さを表しているのか黒さを表しているのか、よく間違えていたのでした。(黒さなら「吸収率」ですかね。)実は「アルベド」という言葉はラテン語の白という言葉から来ている。ついでに、白さつながりでミカンの身の袋と皮の間にある繊維質の部分のことも「アルベド」と呼ばれているそうです。確かに白い。この豆知識のおかげで以来私は「アルベド」の意味を間違えないようになりました。
「解説」カテゴリの記事
- 災害発生時の通信手段について(片桐教授)(2019.03.15)
- 湿度3%の世界(江頭教授)(2019.03.08)
- 歯ブラシ以前の歯磨き(江頭教授)(2019.03.01)
- 環境科学の憂鬱(江頭教授)(2019.02.26)
- 購買力平価のはなし(江頭教授)(2019.02.19)