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2023年1月

2023.01.31

卒業論文提出日(2022年度)(江頭教授)

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 応用化学科の四年生はこの春卒業の予定。いま卒業研究の仕上げにかかっていますが、昨日と今日(30日,31日)は卒業論文の提出日となっています。

 卒業論文の提出というのは大学の中では結構なビッグイベントです。提出しなければほぼ自動的に留年決定なのですから、普通のレポートの様に期日までにポストに入れる、という訳にはいきません。場所と時間を決めて担当の教員に提出することになります。内容をチェックして規定を満たさないものは却下。受け取ってもらえた場合は「受領証」に判をもらいます。この受領証は卒論を提出した大切な証拠書類ですから、卒業証書をもらうまで大切に保管することになります。

 卒論の提出が間に合わない!というシーン、昔はドラマや漫画で見たような気がしますが今はどうなのでしょうか。実際の卒論提出はやはり厳格なもので、期限通りに提出しないと受け取ってもらえないことになっています。提出する論文は本編とそのコピー2部。全部で3部を提出します。印刷する時間もそれなりに必要ですから余裕をもって準備するべきでしょう。

 応用化学科の提出日は本来昨日(30日)なのですが、今日は一応の予備日。何かの事情で提出できなかった人向けの時間です。この場合は理由書を作成、指導教官が確認して押印することが必要条件です。

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2023.01.30

「豊洲、ベンゼンは基準の79倍」という記事がありましたが…(江頭教授)

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 豊洲の地下水の汚染の問題は随分前(6年程前)に話題となったお話。すでに建設された豊洲市場については特に(地下水由来の)問題がニュースになっている訳でもないのですが、この事件(?)についての報道はある意味で環境問題について考えるべき論点が典型的に現れている様に見えるのです。

 当時の記事で表題の様に豊洲の地下水は「基準」の79倍の濃度だ、と書いてありました。でもベンゼンの「基準」には実は2種類あるのです。当時ニュースになった79倍の方は「環境基準」との比較。でももう一つの基準である「排水基準」との比較なら7.9倍になるのです。

 「環境基準」と「排水基準」、同じ基準でも意味は異なっています。

 まず「環境基準」から。環境省のWEBサイトの記述には

環境基本法(平成5年法律第91号)第16条による公共用水域の水質汚濁に係る環境上の条件につき人の健康を保護し及び生活環境(同法第2条第3項で規定するものをいう。以下同じ。)を保全するうえで維持することが望ましい基準(以下「環境基準」という。)

という定義(?)が出ています。公共の水域では維持することが望ましい基準であるとされています。ベンゼンについての基準は「人の健康を保護するために定められた基準」と分類されていて 0.01mg/L 以下となっています。

 一方、「排水基準」は「この濃度以上の有害物を含む排水を出してはいけません」という基準であり、ベンゼンの場合は 0.1mg/L 以下となっています。つまり排水基準は環境基準の10倍なので、先ほどの7.9倍と79倍の違いはここから来るのです。

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2023.01.27

「研究室配属に関する説明会」を開催しました。(江頭教授)

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 そうか、今のうちに4年生から始まる卒業研究を行う研究室を決めないとね。授業が終わって春休みになってからだと説明会を行うタイミングが難しいからいっそ試験期間に、という訳か。

 ええ確かに。でも実はこの説明会、2年生向けなのです。

 応用化学科では2年生で研究室に配属されます。でも配属されるのは2年生の3月30日。その2日後には3年生になりますから、実質的には3年生の初めからの配属となります。

 「えっ?3年の初めって早くない?」その通りですね。実はこれ、本学工学部の特徴であるコーオプ教育との関係で決まりました。応用化学科の学制諸君は3年の前期にコーオプ実習として学外での研修を行うことになります。従って、3年前期、学生諸君は大学から離れて学外に出る時間が長くなります。早期の配属を行うとしたら3年前期には無理。夏休みを過ぎれば3年後期になってしまいます。ということで、少々早いですが2年後期末のこの時期に説明会となったのです。

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2023.01.26

光合成に使われる太陽エネルギーはどれくらい?(江頭教授)

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 太陽から地球に到達する光のエネルギーは342W/m2という記事を以前書きました。そして、その約3割は反射されるので地球に吸収されるエネルギーの密度は約240W/m2という話をこちらに。

 さて、今回のお題はこの太陽エネルギーのうち、光合成に使われるのはどのくらいか、という点に注目してみましょう。

 今回も元データは教科書

 坂田昌弘・編著「環境化学 (エキスパート応用化学テキストシリーズ)」(講談社サイエンティフィック 2015)

から。光合成に関する情報として

 光合成による炭素固定速度 123 GtC/y

(24ページ、図2.4より)というデータがありました。ただし、これは地表のデータですから、海の植物(プランクトン)の光合成の速度は含まれていません。

 地球の全表面のうち、陸地の面積は約3割の1.47×108 km2 、です。この数値から面積当たりの光合成速度(CO2の吸収速度)を計算すると 2.651×10-5g/(m2s) となりました。物質量( mol )で表すと 2.21×10-6mol/(m2s) です。

 では、このデータから光合成に必要なエネルギーを計算してみましょう。

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2023.01.25

アーサー・C・クラーク氏の想像した未来社会の教育(江頭教授)

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 アーサー・C・クラーク氏は著名なSF作家。単なる小説家に留まらず科学者としての業績もある人物で静止衛星のアイデアを提案したのはクラーク氏だという逸話もあります。代表作は映画化されて有名になった「2001年宇宙の旅」だと思いますが、昨日紹介したSF小説「渇きの海」の作者でもあるのです。

 さて、今回はこの「渇きの海」の中で強烈に印象に残っているエピソードを紹介したいと思います。

 月に恒久的な基地が建設されて旅行客はおろか観光客までが月に行き来するようになった未来。とはいえ月にいけるのはやはり富裕層のみ、という程度の近未来がこの小説の舞台です。印象に残ったのは、このストーリーの中で大きな役割を果たす一人の科学者の生い立ちが語られる部分。彼は実は孤児だったのですが(おそらく)政府の支援によって高等教育を受け博士号を取得してエンジニアとして恵まれた地位に就いています。孤児と言えばチャールズ・ディケンズの小説に出てくるような境遇を想像していた当時の私からすれば非常に恵まれた境遇に見えるのですが、でも彼自身はそのことに特に感謝はしていません。なぜならこの小説が描く近未来の世界では「文明はいまや、それ自身を維持するためだけにも、見いだしうるすべての才能を必要としている」から「あらゆる子供にたいし、その知性と適性に応じた最高度の教育がほどこされる」のであって、政府の支援は社会そのものの利益のためにもたらされたものだからだ、というのです。

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2023.01.24

書評 アーサー・C・クラーク著「渇きの海」(江頭教授)

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 「渇きの海」は著名なSF作家、アーサー・C・クラーク氏の作品で観光用の遊覧船の遭難事故とその乗客達の救出劇を描いた小説です。とはいえそこはSFの巨匠が描く作品。実はこの遭難事故の舞台は月面。人類が月面に進出し、恒常的に人が滞在する基地が造られている近未来を舞台とした物語なのです。

 この作品、発表されたのは1961年とのことで、すでに62年前の作品です。当時はアポロ計画が発表されて月に対する興味・関心が高まっていた時期だと思われますが、逆に言えばまだ月着陸した宇宙船がない時代。ですから、本作の月は各種観測データからの推察に基づいてクラーク氏が慎重に想像し大胆に創造した世界だと言えるでしょう。

 その最たるものがタイトルにもなっている「渇きの海」。月には実は海があった、といった軽々しい夢物語ではありません。月の地表に堆積した微細な砂が窪地に集積し、あたかも水面のように平坦な表面を形成している場所が「渇きの海」と呼ばれているという設定です。微細で乾燥しきった砂はサラサラと流動するので砂より密度の高い物質を「渇きの海」に置くと沈んでしまいます。さらに、「船」の形をしたものを水面ならぬ砂面に浮かせることができる。スクリューを付けて推進させることすらできる、というのです。そこで造られたのが月の「遊覧船」。そして思わぬ突発的な事象によってこの「遊覧船」が月の砂の海に「沈没」してしまう。砂の中に閉じ込められた人々と彼らを救出しようと努力する人々とのドラマが始まります。

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2023.01.23

「サステイナブル工学プロジェクト演習」最終報告会本選(2022)(江頭教授)

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 「サステイナブル工学プロジェクト演習」は本学工学部の3年生によるグループワーク形式の授業です。特徴としては3学科合同の授業であること。異なる学科の学生が集まってグループワークを行うことになっています。三学科合同で約300人、通常授業は二クラスに別れ、今年度はそれぞれ28班でのグループワークを行いました。

 先日、1月18日には半年、というか後期14回の授業の最終回として「最終報告会」の本選が開催されました。本選、とあるのはその前の週に予選を行い選抜された班による発表会であること(これは本選の本の部分)と、今回の選ばれた班が学部長賞で表彰されること(これが本選の選の部分)によります。

 予選では全体で56班がグループワークの成果を8会場に分かれて発表し、その中から11班が今回の本選に進みました。

 発表の内容は工業製品やサービスのLCAによる評価と機能的、経済的価値を統合化した環境効率の算出です。さらに対象とした工業製品やサービスに対する改善提案を行い、その環境効率への影響を検討しました。LCA評価では環境ラベル「エコリーフ」に登録さている公開情報を利用して実際の製品に近い条件での評価をおこなっています。一方、改善提案については各班のメンバーが自分の学科のバックグラウンドを生かしつつ自由に発想しています。

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2023.01.20

今日から期末試験(江頭教授)

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 一昨日、1月18日は2022年度の最後の授業日でした。実は翌1月19日は授業開講予備日。つまり何かの事情で学期内に授業が出来なかったケースに対応するために確保して置いた日程です。そして本日1月20日は期末試験が始まる日、となるのです。

 というわけで今日からスタートする期末試験、期間は2月1日までですがほとんどの科目は1週間以内で終わります。普通の授業と同じペースで試験があるのですが、試験をしない授業もありますし(体育とか)、授業内で試験を終わらせている授業もありますから、そこまで過密スケジュールという訳ではありません。

 また、試験の時間は1時間。通常の授業は100分なので、40分短くなっています。これに対応して試験期間中は休み時間も少し長く取れるようになっています。

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2023.01.19

水の蒸発に使われる太陽エネルギーはどれくらい(江頭教授)

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 太陽から地球に到達する光のエネルギーは342W/m2という記事を以前書きました。そして、その約3割は反射されるので地球に吸収されるエネルギーの密度は約240W/m2という話をこちらに。

 さて、今回のお題はこの太陽エネルギーが何に使われるかです。最終的にはすべて地球を暖めることになるのですが、その前に一番大きな割合を占めていそうなのが「水の蒸発」。以前の記事で太陽エネルギーの全てが水の蒸発に使われると仮定して水の蒸発速度の最大値を求めたのですが 4778mm/y という結果を得ていますが、その祭「太陽エネルギーの側から見ても地球の水を蒸発させるという働きは結構な割合を占めているということでしょう」と書いたのですが、以下それを検証してみよう、具体的にどのくらいなのかみてみよう、ということです。

 以前にも紹介した教科書

 坂田昌弘・編著「環境化学 (エキスパート応用化学テキストシリーズ)」(講談社サイエンティフィック 2015)

には水の蒸発速度として以下の様なデータが紹介されていました。

 海上の総蒸発量 436.5×103 km3/y

 陸上の蒸発散量  65.5×103 km3/y

(20ページ、図2.1より)

 地球表面に占める海と陸の面積比は約7:3であることを考えると、やはり海からの水の蒸発が、面積当たりでも大きい、ということがわかります。陸地での値が「蒸発」量ではなく、「蒸発散」量になっている点は以前説明したように、陸地での水の気化に植物の寄与(蒸散)が大きく働いているからですが、それでも海での蒸発の方が盛んだ、という事ですね。

 さて、このデータから蒸発に必要なエネルギーを計算してみましょう。

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2023.01.18

今年度の授業は本日(1月18日)で終了します(江頭教授)

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 お正月休みが終わって今日で9日。実は今学期の授業は本日(1月18日)で終了です。

 新年に入った時点で授業は7日分しか残っていませんでした。授業スタートは新年に入って2週間目の火曜日、先週の火曜日でしたから第2週の一週間5日分に第三週の月曜日から水曜日を加えてちょうど本日終了となるのです。

 二週目の月曜日も「休日登校日」にしてしまえば早く終われたのですが、その日は「成人の日」。学生諸君の中にはまさに主役の新成人たちも多いのですから、さすがにこの日はお休みに。ということで昨日まで授業が長引いた、ということですね。

 その今週の金曜日には早くも試験期間がスタート。予備日まで含めると冬学期の授業期間の本当の終わりは2月1日です。

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2023.01.17

ガス流量のはかり方(江頭教授)

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 今回のお題はガスの流量の測定方法についてです。

 気相反応の触媒についての実験では反応器を出てきたガスの流量を測定する、というのはよくある操作です。反応前に実験条件を確認する意味で、あるいは反応中に流量が変化していないかチェックする、などいろいろな局面があります。

 流量のはかり方にもいろいろありますが、今回紹介するのは液膜流量計というタイプ。装置は簡単なつくりで、原理も明白(と、いうか原理と言うほどでもない)なのでよく使っています。

 さて、下の写真がその装置の図。どこかで販売しているかと思って少し探したのですが結局見つからず、ガラス加工をしてくれる会社に注文して作ってもらいました。

 流量計の本体は容量の目盛がついた太めのガラス管の上下、そして下側面にホース口をつけたものです。これを垂直に立てて、下のホース口にはスポイトのゴムを付けて使います。下側面のホース口がガスの入り口、頂点のホース口が出口です。

 「これでどうやって流量がはかれるの?」 ご不審はごもっとも。以下、それを説明しましょう。

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2023.01.16

「コーオプ演習Ⅰ最終発表会」を実施しました(江頭教授)

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 本学工学部の特徴の一つ、コーオプ教育。その最初の授業と位置づけられるのが1年生後期の授業「コーオプ演習Ⅰ」です。授業内容は最新の工学・技術的トピックスについて調査し、発表すること。グループワークを中心とした授業で、賛否のわかれる技術上の課題やサステイナブル社会に関連する新技術などを対象として調査を行い、調査結果に基づいたディスカッションの内容を発表します。

 先週の金曜日、1月13日にこの「コーオプ演習Ⅰ」の最終発表会が開催されました。

 実はさらに1週間前にはこの最終発表会前の予選が行われました。その際にも感じたのですが、今回の発表、というか1年生での発表はある意味特別な発表と言えるかも知れない、そんな事を思いました。なぜなら、学生諸君はまさに工学の勉強を進めている最中で、やがて社会の問題に対しても工学の関わるもの、という立場から発言することになるでしょう。でも、この発表をした1年生の時点では、まだまだ立場の定まらない、ある意味で世の中一般の人、という立場にあるのです。彼らが数年後に自分の発表を見返したとき、それはどのように見えるのでしょうか?楽しみだ、というのは少し意地悪かもしれません。

 さて、以下の図は決勝戦に進出した各班のスライドの1枚目のタイトルです。いろいろなトピックがありましたが、短い時間の中でどれもよく調べていたと感じました。

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2023.01.13

地球上の水の蒸発速度の最大値は?(江頭教授)

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 人間が利用する淡水のほとんどは河川や湖から取水したものですが、そのもとをたどれば雨や雪、つまり降水になります。そのもとは大気中の水蒸気、そしてその水蒸気は海からの蒸発と陸からの蒸発散(植物の体を通しての蒸発を蒸散と呼びます。蒸発と蒸散を合わせて蒸発散)で生じたものです。つまり私たちが利用している水は結局は水の蒸発散を経たものなのです。

 蒸発、蒸散によって水は文字通り蒸留されて純粋な水になります。さらに高い位置に降った雨や雪は位置エネルギーを蓄えているので自然に人の住んでいる場所に行き渡ります。(本当は水の行き渡るところに人が住んでいるので、因果関係が逆ですけどね。)また水の位置エネルギーの一部は水力発電によって直接エネルギーとして人々に利用されているのです。

 さて、ひとしきり蒸発、蒸散の大切さを述べたところ本日のお題です。このありがたい蒸発のおおもと、それはやはり太陽からの光のエネルギーです。では、その光のエネルギーでどの程度の蒸発が起こりうるのか、それを計算してみましょう。地球で起こる蒸発の最大値を求める、ということです。

 もちろん、乾燥した暖かい空気が水面に吹き付ける、といった現象によって瞬間的・局地的に急速な蒸発が起こることもあると考えられますが、ここでは地球全体の平均としての蒸発速度の最大値、つまり太陽光線のエネルギーがすべて水の蒸発に使われた場合、として考えていましょう。

 まず、地球軌道に太陽からやってくる光のエネルギーは1367 W/m2です。(これを太陽定数と呼ぶ、というのは先の記事でも紹介しました。)

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2023.01.12

「サステイナブル工学プロジェクト演習」最終報告会予選(2022年度)(江頭教授)

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 1月11日「サステイナブル工学プロジェクト演習」最終発表会の予選が開催されました。これは本学工学部の3年生によるグループワークでの発表会です。この「サステイナブル工学プロジェクト演習」の特徴は3学科合同の授業である、という点ですが、この発表会に向けた取組では異なる学科の学生が集まってグループをつくることが特徴になっています

 さて、今回の最終発表(予選)はスライドを用いた口頭発表です。58班の発表、さすがに一会場では捌ききれないのでパラレルセッションとなりました。発表は8会場で同時進行し、我々教員は手分けして各会場での発表を聞きくことに。

 さて、今日の最終報告会は予選、ということで各会場の教員には、7~8件の発表の中から本選に進出する班の選定する、という作業も。各会場に参加した先生たちが合議の上でどの班が優れていたか・興味深かったか・面白かったかなど、いろいろな観点で選出します。

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2023.01.11

「デカルト・カント・ショーペンハウエル」(江頭教授)

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 このブログを読んでいるあなたがもし高校生だとして、はてどのくらいの人かタイトルの「デカルト・カント・ショーペンハウエル」のことを知っているでしょうか。いや、デカルトもカントもショーペンハウエル知ってますよ。有名じゃないですか、という人も居るかと思いますが、実はこの並びに意味があるのです。

 もったい付けるのは止めましょう。この「カルト・カント・ショーペンハウエル」をひとまとめにした「デカンショ」をかけ声にした「デカンショ節」という歌があるのです。(もっとも「デカンショ」の語源については諸説ありますが。)

 デカンショ、デカンショで半年暮らす

 後の半年ゃ寝て暮らす

という歌詞。これは「デカルト・カント・ショーペンハウエル」をネタに哲学の議論に花を咲かせることと、惰眠をむさぼること以外何も生産的なことをせずに怠惰な生活をする、という頭は良いのかも知れないが決してが賢くはない大学生の自堕落な生活を自虐を込めて、あるいは憧憬を込めて歌ったものなのです。

 あっ、ちょっと待って、怒らないで。これを読んでいるあなたが「今の」大学生なら「ふざけるな!」と言いたくなるはず。でもここで自堕落な生活を送っているという「大学生」は明治時代後期から戦前の昭和のころまでの学生のこと。この「デカンショ節」は当時の有名な学生歌なのです。

 さて、「寝て暮らす」が怠惰な生活なのは誰でも分かることだと思いますが、「デカンショ」をネタにした哲学の議論がなぜ怠惰で自堕落だということになるのでしょうか。これは議論(つまりディスカッション)には娯楽という側面があるということを反映しています。

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2023.01.10

新年の授業が始まります(江頭教授)

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 本日(2023年1月10日)は本学八王子キャンパスでは、今年に入って初めての授業が開始されます。

 あれ?つい先日も同じ様な記事を書いてなかったっけ?

 ああ、先週の金曜日(2023年1月6日)の記事でしょう?いえいえ、あれは「八王子キャンパス、今日から活動再開です。」という記事。別に授業が始まるとは言ってないですよ。

 実は先週の金曜日、我々教員は大学に来ていて、互いに「明けまして云々」と挨拶を交わしていたのですが、授業そのものはまだ開始して居なかったのです。初日に授業がなかったために土日に続いて月曜もお休み。結局授業スタートは本日1月10日となり、学生さんにとってはいつになく長いお正月休みとなったのでした。

 いや、初日から授業をやれば良かったのに。キャンパスがオープンしていきなり授業というのも慌ただしい。だから1日余裕が欲しい、という気持ちも正直ありますが、実は本当の理由は「学生さんにとって…長いお正月休み」を用意するためなのです。

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2023.01.09

修士(博士課程前期)中間審査会が開催されました(江頭教授)

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 先週の土曜日、1月7日に表題の「修士(博士課程前期)中間審査会」が開催されました。コロナ禍の影響でオンライン実施となったこともあるこの審査会ですが、今回は昨年同様に対面で実施することができました。もちろん、新型コロナウイルス感染症の対策を厳にして行うことが条件です。会場も広く取ることで写真の様に以前の発表会よりも人がまばらな感じになってしまいましたが、それもまた良しですよね。

 発表会はAパート、Bパート、そしてCパートに3分割されています。私は副査として指定されている発表があったのでAパート、Bパートではそれぞれその発表を聞きに行きました。自由に回ったのはCパートの部分です。

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発表内容は基本非公開ですから写真は室外からにとどめておきましょう。

 

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2023.01.06

八王子キャンパス、今日から活動再開です。(江頭教授)

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 我々応用化学科が所属する本学の八王子キャンパスですが、年末の12月27日から昨日1月5日まで、11日間の期間原則閉鎖となっていました。本日(1月6日)が新年に入って最初にオープンする日となります。

 キャンパスが閉鎖というのは少し違うかも。正確に「防火・防犯態勢等」が強化されると言うべきでしょう。学生の教員も原則入構できませんが、原則、とあるように特別に許可をとれば入構はできます。また、この期間を利用したキャンパスの整備等も行われているのではないでしょうか。(私自身が入構許可を取っていないのでこれは未確認ですけれど。)

 さて、日本の大学のほとんどは二期制(セメスター制)で前期(多少前後しますが4月はじめから9月末)と後期(9月末から3月末まで)との二学期で運営されています。その意味で年末年始を含んだこの「冬休み」は後期の途中にある少し中途半端なお休みです。後期が9月末から3月末までなら後期の真ん中、ということになるのですが実は後期の授業はかなりの部分が終了しているのです。

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2023.01.05

有意義なディスカッションをするために(江頭教授)

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 前々回は「朝まで生テレビ」、前回は私の研究室のディスカッションについて書いてきました。後者は(我田引水ですが)結果の出る討論として、前者は結果の出ない討論だ、と私は考えています。今回は結果の出るディスカッションをするために必要なこと(正確には研究室のディスカッションで結果を出せるように私が心がけていること)をリストアップしたいと思います。

 まず最初は討論の対象と目的をはっきりさせることです。

 先の紹介した「朝まで生テレビ」では「日本の閉塞状況をどうやって打破するか」という討論の目標が示されていましたが…、いや、ざっくりしすぎでしょう。「朝まで」と言いながらも時間は4時間しかないのですから有意義な議論をするにはテーマを絞らないと。

 その点、研究室のディスカッションでは目的はクリアです。ディスカッション前までの1週間に出た成果について話し合って、次の1週間の目標を決める。実験結果の中身の解釈で悩んだり、目標を定めることに不安があったりすることはあっても、ディスカッション自体の目標は決まっています。そしてメンバー全員に共有されているのです。

 2番目は互いに何を言っているのか、話しの内容がきちんと理解できるようすることです。

 

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2023.01.04

研究室でのディスカッションのこと(江頭教授)

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 昨日の記事で紹介した「朝まで生テレビ」、一応討論番組という体で放送しているのですが、私としては「討論する番組としては成立していない」と思うと書きました。じゃあ討論ってなんだろう。討論は英語でdiscussionだけど、そう言えば私の研究室で「ディスカッション」はやっているなあ。

 ということで今回は私の研究室での「ディスカッション」というイベントについて紹介したいと思います。

 まず「ディスカッション」は毎週一回、決まった時間に行います。研究室の全員が参加しますが、グループ毎に分かれての実施。私は全てのグループのディスカッションに参加するので時間を区切って複数のグループが続けて集合することになります。私はずっとテーブルに座っていて最初のグループの学生さんが集合。そのグループのディスカッションがスタート。終了するとそのグループは解散。続いて次のグループがテーブルに集まる、こういう感じです。

 グループのメンバーは夏学期は主に卒論生。研究テーマの近い学生さん達がグループになっています。冬学期には研究室配属が終わった三年生諸君も参加するのですが、彼らはまだテーマが決まっていないので全てのグループをローテーションで回ることになっています。

 さて、肝心のディスカッション(討論)の中身について。Kaigi_hakui_smile

 

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2023.01.03

久々に「朝まで生テレビ」を見た(江頭教授)

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 「朝まで生テレビ」という番組は以下の図にもあるとおり1987年から続いている討論番組。もう35年も続いているということで、私も以前(もう10年以上まえだと思います)に見ていた記憶があります。このお正月、というか大晦日の深夜に放送していたのですが特に興味もなく見落としていました。ところがなんの都合だか分かりませんがレコーダーに録画が残っていたので一応、最初だけ再生してみました。

 あー、これ、この音楽だよ。昔から変わらないなあ。

 変わらないと言えば司会の田原総一朗氏。もう88歳だそうですが、未だに現役の司会者なのですね。

 そこで、まあ見なくても良いか、とも思ったのですが私の贔屓の小幡 績氏(慶應義塾大学大学院准教授)が参加しているというので、ながら視聴をすることにしました。

 この「朝まで生テレビ」は日本における討論番組の草分け的な存在。NHKの日曜討論よりもずっとライブ感があるというか、ホンネをぶつけあうようなスタイルが受けて結構人気があったと思います。私もきちんと追っかけていた時期があるのですが、いつの頃からか見ているとフラストレーションが溜まるようになって遠ざかっていたのです。

 さて、久々にこの番組を見ると、いや昔に比べて全然見やすくなっています。フラストレーション全くなし。「いつからこんな敬老番組になったんだろう。」

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2023.01.02

年頭のご挨拶 2023年を迎えて(江頭教授)

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 新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 2015年、多くの期待を担って始動した工学部応用化学科は今年8年目を終わり、9年目に入ろうとしています。1年生が入学して4年間の授業を受けて卒業する。そのサイクルをもうすぐ2回くり返すこととなる。そう考えると時の流れの速さに驚くばかりです。

 この間、教育改善のための授業参観や学生への定期的な面談などを、本学の制度に基づいた授業改善、学生支援の取り組みを通して、全教員が親身になって学生をケアし学生の才能を伸ばす、という試みは継承・発展されています。また、大学ー高校連携講座や模擬講義、高校訪問でも学科独自の努力を続けてきました。

 また、第一期生から今年度入学した第八期生までつづく学生諸君の間でも、一期生から二期生へ、二期生から三期生へと引き継がれた伝統が作り上げられていることを折に触れて実感しています。 

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