久々に「朝まで生テレビ」を見た(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
「朝まで生テレビ」という番組は以下の図にもあるとおり1987年から続いている討論番組。もう35年も続いているということで、私も以前(もう10年以上まえだと思います)に見ていた記憶があります。このお正月、というか大晦日の深夜に放送していたのですが特に興味もなく見落としていました。ところがなんの都合だか分かりませんがレコーダーに録画が残っていたので一応、最初だけ再生してみました。
あー、これ、この音楽だよ。昔から変わらないなあ。
変わらないと言えば司会の田原総一朗氏。もう88歳だそうですが、未だに現役の司会者なのですね。
そこで、まあ見なくても良いか、とも思ったのですが私の贔屓の小幡 績氏(慶應義塾大学大学院准教授)が参加しているというので、ながら視聴をすることにしました。
この「朝まで生テレビ」は日本における討論番組の草分け的な存在。NHKの日曜討論よりもずっとライブ感があるというか、ホンネをぶつけあうようなスタイルが受けて結構人気があったと思います。私もきちんと追っかけていた時期があるのですが、いつの頃からか見ているとフラストレーションが溜まるようになって遠ざかっていたのです。
さて、久々にこの番組を見ると、いや昔に比べて全然見やすくなっています。フラストレーション全くなし。「いつからこんな敬老番組になったんだろう。」
まず発言者の方々、皆さん滑舌に気をつけていて大きな声でゆっくりと分かり易い言葉で語ってくれます。これはおそらく司会者の田原総一朗氏にきちんと理解してもらうための工夫なのでしょう。難しいことば、分かりにくい発音には田原氏がちゃんと「何だって」と合図を送って言い直しや言い換えを促すのです。すばらしい。以前の早口で相手が発言中でも無視して叫ぶように各自が意見を言い合うスタイルはほぼ一掃されていました。(もちろん、少しはそういうロックな雰囲気も残してはいましたけどね。)
とはいえ、内容の方は…。この番組はいつから参加者のネタ見せ番組になったのでしょうか。参加者のうちに何人かは、おそらく事前に「これをアピールする」と決めていた事項について(その場に居る討論相手ではなく)番組の視聴者に向けてプレゼンすることに懸命になっているようでした。
正直なところ、今回の「朝まで生テレビ」は参加者同士が討論する番組としては成立していないように思いました。そんな中ではさすがの小幡 績先生も議論が空回りしていた様に思います。(いや、私は小幡先生の話を充分に楽しんだんですけどもね。)
スペシャル版で4時間の時間枠をとったなら、一人当たり5分でも10分でとってあげれば参加者全員が充分にネタ見せができるのに。いや、何なら参加者を倍にしても余裕なのでは…。
白熱した討論を見て自分にも熱い感情がわき上がることもなく、すでにフラストレーションすら感じることができないことに若干の寂しさを感じます。これは「朝まで生テレビ」という番組が変わってしまった部分もあるでしょうが、自分が変わった、はっきり言って年を取ったということなのでしょう。
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