「プロセス」という言葉(江頭教授)
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「ねぇ、チェダーチーズはどうしてチェダーチーズって言うの?」
「それはね、イギリスのチェダーという町でつくられていたチーズだからさ。」
「ふーん、じゃあゴーダチーズは?」
「ゴーダチーズはオランダのゴーダという街が発祥の地なんだよ。」
「なるほど!じゃあプロセスチーズは?」
「アメリカ西海岸のプロセス地方で…、ってそんなわけあるかい!」
さて、件の「プロセスチーズ」英語では「processed cheese」というそうです。「処理されたチーズ」ということで、今回のお題はこの「プロセス(Process)」という言葉についてです。
私が「プロセス」という言葉をはじめて知ったのは、やっぱり「プロセスチーズ」だったのではないかと思います。この場合の意味は「処理」ということで良いでしょう。そういえばコンピューターのCPU (Central Processing Unit)のPもプロセスで、これも「処理」という意味で通りそうです。
一方、今の専門である化学工学でよく使う用法は「化学プロセス」ですが、これは「処理」というのとはちょっと違うような気がします。
化学工場で何かの製品をつくるさい、どのように装置を並べて原料を「処理」して製品を合成、精製するかを描いた、いわば処理の並び順を図示したものを「プロセスフローシート」と呼んでいます。ここでのプロセスは一つ一つの「処理」と言うよりは、その「処理」が複数ならんでいる、その「並び順」のニュアンスが強いように思います。日本語にすれば「工程」というイメージでしょうか。
一方で、「内燃機関の動作には化学的なプロセスも含まれていて…」などと言うとき、プロセスはどうやら「現象」ぐらいの意味で使われているようです。
正直、「プロセスはプロセスでしょ。他にどう言ったら良いの?」と言いたいくらい便利なことばでよく使っているのですが、ちゃんと意味を説明しようとすると難しいですね。プロセスというのは「わかってはいるけどわかりやすくは説明できない」言葉の様です。
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