パネルディスカッション「理想的な工学教育の在り方を考える(第3回)」を開催しました(江頭教授)
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我々応用化学科は工学部に属していますが、本学の工学部は機械工学、電気電子工学、そして応用化学の3学科体制となっています。授業も大部分は学科単位で行いますが、一部の授業は工学部共通で行われるなど一体で運用されている部分もあります。
ということでFD活動(Faculty Development、教育方法についての能力向上を目指した活動)にも学部単位のものがあります。今回ご紹介する
東京工科大学工学部 パネルディスカッション「理想的な工学教育の在り方を考える ―効率的に知識を学び、体験から知恵を身につける―」
もその一つです。
2019年末から話題になりはじめた新型コロナウイルスですが2020年度の当初にはキャンパス閉鎖という最悪の事態に。その後オンラインを中心とした新しい授業の在り方がスタートしたことをうけてはじめたこのパネルディスカッション「理想的な工学教育の在り方を考える」のシリーズですが、2022年度の今回は第3回目となりました。世の中はポストコロナ禍の時代に向かって着実に動いているのですが、それでも大学の教育はコロナ前に戻ることはないでしょう。何を残し、何を戻し、そして何を新しくするべきなのか、新しい教育メソッドの在り方はこの後も問われ続けることとなる。そんな思いから工学部教員全員参加のパネルディスカッションが企画されたのです。
さて、パネルディスカッションは今年度の成績データや学生アンケートに基づいた分析からスタート。これは私が担当しました。2019年度から2020年度、2021年度とデータを並べると成績であれアンケート結果であれ、凸型や凹型のならび、つまり2020年度だけが異常値を示す、というグラフがたくさん現れます。ではそこの2022年度のデータを加えるとどうなるか。結果としてはやはり(コロナ禍の影響のはげしい)2020年度が異常値を示す、というデータが多く、そのほとんどは2022年度には旧に復しているように見受けられます。そのなかで一つ特徴てきだと思ったのは学生アンケートでみた学生の予習・復習にかける時間のデータでした。学生の学習時間はコロナ禍で一気に増えたのですが、その影響は2022年度にお残っている。つまり、コロナ禍前にくらべて学生諸君はより勉強するようになっているのです。これは我々応用化学科のみならず他学科にも共通する傾向、それもポジティブな傾向でした。
引き続き、講義、演習、学生実験や課外の取り組み、大学院の授業など幅広い事例報告が行われました。どの講演も取り組みの意図を明確に示し、学生のリアクションを時には定量的に、あるいは生の声をひろってその意図の実現の度合いが発表されていました。「昔の先生はもっとのんきに授業をしていたのでは」とも思いますが、これはコロナ禍でより勉強に励むようになった学生諸君へのお返しと言うべきでしょうか。
前期の授業、後期の授業を取り混ぜていろいろな新しい試み、以前から行っていた試みが役だったこと、これから試してみたいアイデアなど多数の報告がありましたが、全体として浮かび上がってくるのは「オンライン授業(ハイブリッド授業)では出席率が向上する」というメリットと「成績の二分化が起こる」というデメリットの2点であったと思います。
さて、最後は工学部の外の方に講演をお願いしました。メディア学部の三上教授。メディア学部で実施されている「プロジェクト演習」の授業についてのご講演です。学生の高い自主性を前提としたシステムで学年の枠を越えたグループワークを通じて早期からもの作りに取り組む、というこの授業、我々工学部の教員にとって非常に良い刺激になったと思っています。
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