「FIRE」ブームはコロナ禍の影響なのでは(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
私の最近のマイブームは「FIRE」(Financial Independence, Retire Early)。でも私がリタイアしたいという訳ではないのです。早期退職を目指して頑張る、という価値観はずっと以前から知られていたのに、なぜ「FIRE」が突然ブームになったのだろうか。今更感というか屋上屋を重ねるというか。なにか腑に落ちなくて気になってしまうのです。
さて、今回の私の仮説は
「FIRE」ブームはコロナ禍の影響
というもの。あっ、ただのアイデアで実証的に検討した訳ではないので話し半分に聞いていただければ。
世の中で出回っている「FIRE」の説明ではリタイア後の生活費は投資によって稼ぐということになっています。そして、若いうちにお金を貯めてそれを利回り4%で回す、という説明が付いてきます。年100万欲しいなら2千5百万、200万なら5千万というわけです。節約生活を前提とすれば無理のない話しなのでは、と思わせる絶妙な設定ですよね。
とはいえ私が気になるのは「利回り4%」というところ。そんなこと可能なのでしょうか。元本保証の付いた預金等でこんな高利回りは最近見たことがありません。いや、0.4%でも良い方かと。ということはリスクのある金融商品でこの高利回りを達成しようという話しなのでしょう。
そんな「FIRE」経済危機が起きたらお終いじゃないか。
いえ、それは個々人がリスクを考えた上で決めれば良いことだと私は思います。それより私が気になるのは「資産を年率4%で回す」といういうことはのほほんとしていてできることではないでしょう。金融知識を身につけ新たな情報を見逃さないように精神を研ぎ澄まし、ことに当たっては機敏は判断と行動力で適切な運用を続ける、という結構ハードな「仕事」なのでは。普通そいういうのはリタイアじゃなくて「投資家」への転職と言うのですが。
おっと、「FIRE」ブームはコロナ禍の話しでしたね。
「FIRE」の話しを聞いても「利回り4%」というところで私などは「あー、はいはい。」という気分にしかならないのですが、実際にこの「利回り4%」を達成したという人の話しだったら「おやっ」と思う人も多いのではないでしょうか。
日本は長らく不景気で低金利だったのですが、正直な話し、今回のコロナ禍で行われた大規模な政府支出の影響で金融資産で利益を上げやすい状態になっていたと思われます。例えば日経平均株価など、2020年の2月にはコロナ禍の影響で大幅に下落したのですが、その2020年の年末には32年ぶりの高値をつけるという上昇ぶりを示していました。
この影響で実際に「FIRE」を始めていた人や準備をしていた人たちから「巧くいった」と報告する人が多数現れる。それが広まってでいままで非現実的と思われていた「FIRE」が見直されてブームになった、などと考えているのですが、はてどうでしょうか。
では今後「FIRE」ブームはどうなるのか。それは金融市場が「利回り4%」が達成可能な状態を維持できるかどうかにかかっている。いえいえ、最近は物価の上昇も顕著になってきていますから「FIRE」を維持するのに必要な利回りは「物価上昇率+4%」となるはずです。もちろん、未来のことは分かりません。でも、私にはなかなか難しい条件の様にみえるのですが…。
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