インフレ下での「FIRE」(江頭教授)
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またまた「FIRE」の話しですか、と言われそうですね。いや、今回で終わりにしたいと思いますが、最後に今後の「FIRE」について考えておきたいのです。
前回「FIRE」が資産を「利回り4%」で運用するという前提で考えられている、という話しをしました。例えば年間100万円で生活する(相当倹約するのでしょうね)と仮定した場合、貯めなければならない資金(原資)は2千500万円。これを4%で運用して毎年100万円の収入を手に入れるという想定です。
とはいえ、これは物価上昇を考えていない計算です。例えば今後、物価上昇率が年2%となったと仮定しましょう。最初の年は2千500万円の資産で年100万円を得ることができます。それは翌年2年目も同じ。でも2%の物価上昇を考えると1年目の100万円と比べて2年目の100万円は2%分だけ価値が減っていることになります。だとすると2年目は約102万円稼ぐ必要がある。そのための原資は2千500万円より2%、つまり50万円増やさなくてはなりません。ですから初年度に運用でもうけるお金は100万円では足りなくて150万円が必要となるのです。結局物価が上昇する時は「利回り4%」では足りないのですね。
別の見方をすると物価が2%上がるということはお金の価値が2%下がるという事でもあります。つまりせっかく貯めた原資ですが、その価値が年2%つづ下がるということです。原資の価値を維持し続けるには「利回り4%」に物価上昇率の2%を加えて「利回り6%」を実現しなければならない、という訳ですね。
結局「利回り4%」というFIREの条件は実は物価上昇率が0%の時には、という条件付きなのです。いままでの日本では実際に物価上昇率が0%に近かったのでこの言い方で通じるのですが、今後のことは分かりません。
FIREの条件は一般的には「4%+物価上昇率の利回りを維持する」ということです。今後、日本でも世界同様物価の上昇が加速することになったとしたらFIREにはより高い利回りが求められることになるのですが、はてそのような利回りを維持することはできるのでしょうか。
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