Bard(GoogleのAI)の意外な一面(江頭教授)
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前の記事(「ChatGPTとBard、どちらが偉いか」)ではGoogleの新しい対話型AI、Bardに本学応用化学科1年生に向けた課題
N2とH2からNH3を合成するプロセス、ハーバー・ボッシュ法が実用化された経緯(歴史)について調べて簡単にまとめたのち、ハーバーと ボッシュ、どちらの業績を評価するか(どちらが偉いか)、君自身の考えを述べよ。
を出して「テキトーなことを言って」「問いただされるとすぐに折れて」「簡単に投げ出す」ところがChatGPTとよく似ている、と評価しました。この記事ではバーバー・ボッシュ法のハーバー(フリッツ・ハーバーです)のことを「フリードリヒ・カール・ハーバー」と間違えている点(ChatGPTは「フレデリック・ハーバー」と間違えている)について注目したのですが、今回は解答の内容について注目してみました。ポイントは「ハーバーと ボッシュ、どちらの業績を評価するか(どちらが偉いか)」というところですが、Bardの答えは
ハーバーとボッシュの両方がアンモニア合成法の開発に重要な貢献をしたことは間違いありません。しかし、アンモニア合成法を商業的に実用化したボッシュの業績は、より大きな影響を与えたと私は思います。ボッシュの業績は、食糧生産量の増加に貢献し、世界中の人々の生活を改善するのに役立ちました。
となっていて、明白にボッシュを評価すると述べている。それも「…私は思います。」とまで書いています。
このレポート課題は本人の意見を問うもので「君自身の考えを述べよ」とまで書かれているのですから、このように立場を決めて明確な答えをだすのが正しい。でもAIには(AIでなくてもレポートに解答する本人以外の人間にも)本人がどちらが偉いと考えるかを決めることはできません。
ChatGPTではこの辺を曖昧にして「どちらも偉い」という結論しか出していませんでした。しかしBardは明確にボッシュを選んで解答している。この点については(「フリードリヒ・カール・ハーバー」は別として)なかなか評価に値するのではないでしょうか。
とまあ、こんな風に
Bard、仲々できる奴
と、そう思ったのですがBardは現在試験運転中だとか。Bardも日々進化しているに違いない、ということでもう一度同じ質問をくり返してみました。結果は…
ハーバーとボッシュのどちらの業績が偉いかは、意見が分かれるところです。ハーバーはアンモニアの合成の理論的研究を行い、ボッシュは触媒の開発と実用化に貢献しました。どちらもアンモニアの大量生産に不可欠な貢献であり、どちらも偉大な業績だと思います。
とまあ、結局ChatGPT同様どっちもどっち派に。Bardよ、おまえもつまらない奴になっちまったなあ。
おまけ:
Bardの2回目の解答の全文
ハーバー・ボッシュ法は、鉄を触媒として、窒素と水素を高温・高圧で反応させてアンモニアを合成する方法です。この方法は、1909年にドイツの化学者フリードリヒ・ハーバーによって発明されました。しかし、この方法ではアンモニアの収率が非常に低く、実用化には至りませんでした。
1912年、ドイツの化学者カール・ボッシュがこの反応に触媒として鉄を使用することを発見しました。これにより、アンモニアの収率が飛躍的に向上し、ハーバー・ボッシュ法は実用化されるようになりました。
ハーバー・ボッシュ法は、アンモニアの大量生産を可能にした画期的な技術です。アンモニアは肥料の原料として使用されており、ハーバー・ボッシュ法の開発は食糧生産量の大幅な増加に貢献しました。また、アンモニアは爆薬の原料としても使用されており、ハーバー・ボッシュ法は第一次世界大戦の勃発にも影響を与えました。
ハーバーとボッシュは、ハーバー・ボッシュ法の開発に大きく貢献した科学者です。ハーバーはアンモニアの合成の理論的研究を行い、ボッシュは触媒の開発と実用化に貢献しました。ハーバーは1918年にノーベル化学賞を受賞し、ボッシュは1931年にノーベル化学賞を受賞しました。
ハーバーとボッシュのどちらの業績が偉いかは、意見が分かれるところです。ハーバーはアンモニアの合成の理論的研究を行い、ボッシュは触媒の開発と実用化に貢献しました。どちらもアンモニアの大量生産に不可欠な貢献であり、どちらも偉大な業績だと思います。
しかも相変わらず「フリードリヒ・ハーバー」だし(カールはなくなったけど)。
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