平均寿命と平均余命(江頭教授)
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先週の記事で「日本人男性の平均寿命は81.4歳(女性は87.45歳)だ」というデータを引いて60歳の自分は「あと20年は生きられそう」と書いたのですが、今回のこの内容についての訂正です。
私が書いた「あと20年」の根拠は単純に
(平均寿命)ー(自分の年齢)
という計算なのですが、これには問題がある。何しろいまちょうど平均寿命と同じ81.4歳の人がこの式で計算したら数値は0、いやそんなのおかしいですよね。もっと言うと、平均寿命はあくまでも平均なのですがから平均寿命以上の年齢の人も居るはず。そんな人が上の計算式を使ったらマイナスの値がでて「お前はもう死んでいる」ということになってしまいます。
平均寿命まで生きた人がいると同時に、不幸にしてそれ以前に亡くなった人もいるはず。その人達の分は平均年齢を下げる方向に作用するのですから生き残った人はその分平均寿命より長生きしないと「平均」の定義に反してしまいます。つまり平均寿命まで生きた人にはその後も生きていると期待できる年数、つまり平均「余命」があるわけですね。これは別に平均寿命まで生きた人だけに言えることではありません。どんな年齢の人にも期待される平均余命が計算できるはずです。
実は平均余命の計算は厚生労働省が計算して公表しています。実際のデータは以下のようになっています。
私はいま60歳なのでこの表によれはあと24年ほどの平均余命があることになります。平均寿命で計算したより3年ほど伸びました。60歳になる前に亡くなった方々がいるので、すでに生き残っている私は3年分長生きすることになるのです。こう考えると何か申し訳ないような気もしますが、これは別に私が若くして亡くなった方の寿命を吸い取っているという話しではありません。単に平均というものはそういうものだ、ということですよね。
では今年20歳の学生さんはどうでしょう。平均余命は61.8年。平均寿命から単純に現在の年齢を引き算した結果と大して変わりません。これは20歳になるまでに亡くなる人がほとんどいないから。今の日本では若者が20歳までに亡くなるということはレアケースなのですね。
では「その年齢までに亡くなるひとが全くいない」なら先の「(平均寿命)ー(自分の年齢)」と平均余命が一致するのでは。はい、生まれたときの0歳なら「亡くなるひとが全くいない」(そのあとは別ですが)ですよね。このケースでは(自分の年齢)は0ですから「平均寿命」と「平均余命」は一致する。というか0歳の平均余命こそが平均寿命の定義と考えてもよいでしょう。
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