「Cal」と「kcal」(江頭教授)
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先日、「食べ物の「カロリー」が気になる?」と題して食べ物の持っている熱量・エネルギーの単位が未だにkcal(キロカロリー)でありSIであるJ(ジュール)が用いられていないことに苦言(と言うほどでもないですが)を述べたのですが、そのときふと思い出したのが表題の「Cal」のこと。
えっ、カロリーのことでしょう?と思うかも知れませんが、最初の「C」が大文字になっていることに実は意味があるのです。
むぅ、それはまさか大カロリー!!
「知っているのか雷電」とか言いたくなるのですが、実は普通のカロリー(cal)の1000倍を最初の「C」を大文字にして表現し、普通に「カロリー」と呼ぶ、という習慣が、栄養学の分野ではあったというのです。私は工学系なので「そう言う風習があるので気をつけましょう」と教えられただけなので、本当のところはよく分からないのですが、言われてみれば栄養学関係の熱量あるいはエネルギーの単位でカロリー(cal)
を使うことはほとんどありません。事実上、その1000倍のキロカロリー(kcal)しか使わないのですから「キロ」を略してカロリーと言いたい気持ちも理解できますね。
いっそ「キロカロリー」を略して「キロ」にしてしまったらどうでしょう。まあ、これは「キロメートル」や「キログラム」で私達は普通にやっていることですから、文章に残す場合はともかく、会話の中ではTPOによってはありそうなことですよね。
さて、この話とは別に熱量の単位とその名称についてはいろいろ歴史的な経緯があります。実は「カロリー」という名称が最初に用いられたときは今の1000cal、つまり1kcalに対しての名称だったのです。水1kg(1gではありません)の温度を1℃上昇させるための熱量として定義されていて、SIの元になっているMKS単位系での熱量の単位と考えるとこちらの方が自然かも知れません。両者を区別するために1kgの水で定義された方のカロリーを大カロリーとかキログラムカロリーなどと呼び、1gの水で定義するカロリー(つまり今普通に使っている意味でのカロリー)を小カロリーとかグラムカロリーと呼ぶこともあったそうです。
ややっこしい話しですが、私がこれを聞いたのはおそらく大学生のころ。となると今から既に40年位前。その時点ですでに「昔は」という前置き付きで語られていたのですから、今このブログを読んでいる皆さんがこの表現に出くわすことはほとんどないかと思いますので、ご安心を。
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