お辞儀ハンコと父の思い出(江頭教授)
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皆さんは「お辞儀ハンコ」という言葉を知っているでしょうか?私は先日ネットの記事ではじめてこの言葉を知りました。承認が必要な書類などでいろいろな役職の人たちがハンコを押す欄が並んでいるのはよく見ますが、そこに押印するとき、先頭の一番偉い人がまっすぐに印を押すと、次の人はやや傾けて、その次の人はもっと傾けて、偉い人から順に次第に深々とお辞儀をするかのごとくにハンコを押す、というのです。
変な話だなあ、というのは私の第一印象。その記事でも否定的に扱われていたのですが、私が感じた「変」は良い悪いの話しではなくて、私が昔父から聞いた話と矛盾している、ということです。
私が子供の頃、本当の子供の頃で多分小学生くらいだったと思います。父が何かの書類にハンコを押すついでに、「ハンコを押すということはこの書類の内容を認めたということ」だが「あんまり賛成ではないときはハンコを傾けて押すんだよ」という話しをしてくれたことがあったのです。今はもう亡くなっているので真偽を問いただすことはできませんが、財閥系の金融機関で支店長まで務めた人なので、そんなに非常識なことは言っていないのでは。
「ハンコを傾けて押す」ということが不本意の表明だとすると、件の「お辞儀ハンコ」も意味が変わってきます。「賛成しているのはトップだけ。下の人たちはイヤイヤ従っているだけなのだ」という表現になるわけで、これが認められているとすると結構ロックな会社だということに。
この「お辞儀ハンコ」ですが、ネットで少し検索するだけでいろいろな記事がヒットしました。でも「お辞儀ハンコ」を肯定する記事はあまりなさそう。いわゆる「謎マナー」扱いで、中には
時折TwitterやFacebookなどのSNSやネットニュースなどで取り上げられ、「形骸化した悪いビジネスマナー」の代表例として物議を醸すことがあります。
などと評される始末です。(マネーフォワード クラウド契約「謎マナーと言われるお辞儀ハンコの実態を徹底解説!」2023/07/25閲覧 https://biz.moneyforward.com/contract/basic/1249/)ちなみにこちらの記事での結論は、印影が傾いていてもいなくても法的効力に差はないが、職場の習慣なら従っておくのが無難、というものでした。まあ、無難な結論ですね。
さて、父が語っていた「不満の表現としての斜め押印」という話しですが、じつは上記の記事にもそれに類する話がありました。ただし、傾けるのではなく上下を逆に押す、というものだとか。
いろいろな企業でそれぞれの「ハンコ文化」といったものがあったのでしょう。ネット介して些細なことまで情報交換が行われるようになってオモシロハンコ文化が世の中に知られる様になった訳です。異なるハンコ文化が組み合わさると変に見えることもある、ということでしょうか。
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