読めるけど書けない漢字(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
別に漢字クイズを始めよう、という話しではありません。先日書いたこちらの記事のカナ漢字変換によるパソコンでの日本語入力についてのはなしを少し続けたいのです。
小学生の低学年の頃の私は落ちこぼれで学校の授業に全くついていくことができていませんでした。そういう人間の常、なのかどうかは分からないのですが、とにかく字が汚い。ですからパソコンで日本語が扱えて、文章もパソコンで書くのが普通、という技術の発展に大きく助けられている人間の一人です。それはとてもありがたいことなのですが、時々自分で鉛筆をもって字を書こうとするときに気づくのです。私の能力はパソコンに慣れすぎて退化してしまったのでしょう。、字を、特に漢字を手書きするのにひどく苦労するようになっているのです。
いえ、ぱっと思いついて漢字を書く、ところまではできるのです。ところが一度書いた文字をみて、「いや、これは違うな」と消しゴムで消す。「こうだっけ」と思って書き直すのですが、「やっぱり違うな」と消し直す。こんなことをくり返していると何を書いていたのか忘れてしまいます。
んっ、これはカナ漢字変換でやっている事じゃないか!
そうなんです。カナ漢字変換で「一覧の中から正しいものを選ぶ」というやり方に慣れているので自分で書くときも「書いてから正しいか判断する」というやり方をしようとしていたのです。ところが悪筆の悲しさ、自分の書いた字が汚くて正しくない様な気がしてしまう。うーん、これではいつまでも書けないわけだ。
とまあ、これは半分冗談だとしても、パソコンに慣れたことで自分の能力の一部が変化してしまった、というのは本当です。この場合、漢字を書く能力は退化してしまったのですが、漢字を読む能力は残っている。逆の言い方をすればパソコン(やそれに類する電子機器)があるという前提ならば、漢字を読む能力さえあれば漢字を書く能力は不要だ、ということなのですね。
いや、子供時代に私が苦労していた漢字の書き取りのテストというのは一体何だったのでしょうか。いや、私のことはもう手遅れ。今現在、小学校で漢字の書き取りに苦しめられている我が同胞達のことが私は気になって仕方がありません。今すぐにでも教育課程を改革して漢字を書く能力のための教育は廃止にすべきでしょう。漢字については読む能力だけを育てれば良い…って、あれっ、書く能力と読む能力を個別に育てることってできるのかなあ。
「日記 コラム つぶやき」カテゴリの記事
- 英文字略称(片桐教授)(2019.03.13)
- 地震と夏みかん(江頭教授)(2019.03.11)
- 追いコンのシーズンはご用心(片桐教授)(2019.03.07)
- Don't trust over 40℃!(江頭教授) (2019.03.06)
- 「加温」の意味は「温度を加える」?(西尾教授)(2019.03.04)