パソコンで漢字(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
パソコンなどの電子機器で日本語が使えるのは本当い素晴らしいことですね。
などと書くと「何を当たり前なことを」と思われるかも知れません。でも昔、PCというものが日本で出回り始めた頃(PC98の頃、といっても1998年よりずっと前、1980年代の半ば頃)にはPCは基本数字とアルファベット、それと少しの記号しか扱えない代物でした。PCで漢字やひらがな、カタカナなど、日本語が扱えるということは特別な付加価値であり、日本で販売されるパソコンは独自の改良が施されたものだったのです。
PCのキーボードも基本はアルファベット。一部ひらがなやカタカナをキーに割り付けたものもありますが、さすがに全ての漢字を並べたキーボードというものは使い勝手が悪すぎる。そこで考え出されたのがカナ漢字変換という仕組み。読みをローマ字入力することで漢字の候補がリストアップされ、そのなかから意図するものを選択する、というものです。
今でこそ多くの人がこの仕組みを便利に使っていて、これで巧く行く、ということを知っています。でも、私がはじめてこのカナ漢字変換のやり方を聞いたときには「そんな面倒くさいやり方で文章なんか書けないでしょう」と感じたものです。漢字を書く必要があるたびに作業をとめていちいち候補を見て選ぶなんて…。
でも実際に使ってみると、意外に巧く行く。確かにおなじ発音の漢字はたくさんあるのですが、頻繁に使う漢字はそんなにありません。最初のうちはたくさんの候補から目的の漢字を選ぶのに苦労するのですが、一度選ばれたものが上位に来るようになっていたので、だんだん「痒いところに手が届く」感じになってくるのです。
まあ、当時は自分が若かったので適応能力が高かった、ということが最大の理由なのかも知れません。
その後、カナ漢字変換の技術はどんどん進歩して前後の文脈を前提に変換するなど本当に使い勝手が良くなっています。
このカナ漢字変換の技術、当初英語などアルファベットを使っている言葉でしか利用できなかったPCが漢字をつかう文化圏でも使えるようになった、というの点で非常に大きな意義があったと思います。
おまけ:
これは当時、台湾からの留学生の人から聞いた話。カナ漢字変換システムには自分で漢字の読み方を入力できるシステムがついています。(人の名前などを登録するためのものでしょう。)この機能を利用して、いったんシステムの辞書を全部消去して、新たに中国語の読みと漢字の組み合わせを登録することで中国語版のカナ漢字変換システムをつくる、ということが留学生の間で流行っていたのだとか。中国語に対応したPCが無い(あるいは入手困難)な状況での工夫ですが、自分でゼロから育てた辞書はものすごく使い易かったそうです。
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