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ロジスティック曲線はS字カーブなのだろうか?

| 投稿者: tut_staff

 ロジスティック曲線とはどんなグラフなのか、まずは形を下図で見てもらいましょう。

Fig0_20230830152601

横軸t(これは通常時間のこと)が0からスタートしてN(こちらは生物の個体数、あるいは人口などを表しています)の値ははじめのうちはまさに「指数関数的に」どんどん加速しながら増加するのですが、やがて「成長の限界」に突き当たる。今度は増加速度はどんどん減速し最後には増加が止まって一定値に達する、というグラフです。

 これは最初は無制限なはねずみ算的な増加が起こるが、やがて資源の枯渇や環境の制限などで成長が阻害される。その過程をモデル化した微分方程式の解として与えられるカーブです。

 これ自体は問題ありません。で、このロジスティック曲線のことを「S字カーブ」と表現することがよくあるのですが、私は「S字カーブ 」という呼び方聞いたときには違和感を拭えませんでした。

 いやだって、S字カーブってこんな奴だろう。 

Photo_20230904193701

えっ、それは自動車教習場のS字カーブだろうって?確かにそうですね。これはおとぼけが過ぎるかも。

とはいえ件のロジスティック曲線にむりやりSの文字を重ねてみてもこんな感じです。

 Fig1_20230830152601

前半と後半で「上に凸」の状態から「下に凸」の形に入れ替わる、といえば似ている様にも…いや、全然似て無いよこれ。

 先に書いた「正規分布は釣り鐘型なのだろうか」という記事でも述べたことですが、図形を文字で表現するのはとても難しいことです。特に今回の「S字カーブ」などは、説明を聞かないと初見では絶対に分からないのではないでしょうか。

 百聞は一見にしかずと言いますから、なにか図形の特徴を説明したいのなら図をつかって説明するのが一番ですよね。

 

江頭 靖幸

 

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