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2005年のCO2排出量

| 投稿者: tut_staff

 昨日の記事では現在(とってもデータ取りまとめの都合で2020年時点での)世界での二酸化炭素排出量についてみました。

 中国や日本、ドイツなど先進国でも一人当たりの年間CO2排出量が少ない国(7トン程度)に対して、アメリカは(一人当たりで)2倍弱の13トン程度。それでもアメリカの人口が中国よりも少ないため国全体としての排出量の第1位は中国である。

とまあ、こんな風にまとめることができると思います。中国が先進国であり、ドイツや日本などと同じ程度の一人当たりのCO2排出量の国、というのが私にとっては「よくぞここまで」と感動できるポイントです。

 このブログを読んでいるあなたがもし高校生なら「一体どこに感動の要素があるのやら」ということになるでしょう。そこで今回は皆さんが生まれたころ、18年前の2005年の二酸化炭素排出量のデータに目を向けてみたいと思います。

 下図がそのデータ。私が以前から行っている環境関係の授業の古い資料に残っていました。

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出典) EDMC/エネルギー・経済統計要覧2008年版
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より

 まず当時、国全体での排出量ナンバーワンはアメリカです。そして一人当たりの排出量でもアメリカは群を抜いていました。国全体でアメリカに続くのが中国ですが、一人当たりの排出量はアメリカの五分の一程度。人口が多くても貧しい中国は発展途上国なのだということをこの図が見事に可視化している様に思えたものです。

 さて、もう一つ注目するべきなのはアメリカと中国に継ぐ順位の国々。具体的には日本、ドイツ、イギリス、それにまあ、ロシアも加えて良いでしょう。これらのくにはいわゆる先進国であり、どの国も一人当たりの年間排出量が10トン程度という共通点がありました。

 当時の私は「先進国のライフスタイルには一人当たり年間10トン程度のCO2排出量が伴う」という風に理解していました。そして「アメリカはちょっとおかしい」とも。

 中国の一人当たりの年間CO2排出量は約4トン。「先進国は10トン」という基準からみるとまだまだだったわけですね。ですから「やがては中国お人々も一人当たり年間10トンの二酸化炭素を放出するようになるに違いない。」「そのとき地球全体での年間CO2排出量はどうなってしまうのだろうか」などと私も考えていた時期があるのです。

 さて、高校生の皆さんに私の感動ポイントは伝わったでしょうか。いまや中国と日本の一人当たりの年間CO2排出量はほぼ同一レベルとなりました。これは昔の私の予想通り。でも予想の一部が外れたのは「中国の排出量が伸びて」同一レベルとなったのではなく、「日本の排出量が減る」こともレベルが同一になるための重要の要素であった、そこが私にとっての感動ポイントなのです。

江頭 靖幸

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