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推薦図書「健康になる技術 大全」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 ここ最近、推薦図書の「悩ましい」ネタが続いたのですが、今回は心置きなく推薦できる本のご紹介です。本のタイトルは

林 英恵 著「健康になる技術 大全」(ダイヤモンド社,2023)

で、私が読んだのはその電子版です。

 いや、タイトルをみたときは大きく出たなあ、大丈夫だろうかこの本、と思ったのですが内容は非常に堅実でした。この本のイントロ部分「はじめに」では

「真」の健康法を見極め、実行し、続ける技術

とあります。この「「真」の健康法」という部分、如何にも怪しい物言いなのですが、驚いたことにこの部分が実に堅実。ここで言う「「真」の健康法」というのは科学的に根拠のある(エビデンスに基づいた)健康法、という意味だったのです。「真」の、という形容に一番相応しいのはやはりエビデンスに基づいたものだ、それに異論のある人は少ないと思います。

 さらにこの本の良いところは「はじめに」に続く第1章を費やしてエビデンスとはなにか、について丁寧に説明してくれて居るのです。

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 正直、健康問題に悩みがないひとでも科学とはどういうものなのか、ということに関心のある方は本書の第1章を読んでみることをお勧めしたいと思います。科学的に根拠があるということがどのようなことなのか、それが「思ったより白黒はっきりしていない」のは何故なのか、がよく分かると思います。

 ついでに、第4章「食事」の「食事の話でありがちな「エビデンスの飛躍」に気をつける」という項目も読んでおくと良いでしょう。この「エビデンスの飛躍」はよく見かけるもので、

「食品Aは健康の指標Bに影響がある」というエビデンス①がある。

「健康の指標Bは病気Cのなりやすさ影響がある」というエビデンス②がある。

からといって

「食品Aが病気Cを予防する」

とは言えないのだ、というはなしです。三段論法を用いて導かれた「食品Aが病気Cを予防する」という結論ですが、これは単に検証が必要な仮説に過ぎません。(「三段論法」での命題では往々にして「すべての」が省かれていますよね。)検証の結果エビデンスが確かなものになれば良いのですが、実際にはそうならないことも多いのです。

 さて、エビデンスにつづいて本書で述べられているのは…この話は次回に譲るとしましょう。

江頭 靖幸

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