とうとうこんな時代になりました(江頭教授)
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以前の記事で紹介したとても便利なサイト「全国地球温暖化防止活動推進センター」JCCCAの、特に「すぐ使える図表集」のコーナーでには温暖化に関する情報を見やすくまとめた情報が盛りだくさんです。その中の一つ「世界の二酸化炭素排出量に占める主要国の排出割合と各国の一人当たりの排出量の比較」が以下の図。私はこの図を「サステイナブル環境化学」の授業のなかで使っているのですが、毎年データが更新されるので今年も最新版を取得したのです。
一言断っておくと、この図表は2023年度のものですがデータは2020年と少しタイムラグがあります。(データの整理が一瞬でできるわけではありませんからね。)
さて、図をみると排出割合が一番大きいのは中国。二番目がアメリカとなっていてこれは最近の変わらない傾向です。中国の排出量はアメリカの2倍以上。とはいえ中国は人口も多い国ですからひとりあたりはそんなに多く…って、いや、結構出してますよね。
出典) EDMC/エネルギー・経済統計要覧2023年版
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(http://www.jccca.org/)より
具体的な数値を見てみましょう。中国はひとりあたり年7.2トンの二酸化炭素を排出しています。確かにこの数値はアメリカの人口一人当たりの値、年間12.8トンと比べるとかなり小さい。とはいえドイツの年7.1トンよりも大きいですし、日本の7.8トンと比較して大差が無いといえるのでは?
以前はこの図表を見ながら「中国は全体としての排出量は大きいが一人当たりの排出量はまだまだ小さい。今後も排出量が増えるのは致し方ないことだ」などと考えていたものです。でも一人当たりの排出量もここまで大きくなったとなれば、そろそろ中国の排出量も減少、とまでは行かなくても安定してもらわないと。
もっとも「中国と日本の人口一人当たりの二酸化炭素排出量がほぼ同じ程度(1割程度の差)になった」ということは中国の排出量増加(と経済成長)が続いたことも大きいのですが、もう一つの要因として日本の排出量が減少を続けているというこもあると言えるでしょう。
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