メタンハイドレートの現在(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
皆さんは今回のタイトルの「メタンハイドレート」という物質をご存じでしょうか。
純水に化学の領域のお話をすれば「メタンハイドレート」は包接化合物の一種の俗称です。水の結晶、というか氷の結晶の中にメタンの分子が閉じ込められた形の物質。氷が溶けると同時にメタンガスが放出されるので、これに火がつけば以下の写真のように「燃える氷」となるのです。
これだけでもう面白いのですが「メタンハイドレート」にはもう一つの魅力的な特徴があります。合成しなくても(もちろん合成することもできますが)自然界に、海の底に自然に存在している、それも日本の近海に大量に存在しているというのです。
「燃える氷」を日本の近海の海底から掘り出せば、海外の石油や石炭に頼る必要はない。日本もついにエネルギー的な自立を達成できるのだ、という意味でも非常に注目された物質です。
先日、大学院の学生さん向けのレポート課題で「日本のエネルギー的な自立」について問うたのですが、幾人方学生さんがこの「メタンハイドレート」について書いてくれました。それをみて、ふと思い出したという訳なのですが、逆に言うと最近あまり「メタンハイドレート」の話を聞かないような…。
図は資源エネルギー庁の「石油・天然ガス政策について→メタンハイドレートの研究開発」というページの情報です。
個人的な問題として、以前はメタンハイドレートの研究者の方が近くに居て、よく話を聞く機会があったのですが、私が東京工科大学に移ってその機会が減ってしまった、ということは大きいと思います。とはいえ、ロシアとウクライナの戦争によってエネルギー危機が危惧されてている現在でも、あまり話題になっていようなのですが、これはどうしたことか。
やはり海底からのメタンハイドレートの回収は技術的に難しく、実用化は遠いのでしょうか。
あるいは、メタンハイドレートは新しいエネルギー源であることは間違いないのですが、それでも化石燃料に類するものであることが問題なのでしょうか。タンハイドレート由来のガス(実際は天然ガスと同じ)を燃やせば大なり小なり温暖化効果があるとなると、手放しで推進できるエネルギー源ではないのかも知れません。
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