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推薦図書「健康になる技術 大全」その3 (江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

前回、そして前々回にも推薦図書として紹介した

林 英恵 著「健康になる技術 大全」(ダイヤモンド社,2023)

について。今回こそは最後にしましょう。最初の記事で「エビデンスとは何か」「科学的とはどういうことか」という第1章の紹介を、2番目の記事では習慣化によって意志の力を振り絞らなくても自分の行動を変えることができる、という考え方とその具体的なテクニックを記した第2、第3章について紹介させてもらいました。

 本書のイントロ部分「はじめに」のサブタイトルをさらにもう一度示しますが、

「真」の健康法を見極め、実行し、続ける技術

という文章の内、「「真」の健康法」の「「真」の」についての説明が第1章、第2章の内容は「実行し」で、第3章は「続ける技術」だ、と説明しました。だとすると今回は「健康法」の部分について、つまり本書のメインの部分の評となります。

 で、結論から言うと…。僕の思っていたのと違う、です。

 この本で悩んでいた健康問題が一気に解決、とは行きません。逆にいままで全く気にしていなかった問題を指摘されて、さあどうしよう、と新たな悩みができるような気すらします。

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 うーん、なんだろう。

 この本にあるエビデンスのある健康に関する情報というものは「○○をすると××のリスクが減る」とか「△△を食べると■■のリスクが高くなる」といった形式のものが多いように思います。今現在自分がその「××」や「■■」について悩んでいたとするとこのエビデンスのある情報は、実は無意味、というか手遅れなのでは。逆に「××」や「■■」に罹っていないなら、それは新たに健康上の不安を追加されていることになってしまいます。もちろん、その不安にきちんと対応して(新たな習慣を身につけて)「××」や「■■」のリスクを減らせたらそれは良い事なのですが…。

 何れにしても本書を読んで自分の悩んでいた問題が解決することはなさそう。でもそれは当たり前のことです。本書は別に「健康上のお悩みを解決します」と言っている訳ではないのですからね。

 さて、著者に「本書を読んで自分の悩んでいた問題が解決することはなさそう」と言ったらどんな回答が返ってくるのでしょうか。以下は私の想像ですが「病院に行って医師に相談してください。」と言われると思います。それが標準的なEBM(科学的根拠に基づいた医療)の対応というものですよね。

江頭 靖幸

 

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