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世界は変わるけれど思ったようには変わらない、という話(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 随分前に読んだ海外のSF小説のことなので記憶が曖昧なのですが、その本のあとがきに訳者による著者の紹介がありました。その中のエピソードの1つがこれ。

著者が講演会で「この中で21世紀になっても人間が今と同じ形をしていると思っている人はいますか?」と聞いたとか。数名が手を上げると「あなたたちは間違っている!」。

 要するに人間の姿が変わってしまうほどの人体改造、サイボーグ化が進むだろう、という意見を自信たっぷりに述べたわけですが、うーん。21世紀になって20年以上たつのですがそんな気配は見られないなあ。

 おそらくこのSF作家さんは人体改造を技術の面から見ていた。つまり「近い将来こんなことができる」という点に注目していたのだと思います。

 しかし、人体改造ができるとしても、それを敢えてしたいのかどうか。それだけの動機があるのか、という視点がかけていたのではないでしょうか。「こんなこと良いな」「できたら良いな」と思えるような用途が果たして…。

 実際、「勝負に勝ちたい!」という強い動機があればサイボーグ技術などなくても↓の様な「人体改造」は可能なのですね。

Osumousan_kesyou_mawashi

 

 そそらくは人体改造の動機、というかニーズとしては「宇宙の環境への適応」が想定されていたのではないかと思います。そのぐらいの環境の激変があれば人体改造も有りでしょう。逆に言うとそのぐらいの事が無いと人間はそれほど新しい「体型」へのニーズを感じないのだと思います。

 現実には「人体改造」が行われないのは、現実には「人類の宇宙進出」が行われなかったから。だとしたらそれも含めてこのSF作家さんの予想(あるいは希望)は外れてしまったわけですね。もちろん、これはこのSF作家さんだけの話ではありません。多くの人が未来を予想するのですが、実際には予想した通りにはならないのですから。

 

江頭 靖幸

 

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