「沙漠」「砂漠?」「沙漠!」(江頭教授)
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いわゆる「砂漠」について、私は「沙漠」という表記を使うのですが、良く「砂漠」の書き間違えではありませんか、と言われることがあります。
いえいえ、意識して「沙漠」という言葉を使っています。特別なこだわりがある訳ではありません。沙漠に関連した研究を始めたときに、周りの人たちに合わせて使い始めたのです。実際、「日本沙漠学会」でも「沙漠」という表記が使われています。
そもそも沙漠とは「水の少ない土地」であって「砂ばかりの土地」ではないでしょう、というのがこの「沙」という漢字が使われている理由だと思います。
実際、沙漠の定義は雨の少なさ(降雨量の少なさや雨の降らない日の多さなど)に基づいて決められていて(例えばUSGSのこのページ)、砂の多さを基準にしたものは見たことがありません。
図は降水量と蒸発量との比率を使って定義した沙漠の分布です。降水量は主には雨のことですが雪も含まれています。一方の蒸発量には少し注意が必要です。地表に水があった場合に蒸発する量(正確には速度)のことです。実際には金だらいの様な容器に水を入れて水面から蒸発する速度を計ります。
蒸発量が降水量より大きいばあい、例えば池の水を全部抜いたとしたら降った雨はいずれ蒸発してしまい、恒常的に池に水がたまった状態にはならないことになります。このようにな蒸発量が降水量より多い土地を乾燥地と呼びますが、水が少ないという意味の沙漠もこの定義に対応するものだと考えられます。
さて、この定義からすると、雨に恵まれた日本には沙漠は存在しない、ということになります。
日本で「砂漠」という思い起こされるのは鳥取砂丘ですが、あれは沙漠ではなくて大きめの砂浜です。「沙漠」ではありませんが、「砂漠」ではあるのかも知れませんね。
PS:「東京砂漠」という歌がありましたけど、あれは「砂漠」表記でしたね。東京は「潤いがない」わけじゃなくて「砂を噛むような」都市だ、という意味でしょうか。
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