人口が減る、ということは…(江頭教授)
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世界の人口が増え続けている一方で日本の人口は減少傾向にある。これだけで世界の中で日本が特殊な国であることが分かるのですが、さてその減少スピードはどの程度なのでしょうか?ちょうど1月の人口推計が発表されたのでその資料を見てみましょう。
まず今年元日の日本の総人口は約1億2400万人だとか。よく「日本の人口は1億人」と言いますが、実は「1と1/4億人」というのが近いのですね。
それはさておき、昨年2023年(令和5年というべきか)の人口減少は66万人で0.53%の減少だそうです。
だいたい200人に一人が1年で減る、というイメージ。我々応用化学科は定員が80人で4学年を合わせると320人程度。大学院の学生さんと教員を加えてやっと400人といったところでしょうか。だとすると「応用化学科全体から毎年2人が減る」という計算になります。
いや、大学というところは人の出入りが多いところです。毎年80人の卒業生を送り出し80人の新入生を受け入れていれば2人の増減などあまり気が付かないでしょう。実際、毎年定員の人数ぴったりの学生さんが入学するとも限らないですし、必然的に卒業する学生さんの人数にも変動がありますからね。
年間 0.5%の人口減少というのは普通には気が付かないほどのゆっくりした変化だ、ということでしょうか。いや、そこが怖いのだ、というべきでしょう。
さて、ここで少し視点を変えてみましょう。以前こちらの記事で
たとえば日本の人口、1億2千万人がずーと減少して一人になってしまったら、それは「衰退」したといえるでしょうね。でもその最後の一人は「貧しい」のでしょうか?ひょっとして日本人の全財産を相続してものすごいお金持ちかもしれません。
と書いたのですが、0.5%人口が減るということは私達日本人は平均して年0.5%分だけお金持ちになっているのでは?
相続という観点だけで考えると人口の減少と言うより死亡者数の方が重要でしょう。確定値のでている2022年度のデータでは死亡者数は1,530,102人で約150万人でした。その前の2021年度は1,439,925人でした。2021年から2022年で死亡者が増えているということは、相続財産をもらう人の人数は年6%増えているということです。
死亡した人がすべて相続財産を残しているかどうかは別問題ですが、少子化にはこのような側面もあるのです。あまり世間では聞かない話ではありますけれど。