世界中の石炭が燃えたらどうなるか(江頭教授)
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「世界中の石炭が燃えたらどうなるか」なんてことを思いつきました、というのが今回のお話し。
さっそく「世界中の石炭」から始めましょう。資源エネルギー庁のエネルギー白書によると世界の石炭確認埋蔵量は1兆741億トン。まあ1兆トンですね。これが全て炭素だとしましょう。(本当は灰分という不純物があるのですが、これは無視しましょう。)炭素の原子量12で割って 8.95×1016 mol となります。これが全部二酸化炭素になると3.94×1018 g あるいは約4兆トンですね。
現在の世界の二酸化炭素排出量は300億トン程度ですから約130年分。
体積にすれば 8.95×1016 mol × 22.4 L/mol = 2.0×1018 L = 2.0 ×1015 m3 なので、1000兆立方メートル。(「子供の喧嘩か!」という数字ですねえ。)
これが大気中に放出された一体どうなるのでしょうか。
地球の大気は 4.0 ×1018 m3 あるので大気の 0.05 % になります。少ない? いえいえ、ppmにすれば 500 ppmになりますから、現在の大気中の二酸化炭素濃度が倍以上になる計算です。
もちろん、放出された二酸化炭素がすべて大気中に留まるわけではありませんが、それを考慮してもこの二酸化炭素量は無視し難い、というか壊滅的とさえ言えるでしょう。
こう考えると石炭(とその他の化石燃料)を全て燃やし尽くしてエネルギー源にする、ということはできない。その前に地球環境の限界が来る、という事が分かると思います。
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