学生時代に受けた「プロセス工学」の授業(江頭教授)
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「授業点検」という本学の制度についてはこのブログでも紹介したことがあります(こちらの記事とか)。今年の後期の授業点検に「プロセス工学」という科目があったので、ああっ「懐かしいなあ」と思った、というのが今回のお話し。
私が大学の3年生の時の授業で担当は前回紹介したこちらの本を書かれた西村肇先生でした。教科書として指定されていたかどうか、よく覚えていないのですが、そのとき買ったプロセス工学関係の本が写真の「化学プロセス工学」という本。これは凄く難解な本で、通学途中に電車のなかでこの本を読んだところ、深い眠りに落ちて乗り過ごすこともしばしば、という有様でした。
だとすると授業の方もさぞかし…と思いきや、これが凄くためになった、というか身になった授業だったのです。
授業は教科書をまったく使用せず、演習問題を解くというスタイル。しかもその演習問題というのが1学期の授業で2問しかないのです。
この授業は化学プロセス、つまり化学物質を合成して大量生産するための工場をどの様に設計するか、という内容でした。そのため、現実に存在するプロセスから例をとって、その簡単なモデル化と条件最適化をやってみよう、というのが演習問題なのです。簡単なモデル化、といってもそこは化学プラントのプロセスの問題。すぐに解けるような単純なものではありません。いくつかのステップに分けて複数回の授業時間をつかって問題の解説と解き方の説明が行われるのですが、それが科目の内容の説明を兼ねていたのです。問題を解く、という状況のおかげで単純に教科書を読むよりも理解が深まったように感じます。
やがて数値計算で答えを出せるところまで理解が進んだのですが、利用できるのが当時出始めていたプログラムの組める電卓(こちらの記事で紹介しています)ぐらいしかなかったのですから、数値解を求めるのは相当に大変な作業でした。
さて、我々学生はこの授業ではたった二問の例題、というか具体例を二つだけ集中的に勉強したのですが、その結果「化学プロセス工学」に書かれたたくさんの内容のほんの一部にしか触れないこととなりました。結果として本の内容の全部に目を通していないことになります。とはいえ、例題で学んだ一部について言えば本当に身についた状態になったのです。反対に普通の授業の形であの教科書を1ページ目から順に学修してゆくスタイルでは本の内容のほとんどが理解できなかったのではないか、と思います。
与えられた授業の時間を使って、一部でもきちんと理解することができたなら、このようなスタイルでも良い、というかこのようなスタイルしかなかったのかな、などと自分で授業をするようになって西村先生の考えが少し分かる様な気がするのでした。
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