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2024年3月

2024.03.29

在校生向けのガイダンスを実施しました(江頭教授)

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 今週は3月最後の1週間。本日3月29日はその金曜日ですから今月も、いえ今年度も実質的に本日までです。ということで、すぐに新年度が始まるわけですね。先日卒業式を行ったので本学はお休みの期間。そして新年度に入ると新入生を迎えるのですが、その前に一つやっておくべき事が。それが在校生に対するガイダンスです。

 ということで、我々工学部のガイダンスは昨日の28日に実施。1年生、というか新2年生、それに新3年生、4年生に向けたガイダンスのために教員はそれぞれに向けた準備を進めています。

 「入学時はともかく、大学でガイダンスなんか必要なの?」

 はい、必要です。新3年生なら本学に固有の「コーオプ教育」の情報が必要。新4年生には卒業研究や就職活動のサポートについて説明する必要も。そしてどの学年に対しても大学院進学のための情報など、在学生にも必要な情報を一気にまとめて伝達する、ガイダンスはそのための絶好の機会です。

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2024.03.28

エビデンスに基づいた医療で「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現できるのか?(江頭教授)

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 今回は前回紹介した

 モリー・マルーフ著 矢島 麻里子 訳

 脳と身体を最適化せよ!――「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法

 ダイヤモンド社 (2024/2/14)

と、もっと以前に紹介したその1その2その3

 林 英恵 著

 健康になる技術 大全

 ダイヤモンド社,2023

とを比較してみたいと思います。

 前回の記事でも少し触れましたが、後者の「健康になる技術 大全」の方はエビデンスに基づいた情報に限定した内容となっていて、この本に書いてある事は(基本的には)誰にでも適用できるもの、という位置づけです。

 それに対して前者の「脳と身体を最適化せよ!」は「バイオハック」などと言い回しを工夫してはいますが、実情は著者本人の体験談。本人に効果があった(と本人が思い込んでいる)ことが並んでいるだけで、他の人に役立つという保証はないに等しいものです。

 となれば、どう考えても後者が前者より優れている、とお思いではないでしょうか。ですが前者「健康になる技術 大全」には一つ大きな問題があるのです。

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2024.03.27

書評 モリー・マルーフ.「脳と身体を最適化せよ!――「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法」(江頭教授)

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 以前、このブログで「健康になる技術 大全」という書物を推薦しました(その1その2その3)。少々怪しげなタイトルですが、その内容はいたってまとも。著者は「万人に意義のあるエビデンスに基づいた医学的な情報」にこだわっていて、そもそも科学的なエビデンスとは何かを掘り下げるところから始める念の入れようでした。(推薦記事のその1をご覧ください。)

 さて、今回紹介する

 モリー・マルーフ著 矢島 麻里子 訳

 脳と身体を最適化せよ!――「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法

 ダイヤモンド社 (2024/2/14)

という本ですが、これはある意味「健康になる技術 大全」の対局にある様な書物です。

 この本では医学的な研究の結果の利用というよりは「バイオハック」という技法が中心的に語られています。

「バイオハック」について、この本の著者は

バイオハックとは、心・身体・精神すべてにおいて最高に健康な自分になるために、単一事例実験によって最先端の科学的知見を応用するプロセスである。

と定義しています。美辞麗句を引っぺがして要約すると「いろんな健康法を試してみて巧くいったものを生活に取り入れよう」でしょう。

 「単一事例実験」と格好を付けていますが要するに個人の経験に過ぎません。客観的な、というか科学的な知見を得るために「単一事例実験」はほとんど役には立たない、というのは言い過ぎですが、全く決め手に欠ける、とは言えるでしょう。つまりこのバイオハックは医学的な意味においては最低レベルの証拠に基づいた知見の集まりにすぎません。そして本書の著者もそのことには気が付いているのです。

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2024.03.26

帰ってきたオープンキャンパス(江頭教授)

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 今回の記事は3月24日(日)に実施した対面型オープンキャンパスについて書きましょう。

 今年度最後、そして今年最初の対面型オープンキャンパスは2025年入試(2025年4月1日に入学する人)向けの最初のイベントです。昨年の8月に2024年入試向けのオープンキャンパスが終わって以来、半年ぶりの対面型のイベントですから「帰ってきた」感がありますよね。

 いつものオープンキャンパス同様、朝早くに大学に行くと片柳研究棟入口の看板が私達を迎えてくれます。

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受付もいつものとおり。とはいえ、夏休み中のオープンキャンパスと比較すると少し人出は少ない様子。(正直に言うとこのくらいの方がやりやすいのですが…って、おいおい。)

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 さて、今度は今回初登場の新企画。応用化学科の、いえ工学部の、いえいえ、本学全体の教養教育科目(英語をはじめとする外国語や、人文社会系の授業などです)を運営している教養学環からもパネル展示がありました。

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2024.03.25

ヴァーチャルオープンキャンパスも実施中です。(江頭教授)

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 昨日、3月24日の日曜日、今年度最初の対面のオープンキャパスを実施しました。おっと、今年度最初は違いますね。まだぎりぎり3月なので、来年度最初の、となるのでしょうか。いずれにしても2025年入学の皆さんを対象としたオープンキャンパスです。

 コロナ禍もすでにかなり遠い記憶になった今日この頃、オープンキャンパスの実施方法も旧に復してきて、いろいろなイベントが復活してきたように思います。

 対面のオープンキャンパスのその辺りの状況については別途ご紹介するとして、今回はオンラインのオープンキャンパス、いわゆるヴァーチャルオープンキャンパスについて紹介しましょう。こちらはすでに3月1日からスタート。3月31日までの実施予定です。(詳しくはこちらにアクセスしましょう。)

 以下の図は「バーチャルキャンパス見学」で公開されいてる八王子キャンパスの外観のインタラクティブ動画。いつも自分が居るキャンパスですが、こうして動画にして見せられると、やっぱり大きいなあ、と感じますね。

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2024.03.22

今年最初のオープンキャンパスは3月24日(明後日の日曜日)に実施します(江頭教授)

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 おっと、正確には「来場型」のオープンキャンパスですね。(オンライン型バーチャルオープンキャンパスはすでに開始しています。こちらから申し込みできます。)

 ということで、25年4月入学を予定している高校生諸君に向けた最初の(そして23年度最後の)来場型のオープンキャンパスは明後日の日曜日、2024/03/24に実施することになっています。

 もしこの記事を読んでいるあなたが高校2年生(もうすぐ高校3年生)なら、もしかしたら大学のオープンキャンパスははじめてかも知れません。そんなあなたのために、まずは全体の流れを説明しましょう。本学工学部では学部での説明が最初、その後各学科に分かれる、という構成となっています。学部全体の説明では学部長から工学部の概要について。そしてコーオプ教育については実際にコーオプ実習で企業での就業体験を経験した学生さんの体験談も込みでご説明しましょう。

 また、応用化学科の今回のオープンキャンパスは個別の研究室を見学していただく形式となりました。昨年度は学生実験室に各研究室が出店をだしてまとめて実施していたのですが仲々の人出で人口密度が高すぎる。ゆっくり話をするのも一苦労、ということでこれからは研究室見学を中心とすることに。実際に研究を行っている場所を見ることができる、というのも貴重な機会です(それも複数の研究室を見比べることができる)のでご期待ください。

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2024.03.21

「長崎は今日も雨だった」から明日も雨なのだろうか?(江頭教授)

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長崎は昨日も今日も雨だった、だから明日も雨だろう

という短歌(?)は昔(1971~)にNHKで放送していた平賀源内を主役とした時代劇「天下御免」の中に出てくるものだと記憶しています(私の記憶違いかも知れませんが…。)

 さて、この短歌のベースにあるのは内山田洋とクールファイブによる1969年のヒット曲「長崎は今日も雨だった」です。「今日も雨だった」とわざわざ「も」と言っているのだからおそらく昨日も雨だったのだろう。そして「だから明日も雨だろう」となるわけですね。

 でもこの短歌の記述が真実であれば明後日も明明後日も雨ということになってどう考えてもおかしい。そのおかしさがこの短歌の面白さになっているのでしょう。

 と言うわけで、冗句の解説という野暮なことをしてしまったのですが、今回考えたいのはこの

長崎は昨日も今日も雨だった、だから明日も雨だろう

という論法のどこが間違っているのか、です。

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2024.03.20

応用化学科の「学位記交付式」(江頭教授)

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 昨日は本学の学位記授与式(卒業式)でした。コロナ禍以降ついに以前と同様の形式に戻った4年ぶりの式典で、以下の写真がその様子。昨日の記事に載せた2018年3月20日撮影の写真に負けず劣らずの賑わいとなりました。

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 さて、式典の様子は…。実はこの式典、全体が撮影されていてその映像が公開されているのです。

 全体で約1時間40分の式典、本学東京工科大学の運営母体である片柳学生の理事長、本学の学長、そして来賓の方(今回はメルセデスベンツ日本の社長、上野金太郎氏です)の祝辞と学生代表による答辞があり、また学部の卒業生、大学院の修了生に対する学位記の交付が行われました。ただしこちらは各学部で一括の交付。学部毎の代表が受け取る形です。まあ、卒業生・修了生合わせて2000人程度の人数ですから一人づつ手渡すのはさすがに無理ですよね。

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2024.03.19

今日は卒業式(江頭教授)

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 本日、3月19日は東京工科大学の卒業式です。おっと、正確には「学位授与式」と呼ぶのでした。大学では授業を受けて所定の単位を取得し、卒業研究を行って、その論文が合格と認められれば学士号という学位が大学から授与されます。(大学院では修士号や博士号が授与されます。)ですから大学は卒業式ではなくて学位を授与する式、学位授与式となるわけですね。

 下の写真はその風景、というわけではありません。今日が「学位授与式」なのですからね。よく見ると写真の看板からも分かりますが、これは過去の「学位授与式」の情景。平成29年度(撮影は2018年3月20日)のもの。コロナ禍まえの情景です。

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ちなみにコロナ最中の2020年の情景はこちら。いや、本当に学位が授与された日(2020年3月19日)に撮影したのですが、残念ながらこの年の「学位授与式」は中止となったのでした。

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2024.03.18

推薦図書「ほったらかし投資術」(江頭教授)

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 今回の推薦図書はこちら

山崎 元, 水瀬 ケンイチ 著「全面改訂 第3版 ほったらかし投資術」 朝日新書(2022)

私はこの電子書籍版を読みました。

 タイトルにある「ほったらかし投資術」というのは株式投資に関する方針のことで「リスクを取っても良いと思える金額を全世界株式インデックスファンドに投資してほったらかしにしておく」という投資方針のこと。株式投資の勘所を

「長期投資」、「分散投資」、「手数料の節約」

山崎 元; 水瀬 ケンイチ. 全面改訂 第3版 ほったらかし投資術 (朝日新書) (p.125). 朝日新聞出版. Kindle 版.

と見極めてその実現の具体的な方法として「全世界株式インデックスファンド」を推奨する、という構成になっています。

 さて、前回、前々回と書いてきたように私は金融や経済の専門家ではないのですが、そんな私でもこの本で「これは真実に違いない」と確信したの以下の事実を指摘した部分です。

(1)運用成績は、インデックス・ファンドの平均がアクティブ・ファンドの平均を上回る

(2)アクティブ・ファンドの中で「今後の」運用成績が良いファンドを選ぶ方法がない

山崎 元; 水瀬 ケンイチ. 全面改訂 第3版 ほったらかし投資術 (朝日新書) (p.112). 朝日新聞出版. Kindle 版.

とくに(2)の内容は目からうろこでした。未来を予測することはできないので、当たり前と言えば当たり前なのですが、これをはっきりと言い切っている株式の関係者はちょっと珍しいのでは。これぞまさしく「それを言っちゃあ、おしまいよ」ですよね。この部分を読んで私は本書の著者の誠実さを感じました。

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2024.03.15

投機と投資(江頭教授)

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 昨日の記事でも書いたように私は金融や経済の専門家ではありません。今回、タイトルの様に「投機と投資」について述べるのですが、それは専門家としての意見ではなく、私が一個人として考えていること、程度に思って参考にして頂ければと思います。

 さて、まずはChatGPTに「投機」と「投資」の違いについてまとめてもらいましょう。回答は結構長いので文末に記載しておきますが、要点はChatGPT自身がまとめているように

投資は長期的な視野に立って安定したリターンを目指すのに対し、投機は短期的な市場の変動から大きな利益を得ようとする、よりリスクの高い行為です。

ということでしょう。つまり本質的には同じものであって、期間の長短とリスクの大小によって分類されている、という理解ですね。

 さて、私はこの解釈に少々不満です。前回の記事の書きぶりからお分かりかと思いますが、私は「投資」は有りだが「投機」は無しだ、と考えているのです。

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2024.03.14

金融については素人ですが(江頭教授)

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 私は一応は人にものを教える立場なのですが、それは専門分野に限った話。表題のとおり、金融や経済については素人なのでどちらかというと教えてもらいたい側です。いや、ここはもっと正直になりましょう。どうやったらお金儲けができるのか、お金持ちになれるのか、すごく知りたいですね。

 とはいえ、今から大学のその専門の学部に入学するのは結構大変なので、できれば手近で本でも読んで勉強したい、などと考えたことがありました。(何年も前、いや十何年も前、いや何十年も前の話です。)タイトルは思い出せないのですが「お金持ちになる方法」的な怪しげな本を買ってきた読んだことがあるのです。

 なんかいろいろ書いてあるのですが、根底にあるのは「借金して不動産に投資して儲けた」という個人的な体験談。というか、具体性があるのはそこだけでした。いや、これはたまたま運が良かっただけでは…。普通の人がまねしてもかなりの確率で借金を抱えて苦労することになるとしか思えない。それが当時の私の結論でした。以来、私は不動産投資に手を出してはいませんし、借金を抱えることもありませんでした。いや、当時の自分の判断力に感謝ですね。

 

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2024.03.13

今年の休学者ガイダンスで話したこと(江頭教授)

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 昨日の記事では昨年の休学者ガイダンスで、

自分の仕事が自分で片付けられないとき、自分で責任をもって誰かの助けを求める。それが自己責任。

というお話しをしたら、他の先生たちとモロかぶり。同じメッセージが3回くり返されることになった、というお話しをしました。

 ということで、今回は私が今年どんな話をしたのかを紹介したいと思います。今年私が話したのは、自分が小学生だったとき運動会に遅刻したエピソードです。

 寝坊したらダメだよ、とか遅刻は皆の迷惑に…という話ではありません。この運動会の件、実は担任の先生が開始時刻を間違えて知らせていたのです。だから私は遅刻した。ここまでなら普通の話なのですが、この時クラスで遅刻したのは私だけだった、というのがこのお話の肝です。

 例え担任の先生が間違った時間を伝えていても、他の生徒達は別ルートから正しい情報を得ていたのです。でも私は、というか私だけは正しい情報に接することができなくて「やらかした」のですね。うーん、自分ながら、友達いない子供だったんだなあ。

 いや、これにも理由があって、実は私は親の転勤の都合でこの小学校に転校してきて日が浅かったのです。(私は小学校は三つの学校に行っているのです。)

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2024.03.12

「自己責任」のはなしと休学者ガイダンス(江頭教授)

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 このブログを読んでいるあなたがもし高校生なら「自己責任」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。今回は、「自己責任」という言葉を誤解している人が多いのではないか、という話をしたいと思います。

自分の仕事は自分で片付ける。何もかも自分で責任をもって解決する。それが自己責任。

もしかしたらあなたはそう思っているかも知れません。でも世の中にはいろいろな仕事があります。最初から予測できない仕事だってある。予測よりずっと簡単なケースもあるでしょうが、思った以上に大変な場合もある。もし大変な仕事があって、自分の能力を超えていたらどうなるのでしょうか?頑張る。でもその頑張りで追いつかないほどの仕事だったら?もっと頑張る。それでも…、同じことの繰り返しですよね。

 実際に、ほとんどの人は自分では対応できない仕事の出くわすことがあるのです。その仕事が公的なものでもプライベートなものでも。いずれにしても自分で対応し切れないときは他人の力を借りなくてはなりません。

 だれかに助けを求めないと完成しない仕事がある。だから責任をもって仕事を完成させるには「誰かに助けを求める」ことが必要な場合もあるのです。そんなの無責任?いえいえ、意地を張って仕事を完成させられないことのほうが問題です。そうであるならば、

自分の仕事が自分で片付けられないとき、自分で責任をもって誰かの助けを求める。それが自己責任。

ではないでしょうか。適切なタイミングで助けをもとめることこそが責任を果たすことなのだと思います。

 なぜ急にこんな話を始めたか、なのですが切っ掛けは「休学者ガイダンス」です。

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2024.03.11

「天災は忘れた頃にやってくる」と言いますが(江頭教授)

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 本日3月11日、いわゆる「3.11」は東日本大震災が起こった日です。あれから13年ですが、今回はあの当時のことを思い出してみたいと思います。

 東日本大震災は前代未聞の大震災で、と言いたいところなのですがそれ以前にも日本の国には何度となく大きな地震がありました。私自身の生まれが1962年なので私が知っているのはそれ以降の地震のみですが、それでも1995年の阪神淡路大震災は甚大な被害のでた地震であり、それまで私が持っていた「地震」のイメージを一新するものでした。

 今では大きな地震が起こったところにボランティアが駆けつける、というのは当たり前の風景になっています。でも、この阪神淡路大震災以前には、私はそんな話は聞いたことがありませんでした。1995年を「ボランティア元年」とよぶこともあると言いますから、これは私だけの記憶の問題ではなくて、大きな天変地異に対して私達の社会が適応した結果なのでしょう。

 さて、13年前の3月11日、東日本大震災が起こったときの私は、少なくとも大きな地震が起こったらどのような事態になるのかは知っていたわけです。しかし東日本大震災の恐ろしさは単に地震だけではない。地震によって引き起こされた津波という災害は、また新たに災害のイメージを一新するものでした。

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2024.03.08

再び雪の八王子キャンパス(江頭教授)

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 毎年冬になると、雪が降らないかなあ、と期待すると同時に、雪が降ると困るなあ、と心配もしています。

 おっと、この書き出しは以前のこちらの記事と同じですね。これは2月始めの結構な大雪についてのお話し。今回の記事も雪についてですが、私の気持ちとしては「困るなあ」要素は少なめです。

 まず今回の雪、それほど積もっていないのです。大雪になるかも、という前日(2024/03/07)の予報にもかかわらず八王子は深夜までは雨かみぞれで、雪になったのはかなり後になってからでした。今はもう止んでいて今日は晴れるというのですから今回の積雪は大したことはなかった、で済みそうです。(おっと、これは八王子に限れば、という話。場所によっては大雪という予報が当たったところもあるでしょうね。)

 そしてもう一つ。「困るなあ」要素が少ないのは学校の行事、特に入試関係が一応終了していることも大きいですね。雪が降って、それが理由で交通機関が乱れるといろいろなトラブルが。この場合は八王子キャンパスだけでなく周辺の交通機関の問題もダイレクトに関わってきますから、どうしても雪に降ってほしくないなあ、と思ってしまいます。

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2024.03.07

グローバル化と公害の輸出(江頭教授)

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 先日、本ブログの「化学工場と法規制」という記事で化学物質の製造に伴って発生する有害な副生物の処理についての考え方を述べました。化学物質を製造している工場から有害な副生成物が放出されると公害問題が起きる。これを防ぐためには法的な規制が必要だ、という話です。ここで重要なのは法的な規制はすべての化学工場、すべての化学会社に例外なく適用されなくてはならない、という点です。廃棄物処理を免れた化学工場が一部にでも存在を許されれば、真面目に処理を行っている化学会社は市場競争に負けて淘汰されてしまいます。

 このお話、一つの国の中の話として説明していましたが、現実の世界ではグローバル化が進行し、世界の市場は一つになろうとしています。一つになった世界の市場では世界中の国の企業(化学会社も含む)が自由な市場競争を行うことになるのですが、実は、ここで先に書いた「廃棄物処理を免れた化学工場が一部でも存在を許され」るという状態が発生する余地があるのです。

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2024.03.06

3月24日(日)に最初(?)のオープンキャンパスを実施します(江頭教授)

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 3月24日の日曜日、今年度最初の来場型のオープンキャンパスを実施します。おっと、今年度最初は違いますね。まだぎりぎり3月なので今年度最後のオープンキャンパスとなるのでしょうか。でも対象は2025年入学の皆さんなのでその方達に対してはやっぱり最初のオープンキャンパスとなります。

 今回のオープンキャンパスは申込制となっています。そして個別の研究室を見学していただく形式となりました。昨年度は学生実験室に各研究室が出店をだしてまとめて実施していたのですが仲々の人出で人口密度が高すぎる。ゆっくり話をするのも一苦労、ということでこれからは研究室見学を中心とすることに。実際に研究を行っている場所を見ることができる、というのも貴重な機会です(それも複数の研究室を見比べることができる)のでご期待ください。

 おっと、話しが先走りましたね。全体の流れを説明すると学部での説明が最初、その後各学科に分かれる、という構成となっています。学部全体の説明では学部長から工学部の概要について。そしてコーオプ教育については実際にコーオプ実習で企業での就業体験を経験した学生さんの体験談も込みでご説明しましょう。

 

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2024.03.05

スプレー式の発泡ウレタンはなぜ固まるのか(江頭教授)

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 発泡している樹脂は発泡スチロールを始めとして見慣れたものです。高い断熱性を持ち、やわらかいので保温材や緩衝材として利用されています。

 スプレー式の発泡ウレタンは、その名の通りスプレー缶に入っている原液をシューとばかりにふき出すと、泡立った後に固まって発泡ポリウレタンができる、と言う便利な製品です。今回はこの製品の仕組みについて考えてみたいと思います。

 まず、スプレーから泡が出てくる、という光景はけっこう見慣れたものです。スプレー缶に加圧されて詰め込まれた気体と液体が大気圧に解放される。その瞬間に気体が膨張して液体と一緒に泡を形成する、というわけでここまでは特に疑問はなさそうです。

 問題は、というかこの製品の特徴は発泡したあとで液体が固まってウレタン樹脂になる、という点です。スプレー缶の中身は缶の中では安定していて、外にでた段階ではじめて重合を開始して固体となる。一体、この重合反応はどのようなきっかけで起こるのでしょうか。

 接着剤では2つの液を混ぜ合わせて固めるタイプの接着剤がありますが、あれは分かり易いですね。2つの原料分子が混合されることで重合がスタートする。ポリウレタンの場合はイソシアネートとポリオールの分子を別々の液に入れておいて混ぜ合わせれば良いわけです。

 でも、スプレー缶の中が2つに分かれていて出口で混合されている、と考えるのは無理がありそうです。缶のなかはシンプルな構造であり、一種類の液体がそのまま外部に放出されて重合が始まるのでしょう。では、その液体はどうやって缶の外にでたことを感知するのでしょうか。

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2024.03.04

髙橋昌男教授の最終講義(江頭教授)

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 我々東京工科大学のWEBサイトにも告知が出ていたのですが我々工学部応用化学科の髙橋昌男教授がこの3月一杯で退任されます。先週の金曜日(3月1日)には髙橋先生の最終講義が開催されました。

 最終講義だけあって、髙橋先生の小学校、中高、そして大学でのお話しからスタート。なかでも中学生、高校生の時代に部活動でいろいろな実験に取り組むことができたことが研究者になる切っ掛けになっているとのお話しには「なるほど」と納得できるものがあります。昔のことなので「かなり自由に」実験ができたとのこと。今の中学高校の実情と合わせて考えると髙橋先生に続く研究者のたまご達には厳しい時代なのかも知れない、などと思ったりもしました。

 さて、話は大学時代に進むのですが大学時代の学会発表のエピソードが。「昔はスライドとかを使った発表で」とさりげなくお話しでしたが、卒論の成果で学会発表に進むとか凄くないですか。これも髙橋先生が研究者になる切っ掛けになっているのだろう、などと思ったものです。

 大阪大学の理学部から就職を機に工学部の産研へ移られたこと、そしてちょうど10年前の2014年に阪大から東京工科大学に移られたことへとお話しは進みましたが、最後はやや時間不足だったかも。最終講義というものは得てしてこのようになるのでしょうか。

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2024.03.01

化学工場と法規制(江頭教授)

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 「化学工場は何をするところですか?」 という質問に皆さんなら何と答えるでしょうか。



 原材料から有用な化学物質を製造している。



 素晴らしい。でもこの答えは50点です。


 原料から人の役に立つ物質を造る、このプロセスでは、大抵の場合別に役に立たない、そして時には有害な物質、副生成物も同時にできてしまいます。役に立たないからといって勝手に捨ててしまうことはできません。何かの方法で無害化してから廃棄する必要があります。そこまで考えると化学工場で行われていることは、



原材料から有用な化学物質を、副生成物から無害な廃棄物を製造している



となるでしょう。


 廃棄物を製造、というのは変な言い方ですが副生成物も化学物質の一種ですから、それを変化させるための作業が必要な点では有用な化学物質の製造と同じです。そのための施設も必要ですし、エネルギーも消費します。


 こう考えると化学工場を運営する費用の半分は廃棄物処理だ、というのは言い過ぎだとしても、廃棄物処理のコストがそれなりの割合を占めることが理解できると思います。化学工場は原則的には有用な化学物質を販売した費用で運営されているので、化学物質の価格には副生成物の処理費用も上乗せされていて、その割合は決して小さなものではない、ということですね。


 


 さて、ここまでは「副生成物の処理を行う」という前提で話をしてきましたが、誰かが副生成物を処理しないで捨ててしまう、と決めてしまったらどうなるのでしょうか。


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