推薦図書「ほったらかし投資術」(江頭教授)
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山崎 元, 水瀬 ケンイチ 著「全面改訂 第3版 ほったらかし投資術」 朝日新書(2022)
私はこの電子書籍版を読みました。
タイトルにある「ほったらかし投資術」というのは株式投資に関する方針のことで「リスクを取っても良いと思える金額を全世界株式インデックスファンドに投資してほったらかしにしておく」という投資方針のこと。株式投資の勘所を
「長期投資」、「分散投資」、「手数料の節約」
山崎 元; 水瀬 ケンイチ. 全面改訂 第3版 ほったらかし投資術 (朝日新書) (p.125). 朝日新聞出版. Kindle 版.
と見極めてその実現の具体的な方法として「全世界株式インデックスファンド」を推奨する、という構成になっています。
さて、前回、前々回と書いてきたように私は金融や経済の専門家ではないのですが、そんな私でもこの本で「これは真実に違いない」と確信したの以下の事実を指摘した部分です。
(1)運用成績は、インデックス・ファンドの平均がアクティブ・ファンドの平均を上回る
(2)アクティブ・ファンドの中で「今後の」運用成績が良いファンドを選ぶ方法がない
山崎 元; 水瀬 ケンイチ. 全面改訂 第3版 ほったらかし投資術 (朝日新書) (p.112). 朝日新聞出版. Kindle 版.
とくに(2)の内容は目からうろこでした。未来を予測することはできないので、当たり前と言えば当たり前なのですが、これをはっきりと言い切っている株式の関係者はちょっと珍しいのでは。これぞまさしく「それを言っちゃあ、おしまいよ」ですよね。この部分を読んで私は本書の著者の誠実さを感じました。
今度は本書について、不満点も述べておきましょう。
リスク資産への投資には無リスクの金利(中略)よりも高いリターンが期待できる
山崎 元; 水瀬 ケンイチ. 全面改訂 第3版 ほったらかし投資術 (朝日新書) (p.46). 朝日新聞出版. Kindle 版.
という指摘があります。これは株式市場への投資が全体として長期には成長する(ゼロサムゲームにならない)ことを意味していますが、この本の中ではその根拠は明白には説明されていません。この部分については別の推薦図書を示したいと思います。
さて、本書は2022年の刊行ですが「全面改訂 第3版」とあることから分かる様に初版はずっと前、2010年12月に出版されています。そして、私はその初版を2011年の8月22日に購入しているのです。
私にとって、本を読んで自分の行動が変わる、とういことは珍しいのですが、本書(の初版)はその珍しい例の一つです。残念ながら「ほったらかし投資術」を忠実に実行することはできていないのですが、それでもそれなりの恩恵をうけることができた、とだけここには書いておきましょう。
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