「リデュース」VS「イノベーション」(江頭教授)
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サステイナブルな社会、もっと限定的に言って循環型の社会をつくるために重要なのはリサイクルだけではありません。3Rといって「リデュース(Reduce)」「リユース(Reuse)」「リサイクル(Recycle)」の三つが重要で、しかもこの順番で重要なのだ、というはなし。前回の記事ではこのうちリユースとリサイクルの違いについて述べたのですが、今回は一番重要だというリデュースについて考えてみましょう。
リデュースは「削減」という意味。「節約」と言い換えても良いでしょうか。過剰包装を避ける、使い捨て商品を選ばないなどといった行動がすぐに思い浮かぶのですが、同時に「良いものを長く使う」という方針もあるでしょう。
いや、別に長く使うなら「良いもの」である必要もないのですが…資源やエネルギーの削減、ではなくてお金の節約を念頭におくと「良いもの」はほぼ「高いもの」と同じ。つまり「安かろう悪かろう」の教えの通りなら安物は長持ちせず、結局新しいものを買う必要がでてくる。要は「安物買いの銭失い」になるよ、といったところでしょう。
リデュースを節約と言い換えると上記のように定型句が一杯出てきます。これは節約というものが昔から「良き習慣」として庶民の間にひろがっていた概念だからなのでしょう。ところが今の社会では必ずしも節約を美徳とみなすことはできないかも知れません。それは今の社会には「イノベーション」があるからです。
さて、リデュース、いや節約とイノベーションとの関係については私自身も印象に残っている体験があります。
ずいぶん昔、私が本学に着任する前のこと。自分の生活でどの程度電力が消費されているのかを調べてみたことがあります。切っ掛けは3.11の東日本大震災とそれによる電力危機(私は西日本在住で直接の影響はありませんでしたが)でしたから、2011年だったのですね。いまから13年前のことになります。
いろいろな家電製品のコンセントに電力計を挟んで消費電力を記録。部屋の外のメーターをみて全消費電力量を確認しながらどの製品が全体の何割程度の電力を使っているのかを調べてみました。
結果、第1位は冷蔵庫。確かに家にはいろいろな家電製品があったのですが一日24時間付けっぱなしの製品は珍しい。しかもそれなりの大きさでもあり、それはそうなるか。当時はそう納得したものです。
その後、本学に着任して八王子に引っ越してきた後に、もう一度、同様の電力調査をしたことがあります。結果、やはり冷蔵庫が消費電力最大だったのですが、少し驚いたことに冷蔵庫の消費電力がかなり小さくなっていたのです。これは驚いた。でも理由は簡単。本学に着任したときの引っ越しで、私は冷蔵庫を買い換えているのです。ちょっと大袈裟ですがイノベーションの結果、新しい冷蔵庫は効率化されて同じサイズでも電力消費が小さくなっているのです。
新しい冷蔵庫は消費電力が小さい。これをみると「良いものを長く使う」のが良きリデュースではないのでは、と思えてきます。新しい冷蔵庫と古い冷蔵庫を比べたとき、ほぼ同じものであれば「長く使う」ことはリデュースの一形態として価値を求めることができます。その一方で新しい製品(この場合は冷蔵庫)がイノベーションの結果によりエネルギー効率が向上しているなら、古い冷蔵庫でエネルギーを無駄遣いせず、新し冷蔵庫に買い換えて電力をリデュースするのが正しい態度なのかも。
さて、この議論。古い冷蔵庫を使い続けるのと、新しい冷蔵庫を購入するのと、どちらが正しいのでしょうか。
答えはケースバイケースとしか言えません。余りに頻繁に冷蔵庫を買い換えていれば明らかに資源の無駄使いに。その一方で古くて効率の悪い冷蔵庫を使い続けるのもまずい。最適な買い換えのタイミングというものは確かにあるのですが…これを実際に計算するにはLCA(ライフサイクルアセスメント)が必要となります。
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