2015年にはこれから世の中は良くなっていくと思っていたのですが…(江頭教授)
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2015年は本学工学部が設立された年。我々の応用化学科も2015年にスタートしました。だから2015年、という訳ではなくて、2015年はSDGsの前身、MDGsが終了した年なのです。
MDGsについてはこのブログでも「SDGsとMGDs」という記事で紹介しました。そしてMDGsの成果についてはこちらの記事に書いています。特に「貧困撲滅」というターゲットについては
MDG アジェンダは、これまでの歴史で最も成功した貧困撲滅のための取り組みであった。
と評される(自画自賛の様な気もしますが)ほどの成果が上がったのでした。
そのような状況でMDGsを継承する(2015年時点での)新たな国際目標であるSDGsには当然大きな期待がかかっていたのですが、はて、現実は思ったより厳しい様です。
例えば以下の図(これはFAOが主となってとりまとめている「世界の食料安全保障と栄養の現状(The State of Food Security and Nutrition in the World)」というレポートの2023年版にあるグラフで、世界で飢餓に苦しむ人々の人数を示しています。
一番上の世界全体のデータをみると、2015年からしばらくは微減か、まあ横ばいの状態が続いていたのですが2019年から2021年にかけて大きく跳ね上がります。その差、約1億2千万人。ほぼ日本の人口と同じほどの人々が短い期間の内に飢餓状態に(そしておそらく貧困状態に)陥ったのです。
その理由はやはりコロナ禍の影響でしょう。国連の国際目標はパンデミックという危機によって後退を余儀なくされたのですね。
そのパンデミックの影響が落ち着いてきた、と思われた2022年にはロシアのウクライナ侵攻という別の危機が訪れました。その影響は…まだ2022年以降のデータがまとまっていないので断定はできません。でも2021年(コロナ禍後、開戦前)を起点とした予測ラインと翌2022年(開戦後)を起点としたものとを比較すれば戦争の影響も無視できない事がわかります。せっかくパンデミックの影響を脱したと思ったら戦争で未だに飢餓人口は高止まりというわけです。
正直、2015年のころにはこんなことになるとは予想していませんでした。表題とおり、2015年にはこれから世の中は良くなっていくと思っていたのですが…。
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