ペーパーレス社会の理想と現実(江頭教授)
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昨日の記事「最近紙の書類が増えないなあ、という話」を書いていて思いだしたんですよね。「ペーパーレス社会」という言葉を。
昔からいろいろな業務は「紙の書類の作成」と「書類のやり取り」をベースに行われてきました。そこにパソコンが登場したので紙ではなくて「電子ファイルの書類の作成」を行い、さらにインターネットをつかって「電子ファイルのやり取り」を行えば紙を使う必要はなくなるはず。紙の要らない社会、ペーパーレス社会が実現する、というのです。パソコンというものが身近になって来た1980年代も後半のころのお話しです。
さて、実際にパソコンが普及した1990年代にはどうなったのか。「日本製紙連合会」が発表している日本での紙の需要推移をみてみると以下の様に変化しています。
意外なことにPCが普及しても紙の使用量は減りませんでした。いえ、それどころか1990年からしばらくは増え続けている、しかも印刷用の紙の需要が大きく増えているのですね。
ペーパーレス社会を予想した人たちは「電子ファイルの書類の作成」と「電子ファイルのやり取り」によってビジネスが進むと考えたわけです。でも、実際には「電子ファイルの書類の作成」だけが先に実現し、実際にやり取りされたのは印刷された紙の書類だったのです。
これは当時の私の実感とも一致していてちょうど作事の記事で書いた
私が大学の職員になったのはパソコンの普及してしばらく経った頃なのですが、その頃にはすでに簡単に作成できる様になった書類が世の中に溢れていました。思えばこの頃が一番紙の書類が多かった様に思います。
というのがこの頃なのです。
さて、日本製紙連合の上記のデータの解説では
紙・板紙の国内需要は、2008年まで3,000万トン台で推移していたが、リーマン・ショック後の2009年に大きく減少して以降、V字回復することなく推移してきた。
と述べられています。リーマンショックという大きな社会的な事件が切っ掛けとなって「電子ファイルのやり取り」が普通になりペーパーレス社会への移行が進んだ、と考えると分かりやすいのですが、こちらは私の実感とはちょっと違っています。ペーパーレス社会への移行はもう少し後のことだったと記憶しているのですが、さてどうなのでしょうか。
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