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2024年6月

2024.06.28

コロナ禍とテレビ視聴率(江頭教授)

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 平成から令和に、コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻などいろいろな事件で今は世の中が大きく変化している時代だ、そんな記事をここのところ続けて書いてきたのですが、今回の記事ではたまたま目にしたテレビの視聴率の大きな変化について紹介しましょう。ネタ元は「ガベージ ニュース」というサイトの「各局とも凋落続く…主要テレビ局の複数年にわたる視聴率推移(最新)」という2024/05/30の記事です。

 「ガベージ ニュース」は概要の説明として

経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせて解説を行うサイトです。

とある様にいろいろな情報がまとまっていて非常に興味深い情報に触れることができるサイトです。私にとっては、特に意図的に見に行くことは少ないが検索してたどり着くことが間々あるサイト、というイメージです。

 さて、件のテレビ視聴率について。以下のグラフがガベージ ニュースの記事の引用で、世帯での視聴率(HUT:Households Using Television)のゴールデンタイムでの値の推移を示しています。

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引用元:ガベージ ニュース「各局とも凋落続く…主要テレビ局の複数年にわたる視聴率推移(最新)

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2024.06.27

日本と世界の違い(江頭教授)

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 昨日の記事では物価が極めて安定していた平成の期間と比べて、令和に入ってからは物価の上昇がめだっているというデータを紹介しました。その理由は

ロシアのウクライナ侵攻の影響が早々に現れたのか、あるいはコロナ禍に対応した財政出動が遅ればせながら効いてきたのか。解釈はいろいろありうる

と書いておきました。今回は、少し世界に目を広げてその理由について考えてみましょう。

 まず、世界の物価の動向はどうなっているのでしょうか。検索してみると労働政策研究・研修機構の「新型コロナウイルス感染症関連情報: 新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響 国際比較統計:消費者物価指数」というページに「消費者物価指数(月次、前年同月比)」として以下の様なグラフが示されていました。

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2024.06.26

平成と令和の違い(江頭教授)

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 今年は令和6年。令和に入って6年になるのですね。令和の前は平成。そして平成の終わりは2019年4月、平成31年4月だったのですが、それにちなんでこのブログでは堺屋太一氏の小説「平成三十年」についていくつかの記事を書きました(その1その2その3)。たまたまそのなかの「書評 堺屋太一著「平成三十年」その3 物価の安定は何をもたらしたか」という記事を読み返したのですが、その中にあったのが以下の図です。そして記事には

1989年の平成元年からの三十年間、ごく初期を除いてほとんど物価は上昇しませんでした。物価が上昇しないこと、これは社会に大きな影響を与えたと考えます。

と書きました。

 さて、これが平成の特徴(の一つ)なのですが、令和に入ってどうなったのか、というのが今回のお題です。

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 まず最新のデータまで含めて上の図を更新してみましょう。

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 ごらんの通り、明らかに近年物価が高くなってきたのです。

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2024.06.25

やはり食べ物の腐敗には気をつけましょう(江頭教授)

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 21世紀を迎えた今、世の中は日々進歩してゆくものだという常識と共に我々は生きているわけですが……

 とまあ、オーバーな物言いでスタートしたのですがこれも別に言い過ぎという訳ではないでしょう。とくに私のように年をとってくると「昔と今」とを比べるときの時間幅が大きくなっているので否が応でも違いが目に付いてきます。その目線で先日の記事「最近「腐った食べ物」に遭遇していないような」なんて記事を書いてしまったのですよね。

 えっ、何の話かって? 最初から説明しないと。

 実は上記の記事を書いた二日後の金曜日、研究室のゼミを欠席した学生がいたのです。事前の連絡もなし。その前の時間の授業には出席していたそう。はて一体どうしたのか。同学年の学生諸君に何があったのかと聞いても皆知らないのです。気になるなあ、と思っているまま週末のお休みにはいってしまいました。

 明けて月曜日、件の学生さんに話を聞くと「体調が悪くなって吐いてしまった」とか。おいおい、大丈夫か、一体どうしたの。「いやー、古くなったお弁当を無理して食べたのが悪かったんですよね。」聞けば前日のお弁当、それも冷蔵庫にいれずに部屋に置いておいたものを食べてしまったのだとか。そりゃあ、体調も悪くなるよね。

 前述の記事の締めは

とはいえ、流通に携わる方々がどんなに努力しても家に届いてからの扱いはそれこそ千差万別。せっかく届けた新鮮な食材が腐ってしまうことも充分にあり得るのですから食品の管理には各自が気をつけるべきですね。

だったのですが、まさにこれが起こった、ということでしょうか。人類社会がどんなに進歩しても、やっぱりやって良いことと悪いことがあるのですなあ。

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2024.06.24

コロナ禍も過去になったのかな(江頭教授)

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 新型コロナウイルスによる感染症がニュースになりはじめたのは確か2019年のこと。翌2020年にキャンパス閉鎖などがあり、コロナ禍が本格的に始まった、とすると今年はもう5年目に入るわけですね。いまでもコロナがなくなったわけでもないし、コロナで休みをとる人も時々目にします。とはいえ一時のように生死を案ずる、ということもなく日常に溶け込んでいるといえるのではないでしょうか。

 そのコロナ禍の影響で世の中にはいろいろな変化がおきました。我々大学教員が一番身近に感じているのはなんと言ってもオンライン授業の本格的な普及です。今では授業の中心は対面に戻っていますが時々オンラインの授業を行う、とうこともあります。

 実は先日、学生同士の少人数でのディスカッションを含む授業を行いました。普段は対面で授業を行っていますが、この回の授業はリアルタイムのオンライン。最初全体に対して課題を説明した後、グループに分かれてオンラインで討議をしてもらう。終了後には結果をまとめた報告書を提出という流れです。これはコロナ禍で授業がすべてオンラインになっていた2020年からスタートしたやり方でもう5回目になります。最初こそトラブルもありましたが、最近はすっかり落ち着いた、と思っていたのですが……。

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2024.06.21

プレゼンテーションでスライド使えるのはありがたいこと(江頭教授)

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 我々応用化学科は東京工科大学の工学部の一部ですが、その工学部と接続している大学院が工学系研究科・サステイナブル工学専攻です。今年度からサステイナブル工学専攻の新しい授業、「サステイナブル工学特論」という授業を開始したのですが、その中で大学院生の皆さんに「自分の研究とサステイナブル工学」について語る動画ファイルを作ってもらいました。

 動画は二つ。一つは約3分のショートプレゼン。スライド使用した学会の口頭発表や修士課程の最終審査のようなスタイルですが時間が3分と短いところがポイント。専門家ではなく一般の人(たとえばお父さんやお母さん、と言ってあります)を対象として自分が何を研究しているかを説明するものです。

 もう一つの動画は口頭のみでの研究紹介。こちらは1分ともっと短くなっていて、一般の人から「あなたは何を研究しているのですか」と聞かれたときの回答を想定しています。

 短く話す、ということは自分の研究を客観的に見て重要だと思われるポイントを絞り込むことが重要。その重要なポイントは、さて、サステイナブルな社会の実現にどう関係しているのでしょうか。

 まあ、これがこの課題の意義なのですが、今回学生さん達が作ってくれた動画をまとめて何本か見て思ったことが今回のタイトル。「プレゼンテーションでスライド使えるのはありがたいこと」でした。

 1分のスライド無し動画を見ると下の図のようなことに。

 

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「えっ、クレージーキャッツ?谷啓?」「それはガチョーンだから。」

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2024.06.20

カーボンオフセットとは(江頭教授)

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 世の中には「カーボン○○」と名のつくものがいろいろあるのですが、今回紹介したいのは○○に「オフセット」といれた「カーボンオフセット」です。

「黒い色の印刷のこと?」

「いや、オフセット印刷とかじゃなくてですね…。」

カーボンはともかく、オフセットという言葉は耳慣れないのではありませんか?移す、移動させる、といった意味から転じて負債などを何かで相殺する、埋め合わせる、といった意味をもっています。

 そこで「カーボンオフセット」ですが「どうしても削減できないCO2の排出を、他の場所での削減や吸収で埋め合わせる」という取引と活動のことを意味しています。

 「自分はCO2の削減ができない、だから他の人にやってもらおう。」とは虫の良い話。でも、そこはそれ、ちゃんと対価は必要で、有り体に言えば代わりにお金を払うことでこの取引は完結します。

 逆に考えるとお金を払うだけでCO2が削減できてしまう。そんなにお気軽でよいのでしょうか?何となくずるをしているような、と感じるひともいるようです。

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図は農林水産省のこちらのページから。

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2024.06.19

最近「腐った食べ物」に遭遇していないような(江頭教授)

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 昨日の記事で「タンパク質が腐敗して発生するアンモニア」を人間が悪臭と感じるのは腐敗した食べ物を食べないための進化の結果では、などと書きました。書いた後でふと気が付いたのが今回のタイトル。考えてみると最近「腐った食べ物」に遭遇していないような。腐った食べ物の匂いも遠い思い出の中にしかないのです。

 昔は、ときどき「最近の若者は賞味期限切れのものを異様におそれて手を付けようとしない。腐っているかどうかなんて自分で判断して大丈夫なら食べれば良いのに」といった意見を聞いたものですが最近はそんな意見すら希に。もしかして腐った食べ物に遭遇する確率が激減しているのは私だけではないのかもしれません。

 これは一体どうしたことか。食品の流通の改善を考えると新鮮な食べ物(=腐敗するまでに時間のかかる食べ物)が豊富に供給されている現状が「腐った食べ物」を珍しいものにしている、というのは有りそうな話です。残念ながら「腐敗した食品に関する実態調査」といったものは見当たりませんのではっきりしたことは分かりません。ですが、食中毒についてはかなり詳細な統計を構成労働省が発表しています。

 下の図はその中の「年次別食中毒発生状況」を簡単にグラフ化したものです。

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2024.06.18

アンモニアはなぜ悪臭がするのか(江頭教授)

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 先日の記事でフロンの開発目的が「悪臭のないクーラーの冷媒だった」という話を紹介しました。フロンが開発される以前はアンモニアが冷媒として用いられていたのですが、その毒性、そして悪臭が問題となったのだ、という話です。

 さて、ではなぜアンモニアは悪臭、というか嫌な臭いがするのでしょうか?

 臭いを感じる人間の鼻の受容体が云々、と始めるべきかも知れませんが、ここは視点を変えて進化論的な説明をしてみましょう。つまりアンモニアに悪臭を感じる個体の方が生き残る確率が高い理由を考えれば良いわけですね。

 まず第1のポイント。アンモニアは有害です。濃度が低ければ「臭い」程度で済んでいますが高濃度のアンモニアを吸い込んだりアンモニア水を浴びたりすれば死亡することもある。それほど危険な物質です。ですから低濃度のアンモニアでも敏感に感じ取って「臭い」と感じて避ける、あるいは警戒することができる方が生存に有利なのでしょう。

 とはいえ、有害だという理由だけでは不充分ですよね。どんなに毒性が高い物質でも人間(というか動物?)がその物質に遭遇しなければ進化には影響しませんからね。アンモニアは有毒な上に人間が良く遭遇する物質なのです。

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2024.06.17

「エルマーのぼうけん」の作者の訃報にふれて(江頭教授)

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 今回の記事は応用化学にも応用化学科にも工学部にも東京工科大学にも関係ありません。あくまで私個人のお話ですが、まあおつき合いいただければ。

 さて、タイトルにある「エルマーのぼうけん」は古い児童文学、というか幼年童話です。1948年、米国のルース・スタイルス・ガネット氏によって書かれた物語で、その後「エルマーとりゅう」「エルマーと16ぴきのりゅう」という続編が書かれて3部作として完結しています。日本では1963年から65年にわたって翻訳版が出版され、出版部数は3冊合わせて780万部を超えているそうです。

 そして、タイトルに「訃報」とあるようにこのシリーズの作者のルース・スタイルス・ガネット氏が亡くなったとか。御年100歳。大往生と言うべきでしょう。

 とまあ、ここまでは先日のニュースの概要なのですが、私がこのニュースにブログでコメントしようと思ったのは、私の子供時代に実家にこのシリーズ3冊が有ったことをよく記憶しているからです。私は1962年生まれですから翻訳版が出版されたのは私が1~3歳のころでしょう。「読んであげるなら:5・6才から」と注記があるところをみると、おそらくこの本は私の両親が私の三歳年上の兄のために買ったのだと思います。家の本棚にこのシリーズが置いてあったのですが、私自身は読んでもらったこともないなあ、などと。でも注釈には「自分で読むなら:小学低学年から」とある様に、私も小学校の低学年のころにこのシリーズを読もうとしたことがあるのです。しかし、結局読み終わることが出来ませんでした。

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2024.06.14

「バロメーター」という言葉 (江頭教授)

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 今は死語になってしまったのかもしれませんが、かつては「バロメーター」という言葉がありました。



拍手は人気のバロメーター



といった使い方をされていて、この場合なら「人気」の程度を示す指標、という意味です。


 もともとバロメーターというのは気圧計を示すことばでした。圧力の単位がbarですから、そのメーターでバロメーター(barometer)です。えっ、o はどっからきたのかって?圧力の語源がギリシア語のbaros(重さという意味)だそうですから、単位barの方がoを失っているのでしょう。


 では「気圧計」がなんで程度を示す指標なのか。温度計でも照度計でもよさそうなものですが...。


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これは研究室で最近購入した「バロメーター」。名称は「デジタル絶対圧計」でしたけどね。

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2024.06.13

僕の考えた「ソイレント・グリーン2」(江頭教授)

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 昨日紹介した映画「ソイレント・グリーン」の話をもう少し続けさせてください。内容はタイトル通りで、もし「ソイレント・グリーン」に続編をつくるとしたら、というお話し。私のアイデアをご紹介したいのですが、これも必然的に「ソイレント・グリーン」パート1の結末を受けたものになりますから、ネタバレありの記事となります。

 前回同様、ネタバレ部分はこの記事の後半(「続きを読む」以降)としましょう。その前に今回の再上映のキービジュアルにある「もう、人間がいっぱい」について少しコメントしておきましょう。

 映画「ソイレント・グリーン」の原作は有名なSF作家のハーランエリスンの小説です。(ハーランエリスンの代表作「世界の中心で愛を叫んだけもの」のタイトルくらいは聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。)原作小説の英語のタイトルは”Make Room! Make Room!”で、その和訳のタイトルが「人間がいっぱい」。いや、なかなかの名訳ですよね。(有名な映画のタイトル「太陽がいっぱい」が下敷きになっているのでしょうか。)今回のキャッチコピーはこれをベースにしているのですね。

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(注意:「続きを読む」以降には映画「ソイレント・グリーン」の結末についてのネタバレがあります)

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2024.06.12

ソイレント・グリーンの何が悪いのか?(江頭教授)

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 1973年公開のアメリカ映画「ソイレント・グリーン」についてはこちらの記事で紹介しています。この記事を書いた時

こんな古い映画に注目するのは僕くらいだろうなあ

などと思っていたのですが、先日下の写真のようなポスターを見つけてびっくり。なんと本作が映画館でリバイバル上映されていたのです。公開50周年(51周年?)記念なのでしょうか。デジタルリマスター版での上映だとか。とはいえ館数や上映回数は少なくて残念ながら日程的に映画館に行くのはちょっと無理そう。いや、気が付くのが遅かったですね。

 さて、前回の記事では本作のあらすじを以下の様に説明しました。

 舞台は2022年のニューヨーク市。人口は4000万に膨れあがり、食料をはじめ多くの物資が不足するこの大都市で、巨大企業ソイレント社が新たに開発した高エネルギー食料、それが「ソイレント・グリーン」でした。しかし、その「ソイレント・グリーン」には恐るべき秘密が隠されていて、主人公の刑事(チャールストン・ヘストン)はソイレント社の役員の殺人事件を追ううちにその秘密を知ることになる、という筋立てです。

で、その「恐るべき秘密」についてのネタバレは無しとしていたのですが、今回の記事ではネタバレありで少しコメントしようと思います。

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(注意:「続きを読む」以降には映画「ソイレント・グリーン」の結末についてのネタバレがあります)

 

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2024.06.11

6月16日(日)に最初のオープンキャンパスを実施します(江頭教授)

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 いや、前にも「最初のオープンキャンパス」をやるって書いてましたよね。

 確かに。でもあれ(3月24日)は「今年最初のオープンキャンパス」でした。今回ご紹介する6月16日(日)のオープンキャンパスは「今年度最初のオープンキャンパス」となります。とはいえ、どちらも対象は2025年入学の皆さんです。おっと、2025年度以降に入学予定の高校2年生、1年生の皆さんも是非ご参加を。

 昨年度と同様、本学の来場型のオープンキャンパスは「申込制」となっています。でも入退場は自由です。また同伴者の方のご予約は不要で当日に会場で受付をすればOKとなっています。

 オープンは10:00から。この時間から研究室見学など各種のイベントが同時にスタートするのですが、一番大きなイベントは大学説明でしょう。会場は本学八王子キャンパスで一番大きい(おっと、体育館を除けばですね)ホールである片柳研究棟地下ホール。この約20分の説明に続いて入試説明会が30分。この後は研究室見学がメインとなるでしょうか。なお入試説明会はこの後12:30、15:00にも予定されていますので入試説明会を飛ばして研究室見学に行く、という選択肢もありですね。

 昼食の時間になったらキャンパスランチを試してみてください。これは本学からのサービスとなります。

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2024.06.10

NHKロボコンを見てきました(江頭教授)

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 このブログを読んでいる高校生の皆さんは「ロボコン」はご存じでしょうか?と、昔なら書き始めるところですが今はかなり一般的になっていますよね。高校生向けのロボコンもある様ですが、やっぱり本格的なロボコンといえば大学生が中心にとなるNHKロボコンでしょう。

 そのNHKロボコン、今年度は東京工科大学のキャンパスで実施されます。と、いうことで私も見に行く事にしました。会場に行くと以下の様な看板が。

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 その向かい側にはNHKのキャラクターのどーもくんの像が。多くの見学者(もしかしたら選手?)の皆さんが一緒に記念写真を撮っていました。

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 さて、会場に体育館(アリーナ)に入るとこんな感じ。NHKの番組(7月15日AM10:05から放送予定だそうです)の撮影のためのクレーン付きのカメラをはじめとした放送機材と、その中央にあるロボコン競技の舞台(スタジアム?)がセットアップされています。

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 さて、お昼過ぎから試合開始。全18チームが3チーム毎、6グループで総当たり戦を行い各グループで1位となった6チーム、そしてワイルドカードとして選ばれた2チームを併せて全8チームによるトーナメント戦を行い優勝校を決める、という流れでした。

 今回の試合も例年とおり各チームが2台のロボットを作成して参加します。今年はその一台は完全自律ロボットでなければならない、という新ルールが課せられているとか。ここまでくると「私が昔知っていたロボコンと違う」という気もしますし、同時に「これが本当のロボットだよね」という気もします。

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2024.06.07

今週で第一クォーター終了、第二クォーターが始まりました(江頭教授)

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 4月にスタートした新年度、従来の前期後期の学期制なら今頃は「前期も半分過ぎて折り返し点です」ということになるでしょう。実際、本学科の1、2年生にとってはその通り。気を引き締めて前期残りの期間を充実させましょう。

 ただ、応用化学科の3年前期の授業はクォーター制で行われています。クォーター制とは前期を第1期、第2期の二期に分けて行うもの。本来は1年を4期に分けて行うものですが、本学のクォーター制は前期後期制の一方の期を二つの分ける、やや変則的な制度です。(ハーフ・アンド・ダブルクォーター制とでもいうのでしょうか?)

 でも、なんでこんな制度に?

 これは本学工学部の教育の重点の一つ、コーオプ実習制度に対応したものです。すべての学生が企業で7週間の実習教育を受ける、というのがこの制度の要点ですが、では前期14週間の残りはどうしているのか?もちろん遊んでいる訳ではなく、授業を受けるのですが、こんどは授業期間は短くなってしまう、という問題があります。

 そこでクォータ制。1週間に受ける授業の科目数は少なくなりますが、一つの科目は原則週2回実施します。(一部2回より多い科目もあります。)半分の科目を倍のスピードですすめるのがクォータ制。そのため、本年度の第1期が今週の木曜日(6月6日)という早い時期に終了となったわけです。

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2024.06.06

空気はカークーラーの冷媒にならないのか?(江頭教授)

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 今回もカークーラーの冷媒のお話し。まず、フロンがカークーラー用の冷媒として利用されていたアンモニアの代用品として開発された、というエピソードをご紹介して(こちらの記事)、アンモニア分子同士の間の水素結合が冷媒として有用だ、という情報から、なら水素結合する水は冷媒にならないのか、という問題を考察しました。(こちらの記事。)水の場合は水素結合が強すぎ。だから常温付近でのクーラーには使えない、というのが結論になりました。

 さて今回のお題はもっと身近な物質、たとえば空気をカークーラーの冷媒にすることは出来なかったのか、というものです。

 まず一つ確認しておきましょう。カークーラーといわず、クーラーというもはヒートポンプの一種。つまり仕事を利用して(熱に変えて)低温熱源から高温熱源に熱を移動させる機械です。そのヒートポンプの冷媒、というか作動流体として空気が利用可能だ、というのは確かです。

 例えば有名なカルノーサイクル(ヒートポンプとして動作する場合は「逆」カルノーサイクルと言いますね)は理想気体の可逆プロセスだけで構成されたサイクルで、これでもクーラーの役割を果たすことができます。そして空気は常圧・常温付近ではほぼ理想気体と振る舞うので、逆カルノーサイクルのクーラーをつくれば空気でも動く、という事になります。

 なら何で……空気を利用したクーラーの能力は非常に限られたものになってしまうのです。
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本学応用化学科で利用しているアトキンソンの「物理化学 第10版」にあるカルノーサイクルの説明図です。

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2024.06.05

水はカークーラーの冷媒にならないのか?(江頭教授)

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 先日の記事ではフロンがカークーラー用の冷媒として開発された、というエピソードをご紹介しました。当時利用されていたアンモニアは有毒で悪臭があり閉鎖された自動車の車内を冷やす冷媒としては不向きだった、というのがその背景です。

 そもそもなぜクーラーの冷媒にはアンモニアが使われていたのでしょうか?それはクーラーが

圧縮されて液化したアンモニアを一気に膨張させると温度が下がる

という現象を利用しているからです。ではなぜ温度が下がるのか?

アンモニアの分子の間には強い引力が働いている。その引力に逆らって分子の間の距離が広がるとき、分子の運動エネルギーが失われる

からです。温度とは分子の運動エネルギーの指標ですから膨張すると温度が下がる訳ですね。

 ポイントは「分子の間には強い引力が働いている」ことです。ではなぜアンモニアの分子間には強い力が働いているのか?

アンモニアの分子の間には水素結合が生じているから強い引力が働いている

のです。

 さて、ここまで三回「なぜ」を繰りかえしたところで、アンモニアの代わりに冷媒となる物質を探すとなれば「分子の間に水素結合ができる」分子を探せば良いということになるでしょう。ならアンモニアより強い水素結合を作るという水で良くないか?

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2024.06.04

サステイナブル工学基礎 学内施設見学(2024年度)(江頭教授)

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 本学の工学部が掲げる「サステイナブル工学」、その最初の授業として本学2年生が履修している授業が「サステイナブル工学基礎」です。本年四月からは2023年度入学の第9期生が受講を始め、第9回目の講義が行われています。

 この「サステイナブル工学基礎」で行われるのが学内施設の見学。工学部三学科が代わる代わる学内のサステイナブル工学に関係の深い施設を見学します。6月3日には我々応用化学科の見学が行われました。この見学、コロナ禍の影響で2020年、21年と中止され、昨年22年に再開されました。ですから、授業は9回目ですが見学会は7回目となります。

 見学は、まず「スマートハウス実習棟」という専門学校の施設からスタート。太陽電池が乗っている建物です。太陽電池パネルの発電量は6kWだとか。その電力と、建物の断熱性を高めて冷暖房の必要エネルギーを削減すること、地中にたまった熱を熱源として用いることで消費エネルギー以上の暖房効果を実現すること、などいろいろな家庭向けエネルギー関連技術の設備があり、その運用や施工方法を学ぶ場所となっています。

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2024.06.03

カークーラーとフロン(江頭教授)

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 「フロンはオゾン層を破壊する物質」という話、多くの人が聞いたことがある、何となく知っている、といったところではないでしょうか。温室効果ガスによる気候変動の影に隠れて目立たなくなった気もしますがオゾン層破壊も地球レベルの深刻な環境問題です。

 さて、この「フロン」について。まず「フロン」は一つの化合物の名称ではありません。「フロン類」ということもありますが、炭化水素をベースとして、その水素の一部がフッ素、あるいは塩素で置換された化合物の総称です。一般に無色・無臭・無害。この物質が最初に開発されたのはGM(ゼネラル・モーターズ)という米国の自動車会社のリクエストによるもので、1920年代のことでした。

 なんで自動車会社が?そう思いますが、そもそもの用途はカークーラーの冷媒だったとか。当時クーラーの冷媒としてはアンモニアが利用されていた。そして当時の技術ではアンモニアを配管のなかに完全に封じ込めることができず、ほんの少し漏れ出してしまう。アンモニアは有毒で強烈な悪臭でも知られています。カークーラーにアンモニアを利用すればどうしても自動車の車内にアンモニア臭がすることに。これじゃあドライブも台無しです。自動車会社のGMはどうしても無臭で無害な冷媒が欲しかったのでしょう。

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