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僕の考えた「ソイレント・グリーン2」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 昨日紹介した映画「ソイレント・グリーン」の話をもう少し続けさせてください。内容はタイトル通りで、もし「ソイレント・グリーン」に続編をつくるとしたら、というお話し。私のアイデアをご紹介したいのですが、これも必然的に「ソイレント・グリーン」パート1の結末を受けたものになりますから、ネタバレありの記事となります。

 前回同様、ネタバレ部分はこの記事の後半(「続きを読む」以降)としましょう。その前に今回の再上映のキービジュアルにある「もう、人間がいっぱい」について少しコメントしておきましょう。

 映画「ソイレント・グリーン」の原作は有名なSF作家のハーランエリスンの小説です。(ハーランエリスンの代表作「世界の中心で愛を叫んだけもの」のタイトルくらいは聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。)原作小説の英語のタイトルは”Make Room! Make Room!”で、その和訳のタイトルが「人間がいっぱい」。いや、なかなかの名訳ですよね。(有名な映画のタイトル「太陽がいっぱい」が下敷きになっているのでしょうか。)今回のキャッチコピーはこれをベースにしているのですね。

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(注意:「続きを読む」以降には映画「ソイレント・グリーン」の結末についてのネタバレがあります)

 さて、前回の記事でネタバレしたように「ソイレント・グリーン」のオチは

実はソイレント・グリーンの原料は人間の死体だった

というもの。制作者的には「凄惨な結末」「おぞましい真相」「戦慄の事実」なのだと思いますが、私にはイマイチ恐怖感が感じられない、というお話しは前回にも書きました。いや、ソイレント・グリーンの何が悪いのか?

 ということで、続編の「ソイレント・グリーン2」では本当に悪いことが起こる、という話を作ると良いのでは。

 ソイレント・グリーンの開発からすでに10年以上。その原料に関する黒い噂はいつの間にか世間に広がっていたが、それでも人々が餓えを満たすためにはソイレント・グリーンが必要だった。政府もソイレント社もその噂を肯定も否定もせず、そして多くの人は無関心を装いながら生活している。そんな日々がこれからも続くのかと思われたころ、謎の奇病が人々の間に蔓延し始める。最初はただの物忘れかと思われた異変は重度の記憶障害へと進展。やがて自分が何者かも分からなくなるという病。男も女も、老いも若きも、不安と憂鬱に駆られる日々を送る人々。それは病の影響なのか、それとも正常な人間の恐怖心の発露なのか……。主人公は奇病の原因を追跡するうちにソイレント・グリーンによるさらなる恐怖に直面する。

と、こんな内容は如何でしょう。

 で、オチは

ソイレント・グリーンにはアルツハイマー症の患者の死体に由来する変性したアミロイドβが混入していた。奇病の原因はそれを食べたことによるアルツハイマー症の伝染だったのだ。

という内容で。

 元ネタは牛の狂牛病の原因が「狂牛病の牛から作られた肉骨粉に含まれた変性プリオンだった」という歴史的な事実です。要するに牛にとってみれば「肉骨粉」は「ソイレント・グリーン」みたいなものなんですよね。しかも「肉骨粉」はフィクションじゃなくて現実の存在なのですから、こっちの方が怖いよ。

 結末は「アルツハイマー症のワクチンが開発される」というのはどうでしょうか。これで奇病の問題は解決するのだが、猿がそのワクチンを摂取して……というストーリーで「ソイレント・グリーン3」も作れるかも。(いや、それはチャールトン・ヘストンの別の映画シリーズの続編です。)

 

江頭 靖幸

 

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